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始めての魔法

有休使って連休とりたいけどすることないしその分仕事が貯まるの嫌だなあ・・・

「まず各属性魔法についてですが、火、水、土、風、光、闇が基本になります。

私の憑依魔法やルシアの転移魔法は固有魔法になります。使い手が少ない分強力なものが多いですね。

基本の属性は個人で適性があり、ひとつしか使えないのがほとんどです。稀に才能のあるものは複数の属性魔法を使えたり、他の者より強大な力を使うことが可能です。」


食事も終わり、今はサヤの部屋で絶賛授業中だ。いかにも体を鍛えていますと言わんばかりにそこら中に重りやサンドバッグのようなものが置いてあり、女子の部屋的要素は皆無に近かった。・・・パンパンに膨らんで今にも弾けそうなクローゼットを覗いて。

部屋に入る前にサヤが「少々お待ちを」と残して部屋に入り、五分後くらいたってから「どうぞ」と中に通された。ルシアに聞いてみても「・・・乙女の秘密」とだけ言うばかりなので追求しないでおいた。まあ前世でも妹の部屋に漫画を借りに勝手に入ったときは半殺しにされたのでそこは触れないでおくのが吉だとシドーは自らの経験に基づき判断した。

因みに現在の時刻については午後13時前後。シドーが召喚されたのが3日前の朝7時頃、そこから森をさまようこと3日間 、魔王城で食事をして現在に至る。時間の知り方についてはマノクニではずっと空が暗黒に覆われていて太陽が見えないため、ルシアが開発した腕時計のようなものを使って把握している。


「・・・・すう・・・すう・・」

そんなルシアはベッドに腰掛けているシドーの肩にもたれ掛かり可愛らしい寝息をたてている。

サヤは最初こそ「こらルシア!無礼だぞ!」とくってかかっていたがシドーが「まあまあ」と宥めたことで納得いかなそうにしながらも引き下がり、授業を始めた。

・・・・シドーがもたれ掛かるルシアの柔らかさやら香りを楽しんだりはだけたローブからのぞく白い谷間を光の速さでチラ見しているのには気づいていないようだ。


何もない空中に文字のようなものを浮かび上がらせ、矢印や丸やバツ等の記号を交えながらサヤの説明が始まる。見たことのない文字だがするすると頭に入ってくる。これも異世界転生の鉄板ネタだと受けとめサヤの説明に耳を傾ける。

「火は攻撃に長けた属性で補助魔法も味方の攻撃力を強化するものが多いです。水は防御に長けた属性で氷も水属性に分類されます。風は飛行が可能になり、速度を速くすることが出来ます。土は水より防御に特化しており、この魔王城も高度な土魔法で形成されています。光は圧倒的な攻撃力と速度が特徴ですが消耗が激しいのが欠点です。そして闇は攻撃力と防御に特化していますがいかんせん使い勝手が難しいのです。」

「というと?」

「相手の能力や属性魔法の威力を弱めたり出来るのですが自身の強化が出来ないのです。更に重力という特性上扱い方も一癖二癖あるのです」

他の属性が放出するという攻撃的な概念に基づいているのに対し闇属性は重力を上げる特性上相手の動きを止めたりする足止め専門のような扱われ方をしているそうだ。


そう、この世界では


「トラップを仕掛けるなら土魔法で落とし穴、大気を押し付けて動きを止める等なら風魔法でも可能なので・・・・魔王様?どうかされましたか?」

「いやぁなあに。足止め専門?闇属性はハズレ?・・・そんなことないさ、むしろ使い方次第じゃ全てを一瞬で塵にできちまうゲームバランス崩壊級のチート属性だろ」

前世の知識―理科の天文分野に置いて最も有名な重力の極地。

多くの漫画やラノベにも使われている重力という圧倒的な力

「・・・たく、ステータスバグチートに加えて前世の知識を最も活用出来る属性とか・・数回リセマラしただけでとんだものを引き当てちまった」

「ま、魔王様、いかがなされましたか?」

サヤが心配そうな表情で見つめてくる。うわ睫毛超なげえ。

「面白いもん見せてやんよ!魔王様の力って奴をな!」

勢いよく立ち上がるシドー。そのせいで寄りかかって眠っていたルシアがぼふっと音をたててベッドに倒れこむことにも気付かず。






「・・・・・・・・・一体何事?」

何時も以上のジト目で見下ろすルシア。その視線の先には内股で座り込みしくしくと泣きじゃくるサヤとサヤに向かって黒い地面に座り込み手をついて頭を下げる・・所謂土下座をしているシドーの姿があった。

ことは約30分程遡る・・・・



「それで魔王様、一体何をなさるおつもりで?」

「まずサヤ達が持っている闇属性への先入観を捨ててもらう。」

サヤはキョトンとしているが気にせずシドーは続ける。

「闇属性―つまり重力の概念は押し潰す・・・であってるよな?」

「はいそうです。高度な使い手ならば対象に直接重力の影響を与えることも可能です。」

「こんなふうにか?」

シドーは拾った石を宙に放り投げ、それに重力魔法をかけてみた。

「『重力(グラビティ』」

すると小石が黒いモヤに包まれ次の瞬間ズドンっ!!と音をたてて地面にめり込む。

「流石です魔王様!始めてでそのように強い重力を発せられるとは!これならおっしゃったようにどんなものでも押し潰すことが出来ますね!」

サヤははしゃいでいるがシドーは首を横にふる。

「いや、なにも押し潰すだけが重力じゃないんだ。サヤ、今から君に重力魔法をかける。」

「え!?」

サヤの表情がそれまでの笑顔から一気に真っ青になる。

「ま、魔王様!何を!?」

おろおろと今にも泣き出しそうな表情。自分は今からあの小石のようにぺしゃんこにされるという事実が体を震えさせ、絶望を呼び起こす。

構わずシドーはサヤに手のひらを向け、集中する。するとサヤの体に黒いモヤがまとわりつきはじめる。

「ひ、ま、魔王様!どうか御許しを!何か粗相をしでかしたのならお詫び申し上げます!どうか!どうか御許しを!い、嫌あああああ!死にたくないい」

ぎゅっと目を瞑り、内股になってガタガタ震えるサヤ。正直悪いことをしていると思うがこれも彼女の先入観を取り払うため、決して怯えるサヤを見て悦に浸ろうなんてこれっぽっちも思ってはいない。・・・嘘です泣きそうなサヤ超可愛い。

「『低重力化』」

「いやぁああああ・・・ってあれ?なんともない?魔王様、何をしたのですか?」

涙目のまま訪ねてくるサヤにシドーは笑いを堪えて説明する。

「ぷっ・・くく・・今俺はサヤにかかる重力を減らしたんだ。」

「重力を減らす?」

「そう、詳しい説明をすると日が暮れそうだから簡単にいうとサヤの体重をそこの木の葉っぱと同じくらいにした。服とか鎧も含めてね」

「な、そんなことが!出来るなんて・・」

「試しにその場で軽くジャンプしてみな。あ、ほんとに軽くだぞ、ピョンと可愛らしく」

「そ、そんなお戯れを・・・ぴ、・・・ピョン?」

サヤはその場で軽く弾むようにジャンプする。・・・まさか本当にやってくれるとは思わなかった。ピョンって口に出しながら胸も弾んでプルっと揺れている。

そんなアホなことを考えている間にサヤの体は風船のようにふわりと宙を舞う。

「え?あ、うそ!?」

普段ならすぐに着地するはずがどんどん地面から離れていく。まるで本当に自分の体重がなくなってしまったかのようにふわりと宙に舞い上がる。

(そうか!重力を減らす・・軽くしすぎることで逆に自由を奪う・・確かにこれではパンチやキックもうてない。うてたとしても葉っぱでたたかれるような威力になってしまう!こんな使い方があったなんて・・・ん?」

ここでサヤはもうひとつの事実に気がつく。サヤの鎧は動きやすさを重視しているためヒラヒラとした布で覆ってあるだけの部分が存在する。―スカートのように。更に不味いことに先程シドーの魔法の実験台になって死ぬかもしれなかった恐怖と絶望から開放された為に全身の力が一気に抜けた結果・・

「「あ」」

やらかしてしまった。

シドーとしても浮かせた下からスカートの中を拝見しようと思って考えたことだったが予想以上に凄いものを見てしまった。パンツ処の騒ぎじゃ済まないものを。

「や、ダメぇ・・見ないでぇ・・」

慌ててその場でスカートごと股を押さえつけるがもう遅い。もう止まらない。

更に運の悪いことに急に強い風が吹き、葉っぱ程の体重しかないサヤの体は風に吹かれる木の葉のように吹き飛んで行ってしまった。

「きゃあああああああ!たあああすうううけぇぇぇてぇぇええ!!」

「はっ!しまった!サヤああああ!!」

慌てて飛んでいくサヤを追いかけるシドー。

後に残ったのは重力魔法の影響を受け、空中に漂うサヤの体から出た体液―涙や汗、涎に鼻水も含め―だけであった。

下ネタ苦手な方には申し訳ありません!

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