アンドロメダ /10
捜査現場。
麦わら帽子は高い枝に止まっていた。
枝挟みでも届かない高さ、警官が考えていると、ひとりの僧侶が樹を上っていった。
『悟空』とあだ名のある僧侶。
「と、と、と、と、」
言いながら、するすると上って行く。
頼もしい奴だなと、警官に僧侶が見ている。
『悟空』さん、後もう少しのところで手が届かない。
身体を伸ばして、麦わら帽子に触った。
「えっ!」
ボキと、音を立てて落ちる僧侶。
枝にからみつき、草の上を滑り落ちて行く。
「待て!」
追いかける警官に僧侶。
「わあぁぁぁ!」
言った僧侶が消えた。
麦わら帽子もゆっくりと落ちては、消えた。
「えっ!」
追いかけた僧侶が、ひとり、ふたりと、消える。
警官も3人4人といなくなった。
「おーい?」
「おーい? どこだ!」
「ここだ!」
「えっ!」
草の中、地の中から聞こえてくる。
「どこだ!」
探す警官に僧侶。
「ここだ! 助けてくれ!」
探す警官。穴の中に落ちた。
「また、降ってきたぞ!」
草むらに隠れた穴に落ちた警官と僧侶。
「大丈夫か?」
「大丈夫だ!」
漫才のようなやり取り。
「生きているか?」
楽しんでいる、警官と僧侶。
「し、死んでいる!!」
「えっ?」
「がい骨がある!」
と、発見したのが、約30分前。
マヤママが、ススムの両親が、記者会見場の別室に通されて、30分は立っていた。
「遅いですね。」
婦人警官が、窓を見て言った。
遭難現場から、警察署に、そしてマヤママに届いた。
「がい骨が発見された。」
「多くの死体!」
マスコミが、メディアが、騒がしくなった。
その中、がい骨のそばから、おにぎりがあったと、スーパーの袋があったと、流れた。
籠が降ろされて麦わら帽子とおにぎり、スーパーの袋が、地上に。
すぐに、マヤママに確認してもらった。
「マヤのです。」
「あの子ったら。」
スーパーの袋に昨日買ったレシートが入っている。
リンゴにトマト、お菓子、ジュースなど。
「おにぎりはあの子が握ったものです。」
ため息をついたマヤママ。
「あの穴に落ちたのですね。」
ママが聞いた。
「すぐに会えるのね。」
喜ぶマヤママ。
「それが、まだ見つからないのです。」
報告してくれた警官が言った。
みんなが顔を見た。
「どういうこと?」
教師が聞いた。
「現場から移動したと思われます。」
そして、
「今日の探索は終了しました。」
「でも穴にいますからすぐに見つかりますよ。」
と、伝えた警察官。
「ありがとうございます。」
「明日もよろしくお願いいたす。」
と、頭を下げた、マヤのママ。




