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光の魔と闇の魔  作者: あんころぼたもち
第六章 運命のラストチャンス
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エピローグ

 翼の願いは届いた。あと少し遅かったたら間に合わなかった。

 普段から行っている避難訓練のおかげで生徒に被害者は誰もいなかった。

 だがそれは高校だけでその他には多大な被害が出ていた。

 家屋は数えきれないくらい倒壊した。

 民間人は32人もの死亡者が出た。

 そして防衛隊も……

 今回で死亡者216人、重傷者56人、無傷者無しという悲惨な結果に終わった。

 戦況記録によると翼がいなくなった後に光線が三度発射されたらしい。

 大量の死亡者が出た一因であろう。


 次の日に死亡者のリストが作られ、追悼式が行われた。

 その中には明戸、青木、斎藤、南畑、そして足立の文字があった。

 結局、特別分隊が再び揃うことは無かった。南畑が言った約束も、隊長との約束も果たせなかった。

 翼は追悼式の後、分隊室に来ていた。

 つい数日前にはここに全員いたのが嘘だったかのように静まり返っている。

 防衛隊の戦闘員は必ず遺書を用意している。

 大抵それは各々のデスクの奥に入っていることが多い。

 隊長たちの遺書は簡単に見つかった。

 斎藤の遺書は死ぬとは思ってなかったようでへらへらしたような文脈でどうでもいいようなことばかり書かれていた。

 南畑の遺書にはパソコンのパスワードだけが書かれていた。

 普段から多くは語らない南畑らしい遺書だった。

 青木の遺書には研究資料の隠し場所が書かれていた。隠さなければいけないような研究をしていたのかと呆れるが死んだ人を責めるのはおもしろくない。

 そして、明戸の遺書には「足立によろしく」とだけ書かれていた。

 みんなの顔を思い出すだけで涙が止まらなかった。

 翼はそれぞれの遺族に会った。遺留品を受け渡すために。

 そして遺影に使って下さいとある写真を渡した

 それは奪還作戦の前夜、出撃会の時に撮った写真。

 青木が遺影になるかもしれないと言っていたのは現実になってしまった。

 それでもこの写真にあるみんなの笑顔が好きだった。

 そしてかなり後にはなるが全員の墓参りには行った。

 翼は第一分隊にも顔を出した。

 第一分隊が今回一番死亡者が出ている。

 なによりも足立隊長を失ったのが大きいのか分隊内は曇っていた。

 足立に線香を添えて、

「明戸隊長の遺言にはあなたによろしくと書かれていました。その約束は果たせませんが天国からどうぞ見守っていてください」

 今回でさいたま市支部は大規模な欠員補充で組織の再編成をしなければならなくなった。

 もう一人しかいないこの特別分隊は直に解体されるだろう。それくらいは予想できる。

 命令が下る前に片付けなくては。五人分もあるのだから……。

 そういえばこっちに戻ってきた後に来ていた手紙の存在を忘れていた。

 差出人の名前はなく宛先には特別分隊へとしか書かれていなかった。

 もう自分しかいないのだし開いてしまった。


 拝啓

 特別分隊は五人いると聞き、もしかしたらあと一人の方は生き残っているのではと思って書きました。

 私も川越での戦いの生存者です。

 私は特別分隊の皆様に助けられました。

 あの戦いで三発の光線が発射されました。しかし特別分隊の皆様がそれを防いでくれました。

 その姿は神々しかった。背中に羽が生えてして天使のようだった。

 これが私の見た彼らの最後の姿です。三発目の光線で跡形も無くなっていました。

 最後に亡くなった方のご冥福とこれを読んでいるあなたの今後の活躍を祈ります。


 生き残った隊員からの感謝の手紙だった。

 自分ですらスサノオを使わないと止められなかった光線を四人で力を合わせて止めていた。その姿は自分を救ってくれる天使のように見えたのであろう。そんなことが文脈から伝わる。

 普通ならそんなことはできない。死に物狂いの力だったに違いない。

 改めて自分の同僚たちに敬礼した。

 この戦いは人間がなんとか勝ったということでいいのかな。

 多くの死亡者が出たものの、こちらも大きな成果が出ている。

 エネミーの生存個体をかなりの数捕まえることができた。

 これでエネミーの正体にかなり近づけるはずだ。

 さらにおそらくエネミーの基地はドーム型ではないのかという議論がなされている。

 これは本拠地の襲撃の際に大いに役立つ。

 戦場であった川越や西武ドームも復興が進んでいる。

 あと数年もすれば元に戻るだろう。

 今回の戦いはとても大規模だった。

 しかし、これは川越という一地域で起きたこと。

 日本全体、そして世界世界全体として見ればとても小さなこと。

 これに勝ったとはいえ喜べることではない。勝って当たり前のことなのだから。

 いつかはこっちから攻めてやつらを滅ぼす時がくるはず。いや必ずそうする。そしてその後に亡くなった人たちと祝杯をあげたい。

 これからも防衛隊の戦いは続いていく。

ついにこの作品を完結させることができました。

まずは今まで読んでくださった方々、ありがとうございます。

自分はまだまだ初心者で文体も滅茶苦茶であまり良い小説を届けることができませんでした。

しかし、数は少なくとも読んでくださる方々がいらっしゃることが励みになりました。

本当にありがとうございました。

最後に少しばかり作品の中では触れていないことについて語ろうと思います。

作中では「防衛隊」と書いておりますが、正式名称は「水準防衛隊」であります。

なぜ水準がつくのかというと、彼らは元々はエネミーを倒すための部隊ではありませんでした。

彼らはあくまでも一般庶民の生活水準を守るために動くことができるのです。

まぁこれがなにを意味しているかは察してください。

最後に今後について活動報告を上げます。

今までありがとうございました。

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