アンドロメダ /34
家に帰って1ヶ月が経った。
毎日のように、ススムとマヤの動きをテレビ番組は流している。
朝、ススムとマヤは県立図書館に行く。
そして、半日以上、図書館にいる。SPがマヤ達の前で立っている。
で、昼過ぎに、お弁当を持って、芝生で食べて、話をしている。
その毎日。絵にならない。
マスメディア各社が話す。
電車移動なので、護衛も、マスメディアも、満員電車の中、同じ車両にと頑張る。
イブが見て、なんでとマヤに聞いたぐらいだ。
ススムが自転車で、本屋に走った。
バイクに自動車にと、付いてくる。
本屋のコミックを立ち読みをするススム。生放送で流れている。
コミックから、見てはいけないコミックに手が伸びた。
放送が終わって、スタッフの姉さんが、話している。
赤くなって。マヤママ。「男の子ダネ。」
笑っている。
「マスコミ、からかって!」
マヤが。
ススムのおふくろは、お茶たいむの中、テレビを見ていた。
その日も、ススムとマヤとイブが出かけた。
散歩と行って駅に向かう3人。
SPのガードの中、マスコミが離れた。
SPが続く。
本部と連絡しあうSP。
電車の中、SPと報道関係者の何人かが来ている。
「今日は少ないね。」
イブが話した。
駅を降りたススムとマヤとイブ。
「お菓子買うの!」
駄菓子屋にマヤが入った。
「あらあら、あんた、神隠しにあった子だね。」
話す、おばあちゃん。
イブが不思議な顔で見ている。
この子だね。アンドロイドって子は。」
なぜだか、近所のおばさん達が集まってきた。
「んで、これからどこに行くのだい。」
学校に顔出しに行くと、話す、ススムとマヤ。
「イブに学校を見せるの。」
マヤが。
SPが連絡した。サイレンが鳴って、学校を取り囲んだ。
昼過ぎのことだった。
校長も、教師も、慌てている。
警護体制が整ってない中、ススムとマヤ、イブが校内に入った。
マスコミが、マスメディアが学校の取材をと、学校関係者に、校長に話している。
職員室で、校長先生に、教師達に挨拶したススムとマヤ。
カメラが、キャスターが取材をしている。
その後、教室に向かった。
生還を喜ぶ学生達。
その中で、マヤが坂上光と話をしている。
元気だった。と聞くマヤ。
うなずくヒカル。
ゴメン。謝るヒカル。
「私もヒカルと同じことしていたと思う。ケガした人と歩くのって、ペース狂わされて、しんどいから。」
机を囲んで、イスに座るマヤとヒカル。
「あの日、私が麦わら帽子を飛ばしたから、ススムが帽子を取りに行ったからと、偶然が偶然を重なって、事故になっただけ。」
「あなたは、そう言うのね。」
「ウン。だから、木星のゲートが開いたの。」
「だから、ススムと仲良くなったの。」
「あの日、ひとりでいたなら、木星に行った私は、気が狂ってここにいなかったと思う。」
「だって、あんな大目玉、ひとりで見たら気が狂うは。」
笑って言う、マヤ。
ヒカルも思わず笑った。
「ススムが、アニメオタクでよかった。」
「SFの本を読んでいてくれてよかった。」
「私の知らないことを、アンドロメダと話してくれたの。」
「だから、地球に、帰れたの。」
話す、マヤ。
「だから、今、学校にいるの。」
みんなが聞いている。カメラが撮っている。
「ヒカルに、みんなに会えるの。」
その中、ススムが困った顔で来た。
「校長がみんなの前で話せって。」
「ススムガンバレ!」
驚くススム。
「パパ。ファイト!!」
誰が教えたのか、イブが言った。
「えっ? 俺? 俺が話の?」
全校生徒が体育館に移動する。
SPも、政府関係者も、体育館に集まった。
マスコミが、見えている。
校長の挨拶の後、ススムとマヤ。
「帰って来たぞ!」
と、怒鳴った。笑う学生達。
「木星の話って言っても、テレビ放送で話したけど!」
笑った。
「何か言って欲しいことは? 聞きたい事は?」
マヤが聞いた。
「学校はいつから?」
「わからない。この学校で勉強できるか、政府機関の学校に行くか?」
「でも、体育祭は出たい!」
ススムが。
「警護がねぇ。」
笑っているSPに、政府機関の関係者に、話を持って行った。
「ススムの無茶が始まった。」
ススムの仲間が叫んだ。
「まず、警護体制が出来てから、ですね。」
「SPの先生が来て教えてくれたら、国体に出られるかも?」
マヤが言った。
「その前に、倒れるかも。」
SPのお姉さんが言った。
笑わせるSP。見ている学生達が、SPに聞いた。
「ススム、言うこと、聞きますか?」
「まあまあかな? 今日も学校まで、散歩に来たのよ。」
笑う学生達。
「あの。」
と手を上げた学生。
「なんで、5000万年前に、戦争したのですか?」
マスコミも聞かなかった問題。
「わかっているところでいいのなら。」
ススムが言った。
アンドロメダの最初の目的は、恒星探査だった。
人間の移住惑星を探す目的だった。
そのデータから、惑星改造できるか?
移民出来るか、調べる為の、探査の為、多くの探査船が、技術船が、惑星改造に向かった。
「テラホーミング、名前は聞いただろう。」
ある恒星軌道の惑星に調査した時、他のエイリアンも探査、移住計画を進めていた。
広い銀河宇宙にある、他の星間国家だった。
その惑星国家とは、ファストコンタクトだった。
星間国家として、お互いの首都に報告したらしい。
しかし、国家代表の宇宙船が現れた時に、険悪になった。
アンドロメダを作った星間国家は、コンタクトに、惑星探査用の宇宙船で現れた。
もうひとつの星間国家は、宇宙戦艦で来た。
移民惑星を巡る戦いは、すぐに起こった。
お互い、惑星の主張をした。
それだけ、テラホーミングが、簡単な惑星だった。
生物が豊富で、文明を持った生命体がいなかった。
すぐにでも、移住が出来る惑星だった。
相手側の宇宙戦艦が、探査用宇宙船に、攻撃した。
「これが戦争の始まりのようだった。」
そして惑星では、戦争が起こった。
惑星の主張をした戦争。
惑星に住んでいる生命体の権利を無視した、虐殺。
どちらがしたのかわからない。
アンドロメダに、記録されてなかった。
我が手に入らないのなら、惑星を攻撃する。
戦争の中、戦艦は惑星を破壊した。
水があり、生命が、生物が、死んでいった。
惑星のコアに、エネルギー爆弾を投下した。惑星が爆発して、調査船が、技術船が、戦艦が、破壊された。
軍隊が、一方的に殺された。
敵を作った星間国家。
我が国民に、正義を! 敵に、鉄槌を!!
お互い、終戦協定を考えた惑星国家もあった。
多くの星間国家は、国家は、相手を我が敵として、惑星戦争から、恒星戦争に、星間戦争に突入した。その時間は、速かった。
その頃、アンドロメダが、宇宙戦艦に改造されたみたいだ。
終戦を考えていた惑星国家は、早々に星間国家から離脱した。
星間戦争は、終わることのない泥沼に入った。
5000年? 6000年?
星間国家の名のもとに、数多くの軍人が、戦士が、戦争に駆り出されて、惑星を破壊、粉砕して、数多くの宇宙戦艦が作られた。
そして、数多くの戦艦が破壊されて、人間が死に、戦争の為にすべてが消耗された。
そんな中でも、星間国家は、最後の国力をすべて注いで、最後の戦争を、この太陽系で、地球で、した。
そして、第5惑星を爆発させて、敵兵力は、アンドロメダの破壊を計画した。アンドロメダは、船が生きたいと、思い、すべての敵の壊滅までもっていった。
アンドロメダは、移動するエネルギーまでも使い果たした。
アンドロメダにとって、よかったことは、生き延びた敵戦艦が、恐れて、戦線離脱したことだった。
あの時、アンドロメダが攻撃されたなら、木星の大渦巻きに食べられていただろう。
アンドロメダは、迎えに来てくれるのを待っていた。
その後、アンドロメダは?聞く学生。
アンドロメダは、エネルギー不足で、子供のようになった。
アンドロメダのメインコンピュータは、数%しか働いてなかった。初期段階のコンピュータのように。
アンドロメダのエネルギー炉では、粒子がぶつかって、増やした。
偶然かもしれない。
アンドロメダは、エネルギーを増やす方法を思い出した。
アンドロメダは、地球に降りた戦士達の進化に、時間を知った。
5000万年の時間が過ぎた。
「もし、みんなが、ひとりで、待っている。」
「助けを呼んでくると言われて、来なかった時、どうする?」
「アンドロメダは、5000万年の時間を待ち続けたんだ。」
「時を知らない宇宙戦艦が、待っている時を、時間を知ったとき、どうなる?」
「なぜ?」
「ナゼ?」
「何故?」
「心を持ったアンドロメダは。どうなると思う?」
「星々の中でひとり。助けを求めて叫んだ!」
「来ない助けを。」
「許すだろうか?」
「気が狂うだろうか?」
「自殺を考えるだろうか?」
「アンドロメダが今、自殺しないのは、家族が出来たから。」
「でも、コンピュータが、宇宙戦艦が、人間と同じことをするとは考えられないのだけど?」
「5000万年の時が、アンドロメダになにをしたのか?」
「何を考えさせたのか?」
「アンドロメダには、時間だけは、あったと思うよ。」
「じゃあ、今のアンドロメダは?」
「まだ、自殺を考えている。」
「でも、私達がさせない。私達が家族だから。」
マヤが話した。
「今、楽しいの。」「パパとママ。おばあちゃんといることが。」
「生きることの楽しみを見つけているところなの。」
イブが笑った。




