アンドロメダ /22
ズドン!!
ススムとマヤが落ちた。
ススムの上にマヤが乗っている。
カエルが潰された音のたてたススム。
「ゴメン」
言って退いた、マヤ。
「ここはどこだ。」
聞くススム。
「ありがとう。アンドロメダ。」
マヤが言った。
ススムとマヤが地球に帰れると、なって、何日かかった。
木星の、アンドロメダと資料を、作っていた。
マヤはアンドロメダから、話を聞いている。
ススムは、スマホで、木星を、3Dのサンプル人間を撮っいる。
地球を見ているマヤ。
ススムは、アンドロメダは、地球との比較対象に、見せた。
アンドロメダの全長は、日本列島と同じぐらいだった。
驚く、マヤ。
マヤがアンドロメダ-イブと話している。
壁に現れる、人の光。
マヤとアンドロメダ-イブを撮るススム。
スマホのSDカードがいっぱいになった。
「もっと撮りたかったな。」
ススムが言った。
「また、次にしましょう。」
「レンズもあることだし。」
そして、ススムとマヤが地球に送られる日が来た。
「話したくなったら言いなさい。」
「いつでもくるから。」
ススムとマヤが両手を持って、待った。
そして、飛んだ。
重いススムが下になり、マヤが乗った。
ススムが潰れている。
「太ったろう。マヤ。」
口の悪いススムの頭を。
「ここはどこだ。」
木で出来た家。
中央に、祭壇があり、神鏡が飾ってある。
外からは、手を叩く人々が。
賽銭の音。
神様、と聞こえてくる。
マヤとススムが見合わせた。
「どこ?」
柏手を打つカップルが。
「神様、お願いです。」
「願いを聞き届けて下さい。」
何人もの人々の願いが聞こえる。
「神様!」
窓から見たススムとマヤ。
「神様! お願いいたします。」
多くの人が参拝に来ている。
「神様もたいへん。」
マヤが言った。
その中で熱心に祈るカップルが。
マヤが、カップルに言った。言った。
「わかりました。聞き入れましょう。」
カップルに何人もの人が顔を上げて見ている。
「聞いたか!神様。俺達の願いを聞き届けてくれるって。」
周りから、拍手が上がった。
「私も聞いた!」
女の人が言った。
男が女の手を握って言った。
「結婚しよう。」
「神様が願い、聞き届けてくれる。」
女の人がかたまった。
「誰と?」
「俺と。」
手を握った。
「私、あんたと別れることをお願いしたのだけど。」
周りの人が、女の人を見た。
「なぜ?」
男が。
「私も働いているのよ。」
「なのに、あんたって、仕事から帰ったら、ゴロゴロして、家のこと、しない。」
「私を大事にしない!」
「働かなくていいって言っているだろう。」
「あんたの給与で、生活できないの!」
「だから、私、パートに出ているのに、あんたは、仕事から帰って、夕食も作らない。服を脱いだまま……。」
と怒る、女の人。
神様の真ん前でケンカすると言う人々。
「それに、下手。あんただけ満足して、……」
と、話す、女の人。
子供達には、聞かせられない。
マヤが、リックサックのところにはっていった。
「どうするんだよ。」
「知らない。」
マヤは投げ出した。
「こらこら、神様の前でケンカとは、どうした。」
聞こえる。
「実は。」
話す、男。
「神様の声が聞こえたと。」
他にも、聞いた人達がいた。
何人かの人に連れられて去っていく人達。
それからは、時だけが過ぎていく。
柏手を打つ音。賽銭箱に入れる音。
「お腹空いたね。」
「ウン。」
同じこと、何回言ったことか。
木の家の鍵が、空いた。人が入ってくる。
「お前達……。」
口をふさいだ。ススム。
「静かにして。」
うなずく、神官。
「お前達、誰だ!」
「どうして神の社に入った。」
マヤの顔を見て驚く、神官。
今や時の人になったふたり。
「わゎゎゎ!」
「神もどり様だ!」
「えっ?」
「何?それ。」
ススムとマヤが。
神官が、頭をこすりつけるようにして言った。
「神かくしに会われた方が、神の国からお戻りにになった人を言う言葉です。」
「先ほどの騒ぎで、もしかしてと来て見たのですが。」
言う、神官。
「少しお待ち下さい。」
「いいけど、お腹空いた。」
「饅頭食べたい。」
マヤが言った。
「饅頭ですか?」
マヤの顔を見た神官。
それから、扉を閉めて鍵をかけられた。
「私達、囚人?」
マヤが聞いた。
しばらくして、人々の歩く、足を擦る音が聞こえた。
座っている、ススムとマヤ。
入って来た神主達、神官達が、お辞儀をした。
ススムもマヤも驚いてお辞儀をする。
「本日は、大和ススム様、飛鳥マヤ様、神のお国からお戻りになりまて…。」
と、長々と、向上を述べられた。
「あの…。」
マヤが言った。
「私達、そんなに偉くないんですが…。」
「いえいえ、神のお国からお戻りにになられたおふたりは、……。」
と、左手のレンズを見た。
「それより、お腹が空いて、たまらないのですが。」
ススムが言った。
「これはこれは、わたくしとしたことが、気がつきませんで…。」
神主が話した。
マヤ、崩し正座になった。
「で、神のお国は、どのようお国でしたか?」
みんなが聞いている。
「ここで話してもいいのですが。」
「あまりにも、問題がありすぎて、まず、政府関係者に話したいのですが。」顔を曇らせた神主。
ススムは腕時計を外した。マヤも外した。
「これを見て下さい。」
「ハイ?」
「時間の流れが違うでしょう。」
「クォーク時計は、10月。デジタル時計は、まだ、5月。」
「どちらの時計が。時間が正しいのか、知りたいぐらいなの。」
マヤが言った。
ふたりを見る神主達。神官達。
「今は5月で、」
「と、言う問題でなくて、この世界と神の国の経つ時が違うと言うこと。」「私達も、説明できないの。」
「まるで、浦島太郎になった気持ち。」
「俺とマヤの進む時が違っていたり。」
「あのまま、神の国にいたら、何年後に帰って来て、ママに会えなかったかも。」
マヤが言った。
見合わせた、神官達。
扉を叩く音がして、巫女が3人入ってきた。
「お食事をお持ちしました。」
おにぎりに、漬物、卵焼きに、煮付け、等々。
「美味しそう。」
「お食べ下さい。」
言う、神主。
お礼を言って、食べるマヤ。
何日かめの、ご飯に、喜んででいる。
「で、これからは?」
食べながら聞く。
「神儀省に連絡しましたので、わかりしだい連絡いたします。」
退散した。
巫女も退散しようと、出口に、ふたりの巫女が、巫女を押し返した。
倒れる巫女。思わず、ススムとマヤが駆け寄った。
「大丈夫です。いつものことですので。」
巫女が。
「私達、神戻りの子孫なんです。神戻り家と、代々なのってました。」
話す巫女。
名前を聞く、マヤ。神戻シズクと言う。
立たせたマヤが、左手のレンズを見ている。
「どうした。」
「シズクさん。神もどりの血を引いている。」
「じゃ、お姉様も。」
聞くシズク。
わからないと、答えたススムとマヤ。
シズクさんの話では、神戻り家は、神職として、社に仕えていると。
シズクさんの家は、分家の分家で、本家のふたりの巫女から、嫌がらせをされていたと言う。
「どうしたい。」
おにぎりを食べながら、聞く、ススムとマヤ。
「神もどりを血を引いていると知られたら、普通の生活を送れないかも。」
レンズを見て言う、マヤ。
神主と神官。巫女がふたり、入ってきた。
目が赤い、巫女。
「お饅頭をお持ちしました。」
山盛りの饅頭にお茶。
「後、2時間ほどで、参拝者がいなくなります。」
と、これからの予定を言った。
ホテルで一泊して、東京に移動すると。
「ありがとうございます。」
ススムが。
「では。」
と、神官が出て行った。
ふたりの巫女が座っている。
「あなた達もいいですよ。」
ススムが話した。
「シズクさんとのお話、とても楽しいので。」
巫女に神官達が驚いた。
神官達は、巫女を連れて出ていった。
「言うたら、山のように持ってきて。」
いうマヤ。
山のように積んだ饅頭を並べた。ヨモギに、豆大福。大福餅に、イチゴ大福。メロンにマンゴーの大福。
「私をブタさんにする気なんだ。」
笑いながら怒ったふりをするマヤ。
「メロンって美味しかな。」
かぶりつく、マヤ。
「おいしい。ホッペがとろける。」
言いながら、シズクに饅頭を渡した。
マヤを見るシズク。
「いいの、いいの。」
ススムにも、饅頭を渡す、マヤ。
「それで、神のお国はどんなところでしたか?」
饅頭を食べながら聞くシズク。
「異星人の宇宙船。」
「へぇ?」
気の抜けた返事をした、シズク。
「アンドロメダって名前だけれどエイリアンの作った宇宙船よ。」
マヤがスマホを見せる。
シズクが白い手で見る。
木星の大渦巻き。星が吸い込まれて、稲光が出ている。
シズクは饅頭を持って見ていた。
「どう。」
ススムが聞いた。
「すすごいです。木星の大渦巻き。初めて見ました。」
「シズクさんは、どうして、木星の大渦巻きとわかった?」
シズクが困った。
「どうしてっても。」
「テレビで、アニメで見たので。」
大宇宙戦艦のアニメを言った。
「そうだね。でも、昔の人達が見たら、どう思う?」
「えっ?」
「サイエンスフィクション。SFは、戦後、産まれた作品だよ。」
「ベルグが、月旅行の小説を書いて、エドガーライスパローズが、火星や金星のヒロイックファンタジーを書いたのが始まり。」
「ゴメン。パローズって?」
「ターザン。その作者。」
「あれって、映画だよね?」
「小説だよ。パロースの。」
「小説では雄叫びなんか出ない!」
「映画ように作られた演出。」
「オタクだ。スジ金入りの。」
マヤとシズクがススムを見た。
「あの…。」
シズクが聞いた。
「ヒロイックファンタジーってなに。」
「お姫様を守って冒険する勇者様の話。」
「素敵!」
ふたりは、手を握った。
「今のテレビアニメだね。」
「異世界を舞台にした、学生達のアニメ。」
「ハリウッドの70年代のSFの方が面白かった。」
ススムが倒れた。
「人々に認定されたのが、テレビに映画。50年から、60年代にかけて。」
「宇宙戦争。テレビが無い時代にラジオドラマとして放送されたんだ。」
「イギリスだったかな? アメリカだったかな?国中が大騒ぎになって、人々が逃げまどい、休暇中の兵士が非常事態に陥ったって。」
「宇宙戦争を見たいな……。」
笑う、マヤとシズク。
「おこちゃま。」
うなずくシズク。
「あれから、SF、サイエンスフィクションが生まれたのは。」
「宇宙を舞台にしたものや、エイリアン。」
「ロボット兵器。サイボーグ。アンドロイド。」
「ワープ航法に、スターウォーズ。」
うなずくふたり。
「日本人が、地球の人達が、宇宙を宇宙船を意識したのは、テレビが出来て、大宇宙戦艦が始まって、スターウォーズが、エイリアンの映画が、出来たからだろう。」
シズクを見て聞いた。
「もし、SFを知らない人達が、宇宙を知らない人達が、突然、木星の大渦巻きを見たら?」
「神の国に来たと思うだろう。」
「現に、西洋では、太陽の目をシンボルにした、神がいる。」
「それが、アンドロメダから見た木星だとはわからないけど。」
「エイリアンに、誘拐されて、木星を見たのかも。」
「じゃあ、神さまって。」
「すべてがそうと、言えないけれど、エイリアンがこの太陽系を通ったこともあるだろう。」
「あの神鏡もそう。」
「エイリアンシップで作られたのか、地球で作られたのかは、わからないけれど、大事に使われているんだろうな。」
「ハイ。」
「2000年以上、大事に扱った神鏡だから。」
マヤは、聞くことにつとめている。
3個目の饅頭が、口の中にある。
「神の力。エイリアンの装置が作動する。」
「じゃ、神の国から戻ってきたら?」
「帰ってきたら?」
マヤとシズクが言った。
「大事にしてくれたのでしょうか。」
「どうだろう。」
「大事にしてもらえたかな?」
「シズクさんだったら神もどりの人を大事にします?」
考えているシズク。
「マヤは? シズクは?」
「ススムだったら?」
マヤとシズクを見て言った。
「もし、俺なら、村が、村人が、かくし通すかな。」
「牢に入れて。」
「えっ!」
「神の国から戻られた人だから、村の宝物だろう。」
「他の村人達に見せないようにして。」
ススムが言った。
「大名に知れたら。」
「大事にしてくれるかな?」
マヤとシズクを見た。
「神もどりの人をかくまっていたなら、大名は、村を襲うかも!」
「神もどりの人達を殺すだろうな。」
見合わせるふたり。
「神殺しの大名。神殺しの王となって。」
ススムはお茶を飲んだ。
黙ったススム。
マヤもシズクも人生を見ている。
マヤは4ツ目の饅頭を、シズクは3ツ目の饅頭に手が出ている。
ススムはひとつ目を食べて、口が止まったという。
「よく入るな。」
ふたりを見て、関心した。
まだ、参拝者がいる。
「退屈だ。」
マヤを見る、ススムは。
「なによ! もうしないわよ!」
笑う、ススム。
「あのふたり。別れるのかな?」
聞いた。
「私のせいでないから。」
膨れる、マヤ。
笑うススム。
シズクを見る、ススム。
「ねぇ、姉さん。」
巫女のシズクを姉さんと呼んだ、ススム。
唖然とするシズクと、笑いをこらえて、床にのたうちまわる、マヤ。
口を押さえて座ったマヤが、饅頭をススムに投げた。
声を出さないで抗議するマヤ。
マヤの笑い(怒り)が収まったところで、ススムが言った。
「何かご先祖様のもの、あるのでは?」
「どうかしら。本家の蔵にはあるかもわからないけど。」
饅頭を取ったシズク。




