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地味子の地味な異世界転移  作者: 汐とまと
第1部
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1話 地味子、転移完了

異世界ものが流行ってると聞いて。

そんなに長くない(と思う)ので、読んでいただけると嬉しいです。

今日もいつもと変わらない1日。


高校生の私は15時まで授業。終わりのホームルームを終えた後、すぐに荷物を鞄に入れ帰る準備をする。


入学して3か月。短い黒髪に眼鏡、人見知りな性格に声が小さく、いつも教室の隅で読書をしていて部活にも所属していない。そんな私には不本意なあだ名がついていた。


「地味子、もう帰んの?」


クラスメイトの女の子たちに呼び止められる。髪の毛を金や明るい茶色に染め、ピアスや化粧で着飾っている。彼女たちとは別に仲が良いわけじゃない。私のあだ名を面白がって呼んでいるだけ。


「うん。学校にいてもやることないから。」

「そう・・・これから私らカラオケ行くんだけど、一緒にどう?」

「ごめん、寄るとこあるから。」


誘ってくれるのはありがたいけど、見た目も性格も地味な私が彼女たちと仲良くなれるハズもない。私は教室を出た。


友達のいない学校を後にして近くの商店街へと赴き、唯一の趣味である古本屋巡りをするのが私の日課。古本屋、2軒しかないけど。


積み上げられた無数の古本を眺め、1つを手に取る。中をパラパラとめくり、気に入らなかったら元の場所に戻す。これを延々と繰り返す。今の私にとって一番の至福の時間。


そりゃ地味子って呼ばれるわ。


「ん?」


見上げるほど高い本棚の一番上の段。1冊の本が目に留まる。国語辞典ほど分厚くてタイトルが書いてない。

そしてなぜか、僅かに光っている。


「なんだろう、あれ・・・?」


古本屋の店主に脚立を借りて、その本を手に取る。しばらく誰も触ってなかったらしく、少しホコリっぽかった。ホコリを手で払い、その怪しげな本を観察してみる。光っているのは真ん中のページらしい。私は恐る恐るそのページを開いた。


「これは・・・?」


そこには、まるでファンタジーの世界で見られるような複雑な模様が描かれていた。こういうの何て言うんだっけ。魔法陣?

それが光っている。


なぜだろう。眩しいのに目を逸らすことができない。ていうかどんどん引き込まれていくような。


やがて魔法陣はさらに強く輝き、その光は私を包み込んだ。


私の意識はそこで途切れた。




目を覚ますと視界いっぱいに青空が広がっていた。辺りを見回すと人が群がっている。

どうやら私は寝ていたみたいだ。路上で。


「ここ、どこだろう・・・?」


私が体を起こすと、私の事を心配そうに見つめていた人々は散って行った。みんな見たことない服を着ている。

石畳の道に石でできた建物。レトロな街灯に馬車まで走っている。うまく言い表せないけど、まるで中世ヨーロッパのような・・・。


「えっと・・・さっきまで古本屋さんにいて、光ってる本を見つけて・・・。」


それからここに来るまでの記憶がない。制服は着たまま、学生鞄もある。携帯も財布も。1度家に帰ったわけではないみたい。てことは、あの古本屋から直接ここに来たってこと?

でもここ日本じゃなさそう・・・だよね。


「初めましてだね、永瀬佑子。」


久しぶりにあだ名以外で呼ばれた気がする。声のした方を向くと、信じられないものが目に映った。

手のひらに乗るほどの小さな体に蝶のような色鮮やかで綺麗な羽。小さい頃に絵本で読んだ妖精そのものだった。


「あ、あなた・・・誰?」

「私はアンジェ。見ての通り妖精よ。」


やっぱり妖精だった。予想通り。

いやいやいやいや、予想通りとかじゃなくて!

妖精なんているわけないし、ここがどこか分からないし。1度に多くのことが起こりすぎて頭が混乱してきた。


「やっぱり混乱するわよね。仕方ない、面倒だけど1から説明するわね?」

「あ、はい・・・お願いします。」

「今私たちがいる世界は、あんたにとっていわゆる異世界ってやつよ。」


イセカイ? いきなり何言ってるかわからないけど、とりあえず黙って聞いてみる。


「あんたがさっきまで住んでたのは現存する108の世界の1つ、チキュウ。そこからここ、シェブールまで転送させてもらったわ。」

「転送・・・?」

「つまり、異世界転移よ。あ、これ神様のご意向だから反論は無意味だから。」

「ごめん、意味わからない。」


妖精とか世界が108あるとか地球がチキュウとか神様とか、既に頭がパンクしそうだけど、それ以上に異世界転移とか意味が分からない。異世界ものは本で読んだことあるけど、そういうのって主人公が勇者になってその世界を救うとかじゃないの? よりによって何で私?


「何で私?って顔してるわね。」

「してるよ。」

「あんた、友達いないでしょ?」


いきなり何の話だろう。まあ、いないけど。


「それに家族もいなくて1人暮らし。」

「いないわけじゃないよ。両親は海外で仕事してて忙しいだけ。あんまり連絡取らないけど。」

「つまり、少しの間いなくなっても不思議に思われないってことよ。」


いや、そんなことないでしょ。ていうか可愛い顔して酷い事言うなあこの子。


「シェブールは年々増加する魔物によって人々が襲われ、人口が減ってきているのよ。人を増やすには他の世界からいただくのが手っ取り早い。だけど、勝手にそれをやると問題が起こるでしょ? 行方不明だとか誘拐だとか。だからあんたみたいな人を探してシェブールに転移させてもらってるのよ。」

「・・・。」


なんとなく理解はした。人不足の世界に、別の世界から人を移してバランスをとる。できるだけ問題が起こらないように。

本で読んだものと大違い。転移の理由がしょぼい。


「うん、私に何が起こったのかはなんとなくわかったよ。わかったんだけどさ・・・。」

「どうしたの? 質問があれば何でも聞いてよ。」

「じゃあ遠慮なく・・・・・・ふざけんな!!」


私は大きく深呼吸をし、ありったけの声量をぶつけた。


「な、何で怒ってんの?」

「怒るに決まってるじゃん! 私に許可も取らずに勝手にこんなことして・・・しかも何、魔物?! なんでそんな危険な世界に飛ばすの?! 私普通の高校生だよ?! 3か月前まで中学生だったんだよ?!」

「コーコーセーとかチューガクセーとかよくわかんないけど、大丈夫だって。人間慣れれば何でもできるし、私ができる限りのサポートをするように神様から命じられてるから。」

「ほんとふざけんな!!」


本当に勝手な神様・・・。なんとかして元の世界に帰してもらわないと。


「まあとにかく、これからよろしくね地味子ちゃん。」

「その呼び方禁止。」


世界のバランスを保つためとかいう地味な理由で、私の異世界生活は幕を開けた。


これからも不定期投稿予定、です。

ありがとうございました。

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