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アンドロメダ /01  作者: 稔~minoru
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アンドロメダ /02

連休のある日。

県立高校の歴史研究会の親睦会が開かれた。

学校から高野の山のふもとまで、バスで来た学生達。

駅から登山に入る。

朝早くに出たバス。

正午前には、みんなで弁当を食べる予定になっている。

顧問の教師が先頭に立って歩いている。

体力のある学生達が顧問の教師と共に歩いていった。

何人かのグループになった歴史研究会。最後に、引率の教師と、女子学生達のグループ。その中に、坂上光がいた。

そのグループの中に、大和進と飛鳥麻耶が入っている。

マヤ、履き慣れない靴で歩いた為、靴擦れをおこしている。

三又路。教師と、女子学生達が待っている。

「来た来た。」

「遅いぞ!」

言う、教師。

ススムとマヤが追いついた。

「足手まといね。」

言う、ヒカル。

「先に行くからね。」

教師と学生達が歩き出した。

「エッ?」

ススムが、驚いている。

ため息をつく、ススム。

「あれが教師か。おやじと違い過ぎるな。」

言う、ススム。

肩に手を置いた、マヤ。

「行こうか。」

ゆっくりと登るふたり。

「俺のおやじ、よく山登り行くんだ。」

登りながら話す、ススム。

「おやじ、会社を経営していて、親子ハイキングするのが楽しみで、時々、社員と家族の山登りを楽しみにしている。」

「そんなとき、おやじ、しんがりを務めて、子ども達を励まして行くんだ。」

「最後の一歩を踏み出した子ども達の喜びったら。」

「おやじも、子どもみたいに喜んでな。見ている方が、恥ずかしいぐらいで。」

マヤが笑いながら、聞いている。

軽トラックが通れるような路。

多くの人達が、登っている。そして降りる人達も。

挨拶をする人達。

「ガンバッテ。」

言ってくれる人も。

路の横には、川が流れている。岩に、石に当たって、飛沫が上がる。

路の突き出した石から、水が落ちている。コップが置いてある。

「おいしい。」

マヤの声を聞きながら飲んだ。

ペットボトルに石清水を入れる。

「見せてみろ。」

靴を脱がしたススムは、靴下を取った。

血が靴下に張り付いている。

ガマンするマヤ。

「しみるぞ。」

石清水が足を洗って、薬をつけた。

「慣れているのね。」

「おやじがね。」

バンドエイドを貼って、新しい男物の靴下をはかせた。

石清水でタオルを濡らしたススム。マヤに渡した。

降りる人達が、アメをくれる。

「後、もう少しだから。」

言ってくれる人も。

学生さん達。山門にいたよ。言う人々。

マヤ、麦わら帽子を脱いで、顔を拭いた。

「私ね。」

話す、マヤ。

「私、ヒカルさんがうらやましいの。」

黙って聞いている、ススム。

「やけどの後なかったら私ももてたかも。」

黙っている、ススム。

今、ママの姉さんと居酒屋を経営している、マヤのママ。

父親とはうまくいかなくて別れたという。

小学生のとき、手伝っていたら、天ぷら油がかかって、やけどしたという。

「ママも、腕にやけどして、寒いのに、水をかけられたの。」

「かけられている中、ママ、誤っているのよ。」

「『ごめんね。ごめんね。』って。」

「病院に運ばれたけど、顔を残った。」

それから、クラスでもいじめにあったと言う。

「誰も聞いてないよ。」

ススムが。

「鳥さんが、ガンハレって、言ってるよ。」

涙が出てきた。

ハンカチを渡す。

「なんでらろう。」

「人に話したことないのに。」

「泣きなよ。鳥しか見ていない。」

マヤの横に座った。

「バカ。」

肩を押し付ける、マヤ。

「……。」

「ありがとう。洗って返すね。」

「いいよ。はじめて女の子を泣かした記念のものだから。」

「バカ!」

「行こうか。」

山から風が吹いて来て、麦わら帽子を持っていった。

「アッ!」

谷の中程で引っかかった麦わら帽子。

「取ってくるよ。」

ススムがリックサックから、ロープを出した。

「やめて! 危ないから!!」

木にくくりつけたロープをつたって降りる、ススム。

「大丈夫だよ。いつもしていることだから。」

見上げて言う、ススム。

ススムが麦わら帽子を高く上げた。

登るススム。

ロープが解けた。

「ダメ!」

マヤがロープを掴んだ。

「離せ!」

マヤがススムの上に落ちた。

落ちる、ススムとマヤ。

草がふたりを持っていく。

滑る、ススムとマヤ。

突然、地面がなくなった。

葉っぱの上に落ちて転がった、ススムとマヤ。

「いたい!」

「大丈夫か?」

マヤを立たしたススム。

「ここは?」

マヤはリックサックをしている。

ススムのは、穴の外。

「スマホ、ダメか。」

ススムが。

「レシーバーもダメだな。」

マヤが見た。

何故そんなものを? と言っている目。

「山じゃ、電話局届かない所多くてな。」

笑う、ススム。

ポケットから、ライトを出して回りを見る。

上から、光がこぼれている。

草が隠していた。

穴の中には、がい骨があった。

ススムに掴んだ、マヤ。

けものの骨もある。

「たくさんあるな。」

拝んだ、マヤ。服を着ているがい骨を見た。

「中学校だって。」

「アケミさんか。」

「もんぺに袴。戦争中の学生さん達かな。」

ライトの光が動いた。

壁を照らす。

「私達も、なるんかな?」

「大丈夫だよ。」

「俺、リックサック、水飲み場に置いてきたし。」

「今頃、お巡りさんが騒いでいるところだよ。」

言った。






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