現実世界のRPG
地に落ちて
足ダラリ
掴み損ねた鉄の棒
激突したデータ
破損
破損
破損
あの音楽が流れる
現実世界のRPG
一からのやり直しは
簡単じゃない
気づいた時には
取り返せない
少年が青年に
この先の足跡と
社会的ステータス
無条件で
常にオンラインの
現実世界のRPG
仕事場にはモンスター
よく見れば同僚
よく見れば先輩
よく見れば上司
会心の閃きは
空を切って
いつも誰かに持ち逃げされる
盗賊が
裏職業にあるのだろう
何でこんなに上手いんだ
初期装備でうな垂れる
現実世界のRPG
回復するにも
お金がいる
家賃 光熱費
あげればキリが無い
大半が無くなるから
アルコールっていう回復薬
一番小さな紙幣で
返ってくる小銭
一番小さな鍵で
帰ってくる部屋
テレビの音と缶の音
言葉にならないから溜息
現実世界のRPG
恋愛システムがあるから
機能させたいけれど
容姿の作り込みを
神様は簡素化したらしい
良くも悪くも無いから
良くも悪くも見られない
引っかける部分の無い
ハンガーみたいだ
ステータスに普通って書かれる
ちゃんと
極端が強いってわかってる
期待した変化は無い
努力に期待が合ってない
現実世界のRPG
友人との約束
仲間の仲間は仲間らしい
知らない人との出会い
それを楽しめないほど
馬鹿じゃない
これからを考える狡猾さくらい
一定値備えている
未来はわからないが
アルコールを酌み交わせば
未来は変わったりする
変な一体感
小さなイベント
連絡先の交換と
新しい出会いへの好感
現実世界のRPG
紹介の紹介は
交際に発展し易い
四人のパーティーか
四人でパーティか
話をするとノリが合うから
帰りのタクシーも乗り合いで
今日の終わりの帰り際
少し話をしたけれど
「もう少し話したい」の
破壊力は僕の中の僕を
簡単に倒した
紳士でいるか
獣でいるか
選択肢がでている
現実世界のRPG
結局紳士でいた
軽くバーで話をしただけ
後悔を公開している
誰もいない部屋
寝床に一歩前へ
光るスマートフォンが
気体を期待にしたのか
固体を液体にしただけなのか
物語っていた
『今日はありがとう。今度は二人で。』
男女の駆け引きが煩わしいと
話していたんだった
意外と舞い上がっていたらしい
これが色が変わる瞬間
何より彼女の寄せてくれた
気持ちが嬉しい
たまに楽しいから価値がある
現実世界のRPG