アンドロメダ /33
ススムとマヤは家に帰った。
記者会見の後、地球各国政府の対応が決まらない以上、することが無くなった。
毎日が東京見物。
マヤが、言った。マスコミのインタビューに。
「大名行列みたい。」
警官に、マスコミを連れて、歩くイブとの3人。
散歩と言っては、ホテルから出たススム。
本屋で、1時間以上、立ち読みをしている。
3人で出かけた。途中、切符を買って、駅に入った。
駅中ショップで、コーヒーを、ランチタイムに入る。
ディズニーランドにと、マスコミ各社に報道されている。
他の来客と話すススム。マヤとイブ。
遊び回る3人。スタッフが、SPが、慌てている。
歩き回る3人に、SPが警官が、ガードに召集された。
もう、遊ぶことが無くなったススムとマヤ。
防衛庁管理のホテルで、イブと遊んでいる。
日本政府は、ふたりの姿を見て、実家に帰還支援を考えた。
何ヶ月の実家に戻ったススムとマヤ。イブは、マヤの居酒屋で過ごしている。
居酒屋に帰った日は、臨時休業にして、ママさん、ママのお姉さん。スタッフお姉さん達がマヤを祝ってくれた。
マヤとイブの護衛を務めるSPに、自衛隊員に、政府関係者に御礼を言って、禁じられているビールを薦めるママさんにお姉さん達。
イブが、狭い店内を散策している。
食事中、わからないことを聞くイブ。
おばあちゃんと、呼ばれて、赤くなる、マヤママ。
「でも、本当になにも知らないのね。」
お姉さん達が呆れた。
「データとしては、記録はすごいの。」
「でも、コンピュータだから、人間を見てないから、人と人の付き合いは、子供ね。」
教えてもらった囲碁をするイブと自衛隊員。
イブが勝った。
喜ぶマヤにママ。
おでんを初めて食べるイブに感想を聞く、お姉さん達。
おにぎりに、卵焼き。さかなの煮付けに、野菜サラダ…。
イブがおいしいと驚く姿に、喜ぶみんな。
「アンドロイドが、こんなに豊かだとは。」
見ている。
ススムの家では、お父さんとお母さんがススムにと、好きなものを作っていた。
何人かのSPに政府関係者が、ガードに来ている。おやじが、おふくろが、テーブルにと、誘った。
「おやじ、テーブル、かえ変えたのか?」
ススムが。
「慣れないのか?」
笑うおやじ。
「いつも、テーブルで勉強していたのよ。」
SPに、おふくろが話す。
「えっ? 部屋があるのに?」
「ね。怪獣の巣でしょう。」
スマホを見せる。
「おふくろ!」
「言われたくなかったら、きちんとかたづけなさい。」
「これから、国の多くの人が、家に、部屋に入るのだから。」
「プライバシーはないと思いなさい。」
笑って話す、おふくろ。
「それで、ススムは、いつまで家にいるのですか?」
聞く、おふくろ。
おやじも政府関係者を見ている。
「まだ、なんとも言えないんだ。」
ススムが言った。
「できれば、おやじ、おふくろと住みたいけど。」
「学校にも行きたいけど。」
「だろうな。」
「ススムの警護をお願いいたす。」
おやじが言った。
翌々日の日曜日、昼過ぎには、ススムの家族がマヤの居酒屋にいた。
ススムとマヤ、イブがカウンター席に座っている。
1番いいテーブルに座らせたかったママ。
キッチンにと言うマヤに、
「主役がキッチンに入ってはダメ。」
スタッフのお姉さん達に言われている。
何回もの乾杯。
ススムは、甘いジュースに代わって、ソーダ水を飲んでいる。
お姉さんが、ススムのおふくろにと、おでんを出している。
SPも、交代で、ソーダ水で、乾杯している。
店の外に、ススムとマヤ、イブの帰りを祝って、誰かがパーティーのはじめた。
家にある、キャンプ用のテーブルを作って、ビールや、肴やと、持って来ている。
肴がないと皿が空いた。
家から、唐揚げを、サラダの差し入れを。
惣菜屋のおばさんの、魚の煮付けの差し入れ、スナックのママさんからのウイスキーに、ワイン。酒のビンの差し入れが、届いた。居酒屋のママさんは、今、作った惣菜を持ってきてくれる。
「今日は、開けても客来ないから。」
笑いながら、商店街の仲良しママさんの井戸端会議。
酒を飲みながらの井戸端会議。
マヤママも参加している。
で、居酒屋は? マヤがキッチンに入った。
どこの誰かが、工事用の赤いコーンと、黄色棒で、自動車道路を封鎖した。
居酒屋の、スナックの前の道路にテーブルが置かれて、ビールが、肴が置かれた。
知らない人達も、ススムとマヤの帰宅パーティーに参加した。
ススムのおやじも、会社の社員を何人も呼び出すぐらい、楽しんでいる。
昼過ぎから始まった、パーティー。夜遅くまで続いている。
パーティーは、夜遅くまで行われて、
「もうダメ。」
ススムとマヤ、イブは、酔っ払い達を後にして、2階に上がった。
その次の日曜日には、ススムの会社の駐車場で、バーベキューパーティー。
マヤのママさん、お姉さん達。呼ばれてのパーティー。
会社の社員、家族。取引先の社長に社員が、お祝いに来てくれた。
バーベキューと聞いて、取引先から、肉が届く。
野菜が、山盛りに、社員のママさん達が、切って、焼いている。
そして、どこの政府機関の代表が、ススムと、ススムのおやじと挨拶をしている。
ススムとマヤ。
イブが手伝いを買って出た。
「ダメよ。主賓が働いてては。」
ママさん達が怒っている。
ススムのことをよく知っている社員のママさん達。
日帰りハイキングで、ススムを頼りにしている。
大人の中には、お酒ダメシールを貼っている人達が。
「あんた、警官?」
「イエ、車で来たので。」
「私、すぐ赤くなるので。」
言う人達。
それ以上すすめない。
ウーロン茶で、ソーダ水で乾杯を祝う人達。
ススムとマヤが、子供ビールを持って来た。
「本当は?」
「飲みたいです。」
本音を話すSP。政府関係者達が。
ススムとマヤは、子供達のヒーローだった。
ススムのおやじが、会社のカメラで写真を。
木星軌道の大渦巻きのパネルをバックに撮る。
子供達と、親子連れと一緒に入る、ススムとマヤ。
大喜びの子供達。
何度も囲まれて、宇宙の話をするススム。マヤにイブ。
帰りに、握手をする。
おやじもおふくろも、ママも、楽しんでいる。
焼けた肉を食べながら、会社の人達と、取引先の社長、社員と話をするススムとマヤ。
誰かがマヤママに聞いた。
「どうです。お孫さんが出来た気持ちは?」
「複雑です。38で、娘と同じ歳の孫が出来て。」
笑って話す、マヤママ。
お姉さんが入って来た。
「でも、30、40で、子供を産むことを考えたらいいことよ。」
話がおかしくなった。
「子供が成人したときは、60でしょう。」
「孫なんて、抱けないよ。孫の結婚式なんてね。」
「私も、子供を産めない体だから、マヤは、私達の子供よ。イブは孫。」
「でもね。双子になったのよ! 双子に!」
「成人式の着物、ふたり分いるのよ。」
頭を抱えるママと姉さん。
「私がプレゼントしますよ。」
「このおじいちゃんが。おばあちゃんが。」
言う、おやじとおふくろ。
喜ぶマヤに見ているイブ。
この話は、新聞に、テレビに流れた。
パーティーの中、会社の会議室では、日本政府の大臣が、アメリカ合衆国政府の領事が、そして、世界中の代表達が来ていた。
ススム、マヤ。ススムのおやじが参加する中、日本の、世界の経済産業を動かす人々が、アンドロメダの技術開発を進める研究所の創設等々、語った。
「でも、まず、資金ですね。」
「企業が旗を掲げる事は出来ないから。」
「国家プロジェクト、イヤ、地球プロジェクトです。」
「国家予算の何年分の予算がかかりますよ。」
マヤの説明した。
アンドロメダが設計したワープエンジンの3Dモデルを投影して話す、イブ。
その大きさ、そして、費用に、青くなる各国の大臣に、社長達。
まして、エンジンだと話す、イブ。
宇宙船は、この星の生命体が作ることになると、話す。
で、アンドロメダの技術開発研究所兼会社の代表取締役に、ススムのおやじと話しがでた。
「私には、……。」
話すおやじ。
「私達は、あなたの家族も調査しました。」
外国の政府機関代表が話した。
「ススム君と血のつながらない男を取締役に入れたくない。」
「まして、公私混同して、会社のカネを使うものに。」
言う日本政府関係者。
「ひとつ聞きたい。ススム君とマヤさんは、地球と、アンドロメダと、どうつなぎたいと思っている?」
ススムもマヤも考えている。イブが見ている。
「では。私達の夢は、地球が、銀河宇宙で政治のリーダー的な役割を持つことです。」
ススムが言った。
「どう言うことだ!」
「俺達は、アンドロメダのデータから記録から5000万年前の政治、経済、宗教、人種等、見てきました。」
「地球に帰ってから、私達は、人類史、世界史を学びました。」
「まるで、5000万年前の宇宙が、地球史に見えてきた。」
「惑星国家、星間国家も、ひとつの岩ではないのですよ。」
「多くの国が、多く人々が集まって作られたものです。」
「この地球のように。」
「だから、戦争による、力による平和ではなくて、和解と理解によって、平和な地球を作つれたら、アンドロメダも力を貸しましょう。」
「人類は、銀河宇宙での指導的立場をとることが出来ると思います。」
「それをススムくんに、マヤさんにしてもらいたいんだ。」
「それで、本当に平和な世界が訪れますか? 」
「地球の人類史で、指導者が現れて、人々が幸福に一生送れたでしょか?」
「力で、兵器で抑えつけることは、本当に平和が訪れるのです?」
「人々が、私達の持つ旗の中、平和の道を進んでくれますか? 70億の人間が。」
「もしかして、私達のあるべき姿は、独裁者に変わるのですよ。」
「ナポレオンであり、ヒットラーなのですよ。」
「独裁主義。共産主義。そして、民主主義のなかにも、独裁的政治を行う人達がいますよね。」
「政治とカネ。」
「国家プロジェクトを組むことで、見えないカネが、人々の間を飛んでいる。国民が見えないなかで。」
「そして、ひとにぎりの人達が、いい思いをするのですか?」
「それは、地球の人類歴史が物語っています。」
「私達が先頭に立って動くと言うことは、地球人によいことでしょうか?」
「もし、地球国民から、不満が出て、俺達は、どうなります?」
「その時、イブは、何をしますか?」
「アンドロメダはどう動きます。」
「日本列島と同じ大きさの宇宙船。アンドロメダが、地球に及ぼす影響は?災害は?」
「私達の身体を守る為に、地球を攻撃するかもわからないのですよ。」
聞いた、ススムとマヤ。




