第12話 再び冒険者ギルドへ
「は? 字が読めないから手続きしてこなかった?」
宿で合流した俺たち。
チャノンに(セフィーには無視された)冒険者ギルドはどうだったか訊いたら、まさかの「字が読めないから帰ってきたにゃ」発言。
「聞いて聞いて! ボクは手続きしよーとしたんだよ。受付のおねーさんが代筆してくれるって言ってたし。でもねでもね、セフィーがね、詐欺かもしれないから代筆してもらっちゃダメって言うんだにゃ」
「……あー、はいはい。なるほどね。状況はだいたいわかった」
「えぇ!? いまのでわかったにゃ?」
「まーね。大方、前に――それこそあの奴隷商にでも手酷く騙されたんじゃないか? ま、油断せず警戒心を持つことはいいことだ。過去の失敗から学んでるってことだしね」
俺がそう言うと、チャノンもセフィーもびっくりした顔で俺を見つめる。
「……驚いたにゃ。カエデのことだからてっきり呆れるかと思ったにゃ」
「なんで心が狭い設定なんだよ。こんなことじゃ呆れないよ。逆に感心したぐらいだ」
「よかったねセフィー。カエデがセフィーのこと褒めてるにゃ!」
「フ、フンッ。人間族の男に褒められても不快なだけだがな」
セフィーはぷいとそっぽも向くも、耳まで赤くなっているから照れをまるで隠せていない。
さてはお前、褒められるのに慣れてないな。
「とりあず事情はわかった。ふたりとも文字が読み書きできる俺に協力してほしいわけだ」
「チッチッチッ。図に乗るなよ。別にわたしはお前など必要としていない。ティファ、」
「ん? なーにセフィーお姉ちゃん」
「ティファは文字を書けるか?」
「もじ? ティファかけないよ」
「……え?」
ティファの返答にセフィーはびっくり。
国によってばらつきはあるけど、只人族の識字率なんて普通は1割。
教育に力を入れている国でも、よくて3割程度だ。
ティファが読み書きできなくてもなんら不思議なことではない。
でもセフィーはそんなことも知らなかったようだ。
「ティファねー、カエデお兄ちゃんの『でし』になったから、こんどよみかきおしえてもらうんだ!」
キラッキラした瞳でそう言うティファにセフィーは、
「そ、そうか……」
と曖昧な返事をすることしかできないでいた。
「じゃー決まりだ。カエデ、ボクたちが冒険者になるのを手伝ってくれないかにゃ?」
「いいよ。セフィーも俺の助けが必要なことを理解しただろうし、いまから冒険者ギルドに行こうか」
俺はそう言って立ち上がり、3人を連れて冒険者ギルドへ向かうのだった。




