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アンドロメダ /01  作者: 稔~minoru
38/39

アンドロメダ /36-B

日本人は、ロボットを隣の友達ととらえている。それは、ロボットアニメが、人を助けるものと描いたから。

しかし、外国では、兵器、武器と開発されている。

無人飛行機。ミサイル。歩行ロボット。等々。

私達が日常使っているロボット掃除機。地雷撤去作業会社が開発した物。GPS、軍事衛星を利用した。電子レンジ、レーダーのマイクロ波を利用した物。


アンドロメダ-イブ。

イブの行動は、人間その物だった。

科学者は、イブを分解調査したいと考えるようになった。

人間に溶け込んだ、ロボット。アンドロイド-イブ。

日本では、隣人として。

外国の科学者の目には、ものである。サンプルがある。開発を促進するサンプルが。戦争の兵器が。

誰かが、欲しいと望んだ。多くの人間が望んだ。


アンドロメダが欲しい。アンドロメダを手に入れたなら、地球を我が手に。

我々が地球人を導く者だと。

考える政治家が、軍人が。


ある科学者が、囁いた。国の政治家に、トップに。

科学研究所の所長が、言った、大統領に。

どこかの軍事幹部が、会議の中で話した、アンドロメダが必要だ。

どこかのコメンテーターが、テレビ放送で話した。

宇宙船、アンドロメダがあんなに大きい訳が無い。地球の科学、技術では作れない。

日本政府は、今すぐに、アンドロメダの開示請求をするべきだ。

日本のテレビ番組も、アンドロメダを地球に持ってくるべきだと。

18歳の子供達に、宇宙船の管理を任せられない!

日本政府が、管理するものでない!

地球政府が管理するものだ!


日本政府は、アンドロメダが接近した場合の地球環境への影響を解いて回った。

アンドロメダが出した場合、どれだけの被害が起こるか! アンドロメダのシミュレーションを発表している。。

しかし、地球人類は、アンドロメダの存在自体疑っていった。

本当に日本列島に匹敵する宇宙船なのか? 

地球科学、技術では作れない。

と、答を出した科学者。

アンドロメダおよび、アンドロメダ-イブは、大和ススム、飛鳥マヤを、所有者に選んだと、説明している。

機械が、コンピュータが、所有者を選ぶなんてことはない!

SF映画の見すぎだ!

日本政府が地球連邦政府の決定に従わない場合、輸出入関税処置対国にすると、警告した。


アンドロメダを我がものに! 国々が考えはじめた。大国は、中国、小国を巻き込んで、イブを我がものに動き出した。


ススムとマヤは、日本政府が良い舵取りをするだろうと、見ていた。

争い事のない方に進むだろうと。


ススムとマヤが帰って来て、2回目のクリスマスがきた。

商店街、アーケード街は、クリスマスのデコレーションでにぎやかになっている。

商店街のママさん同士の井戸端会議。

今年は、居酒屋を閉めて、クリスマスパーティーをと、話すマヤママ。

ススムが見ている。

マヤとイブの喜ぶ姿を。

日曜日には、ススムのおやじとおふくろが居酒屋に来ている。

おふくろは、キッチンに入って、仕込みの手伝いを。

マヤママが、お礼を言っている。

何回も来ている店。笑っているおふくろ。

おやじは、昼から、ビールを。

おふくろに注意されている。

ススムとマヤ、イブは、テーブルで、受験勉強をしている。

ススムの、マヤの学校の仲間達が来ている。

ヒカルも入っての勉強会。


商店街には、相変わらず、外国人が多い。バスツアーなのか? 

イブを見ようとする人達。

いつものように、歩行者天国になった道路。

町中会の人達が、テーブルを、イスを出している。

イスがない! と話す人達。どこからか、一升瓶のプラ容器が、イスになった。

イブが、マヤが、お客さんにビールを持って行った。

スマホにと、お客さんの要望に応えるイブにマヤ。

勉強会を終わらせて、手伝う、ススム達。

ススムは、たこ焼きに遊ばれている。マヤが、ビールジョッキに麦茶を入れてススムに。

お好み焼きに、焼き鳥。フランクフルト。等々。

クリスマスの飾りが。

マヤママは、おでんを。

他の店から、お惣菜が、大皿に載っている。

バイキング式に売れる酒のあて。

外国人のお客さんが、ビールのお代わりの催促を。

アルバイトのお姉さん達が、動きまわっている。


国道で、自動車事故が起こった。

パトカーが、消防車が、救急車が走る。警察職員が、SPの顔が変わった。

イブがテーブルにビールを持っていった。

男の人が、イブの手を掴んだ。

イブを囲む男達。

黒いバンが、歩行者天国に突っ込んだ。

投げ出された人々。

バンにイブを押し込める男共。

抵抗するイブの頭上で、拳銃が。

撃った男が、倒れた。

商店街から、ライフルを持った男達が、走って来る。

イブを離した男共、ライフルの男達を撃った。

イブは、男共の足下から、マヤママに向かって走った。

テーブルで飲んでいる人達が、転がっている。

男達の後ろから、飛ぶ弾丸。

マスコミが、カメラが映している。

テレビを見る人達が、青ざめた。

商店街の買い物客が、血を流して倒れた。逃げる人に銃弾が襲う。

テレビのキャスターが叫んでいる。

カメラが地面に。横倒しになってテレビに映っている。

キャスターがカメラマンの名前を呼んでいる。

首都、政府機関では、テレビ映像に青くなっていた。

警察がまだか! と、叫んでいる。

事故で、遠回りさせられるパトカー。救急車が、出払っていた。


イブの手を取ったマヤママ。マヤママを守るマヤとススム。

「なぜ?」

走るマヤママとイブ。

ママが崩れた。

「おばあちゃん!」

イブが!

肩を押さえる。血が流れた。

「おばあちゃんが撃たれた!」

男が、イブの腕を、掴んだ。

「おばあちゃんが撃たれた!」

「おばあちゃんを撃った!」

男は、飛んで、テーブルに落ちた。

「なぜ!おばあちゃんを撃った!」

誰かがイブを撃った。

イブが倒れる。

男共が走って来た。

イブの中から、光が。

男共の周りを回った。

光が固まって、壁を作った。

イブが現れた。

「なぜ、おばあちゃんを撃った!」

「なぜ、人を撃った。」

「なぜ、人を殺した。」

光のイブは、地球中に現れた。

銃を持っ人々をシールドで人間を閉じ込めた。

「なぜ、おばあちゃんを撃った。」

「ナゼ、人を撃つ!」

「何故、人を殺す!」

「なぜ!」

「何故!」

「答えろ!」

「答えろ!!」

マヤママの前。

シールドに囲まれた男が、撃った。

シールドをかけまわって、男の中にのめり込んだ。

「なぜ、あなたは人を撃つ!」

戦場で、銃を持つ人達に聞いた。

「なぜ、銃を持つ。」

「なぜ、銃を撃つ!」

銃を製造している会社にも、会社の社長や、重役にも。

「なぜ! 銃を作る!」

「何故! 人を殺すものを作る!」

銃を持つ人達にも。

「何故、銃を持つ!」

国家最高機関のトップ。

大統領にも。

「何故、あなた達は、戦争をしろと、命令できる!」

「命令する!」

イブの怒りが、地球の人達に入った。

「なぜ!」

「ナゼ!」

「何故!」

「誰か、教えろ!」


地面が揺れた。

太陽、地球、月。

太陽と地球の間に、宇宙船が現れた。

月が、地球に引きずられた。

宇宙船のワープ航行によって、太陽と地球の重力効果で、月が10万キロメートル、地球にと動いた。

海が荒れた。津波が、島を襲う。

いくつもの島国が、人間が、動物が、文明が一瞬に消えた。

宇宙船が、地球の重力を引っ張って、大陸では、地震が起きて、火山が噴火した。

大地が割れ、ビルが都市が呑み込まれた。

地球国際宇宙ステーションが、後、何分かで宇宙船に衝突する。

地上の有様をカメラで撮る乗組員。

「私を撮って!」

女性乗組員が、全世界に発信した。

「後、何十分かで、地球に現れた宇宙船にぶつかります。」

「パパ、愛している。ワガママ聞いてありがとう。子供私の代わりに、パパを助けて。」

泣きながら、船長をしている女性宇宙飛行士が、叫んだ。

マイクを投げる。何人もの宇宙飛行士が、乗組員が、最後にと、話をしている。

「いよいよだ!」

誰かがステーションの窓から見ている。

カメラが撮る。

大きい。デカい。

本体だろうか。大きな糸巻き状の宇宙船。葉巻タバコのような宇宙船。ミラーでコーティングされている。

その回りを3枚の翼が、螺旋状に回っている。

宇宙船が白いものを出した。

軌道修正をしている。

ステーションが宇宙船の本体と翼の中を走る。

宇宙飛行士達は、声が出ない。

「見ろ!」

「ア ン ド ロ メダ。」

「アンドロメダ!」

「木星にあるアンドロメダが現れたの?」

何度も軌道修正を加えた、アンドロメダ。

宇宙ステーションは、アンドロメダから離れた。

全身をカメラが捉える。

世界中の政治家が、科学者が、青ざめた。

デカい!

巨大すぎる!!

イブが、世界中の人に聞いている。

「なぜ!」

「ナゼ!!」

「何故!!!!」

アンドロメダ-イブの怒りが、アンドロメダを呼んだ。


まだ、姿を保っているイブの身体に、マヤが抱きついた。

「大丈夫。」

「大丈夫よ。おばあちゃん。大丈夫だから。」

マヤママが、イブを抱く。

「イブ。大丈夫よ。ありがとう。」

街は、炎に包まれた。

「あんたが町を壊した!」

町内の人達が、怒りをぶつける。

「止めて!」

マヤママが叫んだ。

「イブに、アンドロメダ-イブに、憎しみを、怒りを、悲しみを、教えないで!」

ススムが宇宙を見ている。

「もう遅いの。ママ。」

マヤが話した。

「アンドロメダが、意思を持った。感情を持った。」

「憎しみを。怒りを。」

「遅い! 今、アンドロメダは、地球の静止軌道上に現れた。」

ススムが次いだ。

「粒子エネルギーで、ワープ航行を。」

「そのエネルギーで、月が動いた。」

「巨大すぎるアンドロメダ。そのエネルギーは、惑星を破壊するだけのエネルギーを蓄えているから。」

「アンドロメダ自身、巨大なエネルギータンクだから。」

「ワープ航法の余波は、月の軌道も変えるエネルギーだった。」

「私達は、地球政府に言い続けた。」

「でも、日本政府も言い続けた。」

「でも、地球政府は、アンドロメダを受け入れてくれなかった。」

「地球人のレベルで見ている。」

「昔から、地球人は、地球人同士、価値観を持っていて、他の価値観の持ち主を否定したように。」

「己の利益しか考えていない人達によって。」

「多くの人々が死に、国が滅んだ。」

「どれだけのカネが動いたと思う。」

「どれだけの科学が、壊されたと思う。」

「どれだけのエネルギーが、ムダに亡くなったと思う。」

ススムとマヤがテレビに話している。


アンドロメダは、地球に降下している。

ススムは、何も言わない。マヤは、

「イブ。止めて!」

「何故、おばあちゃんを殺そうとしたのよ。」

「ママは、おばあちゃんが好きでしょ。」

イブが言った。

「でも、多くの人が死ぬのよ。」

マヤママが。

「おばあちゃんは、多くの人が亡くなるの、見たくないの。」

「でも、人間は、多くの人間を殺した。」

「今も、この人間達は、イブのお友達を、仲間を撃って、殺した。」

シールドの檻に入っている人間を見て、イブは、言った。

「あなた達の言う。」

「地球の歴史で、人間は人間を殺して、新しい時代、文化を作った。」

「他の生命体を破壊しつくして、町を、都市を、国を作った。」

イブが言った。

「イブは、おばあちゃんが好き。ママが好き。パパが好き。」

「おばあちゃんをいじめる人間は嫌い。泣かす人間を憎む。傷つける人間を、許さない。」

男は、イブの目を見ている。

「人の目でない!」

イブの腕にしがみつく、マヤママ。

止まる。イブが。

「ごめんなさい。イブは、あなたは、人を殺したらダメ。人を憎んだらダメ。」

「私の孫だから、人を好きになって。」

「お店にくるお客さんと、仲良しになるように。」

マヤママが、マヤが、イブを抱いている。

「ススム。」

マヤが呼んだ。

地震が起こっている。

地震で、いくつものビルが倒壊した。

マヤも見ている。

「何が?」「アンドロメダが地球の重力圏に入った。」


宇宙ステーションが、何度もアンドロメダを撮っている。

ゆっくりと地球に沈むアンドロメダ。バンアレン帯を裂いて、大気圏を割って、大陸に落ちる、アンドロメダ。

地上のテレビが、世界中に発信している。

炎を上げている。

翼が、炎をかき混ぜている。

地上に炎が落ちる。大地が割れる。都市が、呑み込まれた。

大地が動いた。軍の施設が、鉄とコンクリートで出来たサイロが壊れて、核ロケットが、核ミサイルが爆発した。都市を何個も揉み込む穴が出来て、放射能が渦巻きになった。

大陸を横切るアンドロメダ。海水が割れた大地になだれ込んだ。


「なぜ、アンドロメダが。」

「アンドロメダの重力。エネルギーでは、地球に及ぼす影響が大きいの。」

「宇宙空間で、粒子を使って跳ぶことは出来る。」

「地球を離れる事は出来る。」

「しかし、人間が粒子エネルギーを浴びて、遺伝子が書き換えられたときは?」

ススムが話した。

「人間が人間でなくなる。」

「地上に降下して、重力ジャンプする方が、被害が少ない。」

イブが話した。

「そんな、どうにかしろ!」

男達が怒っている。

「私達は、日本政府を通じて、地球政府に各国政府に、全てを発表したはずだろう。」

ススムが。

「それを、各国政府が、あんた達に命令した人達が、政治家が、軍事幹部が、科学者達が、否定した。」


マヤが。

「イブを、モルモットに、実験材料に、しようと、強奪したのは、誰だ!」

「俺達に怒りをぶつけるのはいいが、イブを解剖しようと考えた者達の責任は? 誰だ!」

「お前達に命令したのは、誰だ……。」

カメラが撮っている。

「楽しいだろう。人間を殺して。」

「私達の母星を、壊して、人間が住めない世界にして。」

イブを襲った男達に、ススムは、缶ビールを渡した。

「あんた。子供は?」

「このようなことが起こると予想して、私達は地球に警告していたはずだ。」「それを、無視して、イブを奪い取ろうとした者は、誰だ!」

「あんた達の家族、生きていたらいいけど。」

泣き出す、人々。


大洋が大波を立てて海岸を襲う。

大地が崩れて、海が割れて、海底の地面が見える。

タンカーが、貨物船が、大型旅客船が、滑り落ちる。

炎を上げる船舶。

その上に海水が襲いかかる。

ステーションが、望遠カメラで撮っている。

軍部の偵察機が、世界中に。

偵察機が、大波に飲まれた。

今や、大国という名を言うの国は、全て亡くなった。

国が、軍隊が、警察が、民を守ってくれなかった。


日本も、次々と火山が噴火して、地震が、大陸棚が崩して、村が町がなくなった。

多くの核発電所が、爆発して、炎を上げている。

「俺の責任でない!」

プレス会場で叫ぶ、大統領が。

罵る、大臣達。

「お前ら、俺に押しつけるな! 賛成しただろう!」

台風が大量に発生して、渦巻きが襲う。

町が、都市が、凶器となって、人々に襲う。


宇宙ステーションの乗組員が見たものは。地球が動いている姿。

大地が動き、大陸が移動している。

たった何時間のあいだに、目で見える距離を移動する地球。

「おやじ。おふくろ。俺達、旅立つよ。」

「ママ。行くね。」

アンドロメダが、ススムの頭上に来た。

アンドロメダと、読める。

「このままでは、おばあちゃんが死んでしまう。」

イブが抱きついた。

日本政府は、今、踏ん張っている。

内閣総理大臣が、ススムと話をしている。

「おばあちゃん。大好き。」

「また、会いにくるから。」

抱きしめて耳元で話すイブ。

うなずく、マヤママ。


アンドロメダが、エレベーターを降ろした。

アンドロメダに入ったススムとマヤ。イブ。

アンドロメダが翼の回転を上げた。

地球の重力ジャンプに入るアンドロメダ。

日本から、大陸に進路を取る。

ユーラシア大陸が、国という国が、揺れた。

街が、都市が、崩れて大地に帰った。

道が壊されて、自動車が、竜のように燃えている。

国会議事堂が破壊されて、多くの人が、土埃に埋もれた。


ゆっくりと、昇る、アンドロメダ。

宇宙ステーションが、地球を離れるアンドロメダを撮らえた。

大きくなった月を背景に。

それは、神々しいものだった。





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