アンドロメダ /24
朝、ススムとマヤは、小型バスに乗り込んだ。
他に、8名の人が乗り込む。
サマージャケットに身を包んだ男性達。
女の人は、スカート姿でいる。
ススムもマヤも、昨日までのハイキング姿から、旅行姿に変わった。
マヤのやけどの後も化粧でかくしてくれた。
家族、親戚の旅行か、会社の旅行に見える。
バスは、東京のレンタカーのものだ。
ススムは1番後ろの席に、マヤは中央の席に案内された。
ススムの横には、女性が座った。
「国の人達?」
ススムが聞いた。
笑う女性。SPたと言った。
女性は、内閣情報局のスタッフ。
マヤも、SPと知って、今日一日、家族になりましょうと、無理を言う。
「どうしたのですか? マヤさん?」
聞く内閣情報局のスタッフの女性。
「うれしいんですよ。偽者でも、家族旅行が出来ることが。」
「居酒屋を経営しているから、旅館に泊まったこともないみたいだし、旅行もなかったみたいでね。」
マヤを見るスタッフ。
バスが走り出した。
マヤ、カーテンを開けて見ている。
「このまま、東京か。」
言うマヤ。
ススムの前にICレコーダーが置かれた。
タブレットを見せるスタッフ。
ススムとマヤのスマホのデータが入っている。
「詳しいことは東京で。」
言うスタッフ。
予備知識がほしいと言う。
何でもいいから、話してほしい。
タブレットからの映像を見て話すススム。
前には、何台かのバイクが、自家用車が走っている。
マヤ。高速に乗ると、トイレにいきたいと、騒いだ。
サービスステーションにと、入るように指示するSP。
バイクが入って行く。
カーテンを開けると自動車もついて来た。
マヤ、トイレに入った後、土産店に入った。
買い物籠、ふたつの山盛りのお土産。
レジでは女性SPが、領収書をと言った。
マヤ。ススムを探した。
「いない! 逃げられた!!」
言うマヤ。
ススムは、スタッフのお姉さん達と、アイスクリームをパクついている。
やっとバスに帰ったマヤ。
スーパーの袋、3個も4個も持って乗り込んで来た。
バスが走る中、運転手にお菓子を、SPにお菓子を、渡す。ススムにお菓子が流れて来た。
「ごめんね。ビール無くて。」
笑う、マヤ。
「ねぇ?カラオケないの。」
ひとりではしゃぐ、マヤ。
1曲ごとに拍手を求めるマヤ。
スタッフのお姉さんも、タブレットを置いて、見ている。
「いつも1曲しか歌えないの。」
居酒屋の話をするマヤ。
「学校から帰ってママと仕込みするの。」
「夜、お客さんの少ないときにカウンターで食事して、お客さんに酒を出したり、料理を作ったり、話相手になったり、11時、12時頃まで手伝うの。」
「それから、宿題に予習して、朝、早く起きられたら、店のかたづけ。」
話す、マヤ。
「ススム。私、卵焼き、うまいの。」
「それに、天ぷら。焼き鳥は串にしないで焼くのよ。お客さんに要望で、玉ねぎやピーマン。白ネギ焼いてね。」
「ママのおでん。食べたいな。」
黙った。
「時々、お客さんが、早く帰った時、ママと夜食出来るの。その時、必ずおでんよ。残りもののオンパレードだけど、ママと食べるのが、おいしかったな。」
静まり返ったバスの中、マヤがむちゃぶりを。
「何よ。静まり返って!」
「楽しくない!」
「ねぇ、誰か歌ってよ。」
SPの人達にマイクを回す。
手を叩いて喜んだ。
昼はサービスステーションのご当地弁当。
バスの中で、話して、食べて、楽しむマヤ。
そして、いつの間にか寝ている。
「店でも、こんな事しているのかしら?」
お姉さんが見ている。
「いつも、お客さんの相手をして、お客さんに囲まれた生活だったからな。」
別れる時は、SPのお姉さんと手を振った。
「またね。」




