18話 第57回宝探し祭り ⑥
今回はいつも以上に文章力皆無な感じがしますが、大目に見てやってください。
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「大人しくそれを渡せぇぇぇ!」
「ぜっっったい、やだ!」
ダグラスと私の追いかけっこ。私はいくらのお宝が入っているかわからない小さな宝箱を脇に抱え逃げ回る。ただ逃げているわけじゃない。これでも一応作戦を考えながら走ってる。全然思いつかないけど。
捻挫した右足が痛くてうまく走れない。とりあえず、ダグラスの足が私以上に遅くて助かった。
「隙を突くには相手をよく観察・・・って、アンジェが言ってた気がする。」
一度ダグラスの視界から外れ、岩の陰に隠れた。私隠れてばかりな気がするけど、まあ仕方ない。仕方ないよね・・・うん。
「えっと、アンジェは何て言ってたんだっけ。動きを観察して相手のクセを見抜く・・・だっけ?」
クセって何?
「と、とにかく・・・相手をよく見ることが大事だよね! それで弱点とか見つけられればいいんだけど、私にできるのかな・・・。」
陰からこっそりとダグラスを観察する。既に分かっていることといえば足が私より遅いことと、パワー任せの猪突猛進タイプであることと、お嫁さんがいること。今すごく関係ないけど、アデルさん曰くお嫁さんはかなりの美人さんらしい。今すごく関係ないけど。
「どこ行きやがった? 逃げてばかりで戦う気はねぇのか!」
何そのカチンとくる言い方・・・。戦う気がないわけじゃないもん。あんたみたいな強面筋肉バカに真正面からぶつかりにいくわけがないでしょ。面と向かって言ってやりたいけど絶対殺されるから口には出さない。
「真正面から・・・?」
そうだ、真正面からが無理なら背後から攻撃すればいいんだ。こんな単純なことに気が付かなかった自分が情けない。
私はダグラスがこちらに背を向けている間に、できるだけ音を立てないように木の陰から陰へ移動し徐々に近づいていく。よし、気付かれてない。
ダグラスは目と鼻の先。
ダグラスの背中に飛び乗り首に腕をまわしナイフを突きつける。
「首を切られたくなかったら降参して欲しいな、なんて。」
「・・・なるほど、とんだ平和主義だな。」
「傷つけたくないからね。」
本当はギルドの仲間にはこんなこともしたくなかったけど、なんとかうまくいった。運動神経皆無の私にしてはよくやったよ・・・。
そう思って安堵したのも束の間だった。
私は足を滑らせた。
「わっ!」
反射的にダグラスの首に掴まってしまった。そのまま後ろに体重がかかり、首を絞める形になってしまう。
「ぐっ・・・?!」
「ち、違・・・こんなことするつもりは・・・!」
どうしよう、本当は今すぐ手を放したい。だけど手を放してしまえば次からはダグラスの警戒は強くなる。もう不意打ちは通用しなくなるかもしれない。そうなれば私の勝機はもう・・・。
いや、こういうときこそ冷静になろう。
確か柔道で相手を絞め落とす技があったような・・・頸動脈を絞めるんだっけ。
じゃあこのまま頸動脈を絞めればなんとか・・・ちょっと待って。頸動脈ってどこ?
やばい、私全然冷静じゃなかった。これはうまく落とせなかったら生死に関わる技。このまま絞め続ければ死んじゃうかも・・・。
「お願い! 完全に絞まっちゃう前に降参して!」
「そ、れは・・・できない相談だ!」
「へっ・・・ちょ、待っ・・・!」
柔道の技を受けたのは私の方だった。綺麗な背負い投げ。心得のない私は受け身も取れずに地面に背中をぶつけた。
「痛・・・。」
「ふぅ・・・なかなか大胆なことやるじゃねぇか、もう油断はしねぇ。燃やし尽くせ、爆塵斧!」
ダグラスが大斧を地面へと叩きつけたその瞬間、火薬が爆ぜたかのような火柱が上がり、凄まじい突風と背中を焼かれたかと思うほどの熱が私を襲った。私は軽々と吹き飛ばされ、地面を転がる。捻挫した右足に痛みが走る。
「あっつ・・・何、その斧・・・?」
「驚いたか? この爆塵斧の先には火薬が仕込んである。相手を両断すると同時に大爆発を起こすってわけだ。巨大な魔物でも一発で仕留められる俺の相棒さ。」
木を支えにしてなんとか立ち上がる。右足の痛みは全然引かないし体中切り傷擦り傷だらけ、周囲の熱でうまく呼吸もできない。
私のすぐ後ろは急勾配になっていて、走って降りられるような傾斜じゃない。逃げ場がなくなってしまった。
唯一の救いは私の相棒、メガネが無事であること。これが壊れると詰みだからね、マジで。
「さあ、そろそろ降参してくれ。これ以上は命の保証はできねぇぞ?」
「・・・それはちょっと、考えられないかな。」
大斧が空へ向かって振り上げられる。やばい、また・・・!
「関係ねぇ、無理矢理奪い取るまでだ。」
再び爆塵斧が爆音とともに地面を叩き割る。周囲を揺らすほどの地震とジャングルを焼き尽くす爆炎を巻き起こし、熱を持った突風が私を宙へ押し出す。
地面に体をぶつけても止まらず、私はそのまま傾斜の一番下まで転がり落ちた。
「・・・げほっ、ごほっ・・・。」
かなりの距離を転がったのが不幸中の幸いだったらしく、爆炎による熱から逃れることができた。まともに呼吸ができるだけマシ・・・だと思う。
手に持っていた宝箱は傾斜の途中でどこかにいってしまった。
全身が痛い・・・全身が熱い・・・。
こんなに傷だらけになったの、生まれて初めてかも・・・制服もスカートもところどころ破れて土や葉っぱで汚れ、血が滲んでいる。口の中は血の味がする。足がガクガクと震えて力が入らない。
「でも、まだ・・・。」
まだ戦える。立てるかどうかも危ういけど、私の戦意は無くなっていない。早く立たないと・・・立って戦って、勝たないと・・・。
体の疲労は限界を迎える。力が入らないのは足だけじゃない。腕やその指の一本一本、もう立ち上がるだけの余力すら残っていなかった。
必ず1勝、自分でそう決めたのに・・・。
『パワーファイター、ダグラス対「奇跡の少女」地味子の対決がついに決着! 初勝利、そして初ポイントを手にしたのは・・・ダグラスだぁぁぁ!』
私の想いとは裏腹に、既に勝敗は決していた。
第57回宝探し祭り、途中経過。
アデル 所持P:5 獲得賞金:80万ゴールド
キトゥン 所持P:1 獲得賞金:15万ゴールド
エルー 所持P:2 獲得賞金:7万ゴールド
ヒューゴ 所持P:1 獲得賞金:2万2000ゴールド
ダグラス 所持P:1 獲得賞金:5000ゴールド
シュン 所持P:1 獲得賞金:4000ゴールド
タケル 所持P:2 獲得賞金:3000ゴールド
地味子 所持P:0 獲得賞金:0ゴールド
ありがとうございました。
画面の前のお前ら、次回もぜってー読んでくれよな☆
はい、すんません。