アンドロメダ /23
ススムとマヤ。シズクは、神の社に閉じ込められていた。
参拝者が帰って、時間が経っている。
神の社の扉が開いて、明かりを持って来た神官達。
神主が、自動車の用意ができましたと、伝えた。
シズクと話をする巫女さん達。
ふたりの巫女は、帰ったと言った。
街頭もない暗闇の中、提灯の光だけで移動する、神主に神官達。
巫女さん達。
ススムとマヤ。川だろうか? 水の音が聞こえる。
「真っ暗。」
「神秘の世界だな。」
ススムとマヤが立ち止まって見ている。
「昔は、こんな世界が、日本中にあったのでしょうね。」
シズクが、横で言った。
社殿の前には、黒いバンが待っていた。
バンの前。
マヤとシズクがスマホで撮っている。
「ススムも。」
3人で撮る。
「また、会おうね。」
マヤが手を振っている。
バンが走る。運転席の時計で、30分程度走った。
バンは、地下駐車場に入った。
そこから、エレベーターで、最上階に移動した、
ススムとマヤ。
エレベーターの中では、誰にも合わなかった。
通路でも。
ホテルの部屋に案内されたふたり。
ベッドルームが何室もあり、リビングルーム、バスルームも、いくつもあった。
「このルームをお使い下さい。」
ホテル関係者だろうか?
「すごい!」喜ぶ、マヤ。
「このルーム、いくらですか?」
ススムが聞いた。
「それは、……。」
と言うホテル関係者。
「このルーム、王室関係者も泊まました。」
「いいのですか? 使って。」
マヤが…。
全部のドアを開けて、見る、マヤ。
ホテル関係者の女性だろうか? マヤの後ろをついている。
「すごい!お姫様見たい!」
天幕のベッドにダイビングした。
黒服の女性が笑った。
「マヤ!」
「いいのですよ。お子様はいつもそうします。」
ルームサービスの女性が言った。
「私、お子様じゃない。」
言って、ドアを閉めた。
少しして、ドアを開けたマヤ。
バスに湯が入ったと、サービスが言った。
バスルームで、溶けるぐらいに入ったススム。
リビングルームには、夕食の準備が出来ていた。
マヤがバスルームから出て来た。
身体中、真っ赤になって。
サービスのお姉さんが、水を持って来た。
バスローブに包まれたマヤ。
「一生分のお風呂に入った。」
とか、言っている。
「何日も入ってなかったからな。」
笑った。
ルームサービスのお姉さんが、夕食を用意してくれた。
刺身に焼鯛。山の幸の煮物。ひとり鍋。等々、伊勢海老の活け作りが来た。
「いいのですか?」
ススムが聞いた。
ルームサービスも、黒服の男の人、女の人が、笑っている。
カーテンは開けられて、夜景が綺麗だ。
シズクさんの話で盛り上がった。
「シズクさん、神もどりの子孫だったね。」
「神もどりって?」
黒服の男性が話に入って来た。
「どれくらい前かわからないけれど、神隠しにあった人が、あの神社に現れたらしいの。」
「シズクさん。その血を濃く引いているみたい。」
マヤが言った。
「シズクさんの家、調べたら何かわかるかも。」
左手のレンズが輝いている。
「あの人、分家だから、本家かな?」
ススムが言った。
席を離れる、男性。
マヤがママに電話したと言った。
顔色が変わった黒服の人達。
「ママと話できた。」
「いつ?」
「部屋に入った時。」
男性が急いで離れた。
「テレビ電話のママ。」
「泣いていた。」
「お姉さんも。」
「そうか。よかったな。」
うなずく、マヤ。
「でも、もうできないな。」
バスルームに入った時、服もスマホも、腕時計も、取り上げられた。
うなずくマヤ。
「私のリックサックは?」
「無いよ。」
「がっかり。」
「声を出して言う?」
「ウン。あのストラップ、マクドのストップ。ママと食べに行ったものなの。」
笑いながら言うマヤ。
デザートの後、イチゴパフェが来た。
「神の社で、饅頭。何個食べた。」
「えっと。5個かな。」
「まだ入るのか!」
呆れる、ススム。
「ブタになるぞ!」
「甘いものは、別の胃袋よ。」
笑う、ルームサービスのお姉さん。
「おもしろい?」
マヤが突っ込んだ。




