アンドロメダ /30
ススムとマヤが話始めた。
ハイビジョンテレビのスクリーンには、木星の映像が現れた。
「リアルタイムの映像です。」
話す、ススム。
木星の大渦巻きがスクリーンいっぱいに現れた。
球場のアルプス席から、ハイビジョンテレビの全体が映らない。
壇上の人々が、小さく見える。
「これの数百倍の大きさです。」
「今の地球の技術では、この大きさが限界なのです。」
エイリアンシップから、白い霧のようなものが噴射された。
エイリアンシップの下から、金属の隕石が、現れた。
スクリーンから、はみ出した隕石。
ススムとマヤが、暗く、小さく、見える。
点滅して、大渦巻きに呑み込まれる隕石。
稲妻を上げて、隕石をとらえる木星。
爆発して、炎を上げて、大渦巻きの中に消えた隕石。
「5000万年前の宇宙戦艦の残骸です。」
星屑。多くの星が、崩れて大渦巻きに食べられた。
地球国民が驚き、体調を崩す人が多くなった。
国民がパニック障害に陥った。
救急車を呼ぶコールサインが鳴り響く。
繋がらない。人々は、病院に走った。
自動車で、病院に向かう人達も。
病院の中は、体調を崩した患者の手当てでドクターがナースが走っている。
薬が、無い。
その中には、体調を崩したドクターが、ナースがたくさんいる。
地球各国が、世界中が、こんな状態になった。
会場のドクター、ナース達は、体調を崩した人達の家族に、手当ての仕方を放送している。
何度も見ている木星軌道の映像。ドクターもナースも、慣れたかと言えば、身体が拒否反応を起こしている。
しかし、家族全員がパニック状態になっている。
初めて見た人々は、もしかして? と、思った、ドクターにナース達。
放送関係者の中にも、体調を崩した人達が、倒れた人達が手当てされている。
ススムとマヤも、手当てに走っていた。
過呼吸の中、身体から、口から、吐き出す人達。
口を広げるドクターに、ナース。自衛隊員。
ドクターコールする人が。
日本政府から、各国に、世界中の人々に、休憩に入ると、放送した。
地球国民が、ススムとマヤの持って帰ったものを見て、震えている。
初めて見る木星の映像。まだ、科学が浸透していない国。世界では、パニックになっていた。世界中から、抗議が、クレームが届いた。
しかし、ススムとマヤが全てを語ったのち、最後には、地球全体が恐怖となった。
数時間後、再会した会見。
日本政府関係者は、内閣総理大臣は、ススムとマヤに、すべての情報公開を許した。
日本国、内閣総理大臣が、すべてを話すことを言った。
「では。」
話す、ススムとマヤ。
スクリーンに出した映像は、宇宙戦争だった。
日本国民が、世界中の人々が、始めて知る映像。
アンドロメダが最後に戦った、太陽系での大戦争の映像。
地球近隣から木星軌道に進むアンドロメダの大艦隊。
宇宙戦艦が小さく見える。
地球の戦艦の何倍もの大きさの宇宙戦艦が、アンドロメダと並んだら、小船のようだった。
アンドロメダを援護する、戦艦部隊。戦闘機部隊。
宇宙戦艦艦隊の流れは、木星から地球まで伸びていた。
アンドロメダを破壊しようとする敵の艦隊。
土星軌道から、第15惑星、魔王星に伸びる敵の主力艦隊。
伸びきったアンドロメダを中心とした、味方艦隊。
木星と土星軌道では、戦争が始まっている。
味方艦隊、数十艦を粒子分解して、ワープをして、敵艦隊司令艦に送った。
敵艦隊の前に現れた宇宙艦は、宇宙戦艦と、激しい戦闘に入った。
1隻に1隻!破壊しては、次の戦艦に。
もはや、戦闘と呼ばれるものではない。
武器が、兵器がない状態の両方の戦艦。
体当たり部隊だった。
戦艦の乗組員たちも、数人で動かしている。それだけ、長く、消耗戦を続けていた。
その中、国家も、軍隊も、停戦協定を結ぶ事を考えていなかった。
これを勝てばと、考えている。
第5惑星の軌道に進んだアンドロメダ。
第5惑星から、カモフラージュしていた敵戦闘機部隊が、アンドロメダに襲いかかる。
翼の回転を早めて、粒子シールドを張るアンドロメダ。
何十艦もの艦をワープさせる、アンドロメダ。
その隙を狙って、シールドを破って、侵入する、戦闘機部隊。ロケット群。
戦闘機から、ミサイルが撃ち込まれた。
回転する翼にひびが入る。回転している度々に、亀裂が広がった。
第5惑星から、閃光が上がった。
第5惑星が爆発した。
第5惑星を包む大気が燃え尽きて、水も蒸発した。
炎を上げて、いくつもの破片になる惑星が。
砕け散った惑星の破片。
第5惑星の生命体は、生き物は、生物自身の体に、身に、なにが起こったのかわからないまま、炎に包まれた。
惑星の無数の破片が、アンドロメダに迫る。何百と超える破片。
シールドを最大限界にして、アンドロメダは自身を守った。
シールドを突き破って、襲いかかる、惑星の破片。
翼に、破片が。壊れる、翼。
亀裂から、人間が吸い出された。
多くの、何千もの人間が。
アンドロメダの処置システムでは、亀裂を塞ぐことが出来なかった。
それだけ大きく破壊させた。
爆破が爆破を読んで、ひとつめの翼が破壊された。
翼を破壊させて、惑星の破片を壊す、アンドロメダ。
2枚の翼も、多くの破片が刺さり、亀裂が、大きくなって行った。
アンドロメダの指揮する人間は、ほとんどいなくなった。
艦長を呼ぶ、スピーカーの声。
第1、第2艦司令艦は、人間もいなくなった。
戦艦が、爆発する中、多くの戦艦が破壊する中、アンドロメダに指示する人間が、いた。
「最後の命令を出す。」
「敵艦隊を全滅せよ。」
「お前だけでも、生きろ!!」
命令を出した人間は、身体中から、体液を噴射して、生命活動を終えた。
ふたつめの翼も、いくつもの破片になって、敵、味方艦隊に流れた。
翼は、敵艦隊、味方艦隊に当たり、艦隊を破壊した。破壊させた戦艦は、ただよい、戦艦に当たった。破壊された戦艦は、戦艦を襲って破壊をする。
アンドロメダは、最後の翼を切り離した。
敵艦隊の中心に、翼を飛ばしたアンドロメダ。
司令艦の横をかすめた時、アンドロメダは、粒子を全方向に向けて、放った。
粒子は、翼を破壊した。
敵司令艦は、前で翼の破片が当たって、爆発した。
破片は爆発を起こして、新たな破片を生み出した。
その破片に当たって爆発する艦。
艦が、逃げた。
舵を切った先に、艦が。
爆発する2隻の艦。3隻の艦隊。
味方艦隊にも、多くの破片が当たり、艦隊が破壊された。
炎と輝く光の玉が消えた時、アンドロメダが、何十艦が、宇宙に漂っていただけだった。
何億と数えた両方の宇宙戦艦部隊が、全滅した。
戦闘をモニターしていた敵、味方の惑星国家はただちに、終戦調停に入った。
水球、水のある惑星。
生命、生物のいる惑星を破壊しての戦闘行為。
アンドロメダの、戦艦破棄。
その損害は、両国の惑星国家には、戦闘する国力、戦艦、武器、兵器、がなくなった。
戦争を続ける為の、財力が、無くなった。
両惑星国家は、アンドロメダの戦闘力を恐れて、破棄を盛り込んだ、終戦調停書にサインをした。
戦艦の破片の中、アンドロメダは終戦調停が行われたと、知った。
これで、また、惑星探査に出られる。
人間を乗せて、星々を飛べる。
しかし、アンドロメダは、傷が、つきすぎた。自身では、航行不能な位に。
戦艦も、アンドロメダを曳航する力がなかった。
『必ず、お前を迎えに来る!! 』
言い残して、人間は、戦場から、去った。
5000万年の間、アンドロメダの存在は両惑星国家の国家機密事項になって、木星の大渦巻きに消えたとされた。




