表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/47

説明回・・・そして出発

インフルエンザやら胃腸炎やらにかかり、その間の仕事を片付けていたらこんなに間が空いてしまいました。こんな説明で世界観伝わるわけがない(笑)

異世界グランには多種多様な種族が住んでいる。

数も多く物流の盛んな人族

神秘的な容姿と能力を持つ森人族

かつては奴隷として虐げられていた獣人族

天使と呼ばれ、多くの人を導く天人族

死を司り、魂の救い手となる冥人族


そして、それらの種族と敵対関係にある魔人族


かつては種族間で戦争などもあったが、今は魔人族以外の種族がそれぞれの領地または首都セントラルで互いに手を取り合って暮らしている。

そして、それぞれの種族の《王》が各領地を納めている。


首都セントラルを納める人族の王

樹海セレナを納める森人族の王

霊峰グランロックを納める獣人族の王

天界アハトを納める天人族の王

冥界グリモアを納める冥人族の王


有事の際はこの5人の王が協力し、立ち向かうという所要《連合》という体制をとっている。


そして、《五種族連合》ならびに全世界の敵とされ、討伐対称となっているのが

魔境マノクニを支配する魔人族の王



「・・・・《魔王》というわけです。」


アリーの説明を聞いて俺が思ったこと言うね。


「魔人族が何したっていうのさ、それだけだとなにもしていない、ただ存在するだけで周りから剣を向けられている不憫な一族じゃねーか」


「魔人族は存在するだけで他の五種族の生物に悪影響を及ぼしてしまうだけの力を持っているのです。体から常に致死性の猛毒を垂れ流したり、主食が人肉であったり、殺戮を好む性格だったり」


「でもそんな奴らだけじゃないんだろ?中にはいいやつだって」

俺の言葉を遮ってアリーが言う。

「あなたはにも分かりやすく言うとユダヤ人の迫害や黒人差別に近いですかね、でもあれらは考え方の違いや見た目の違いだけの差別です。魔人族は他の種族にとって害悪を撒き散らす謂わば害虫のような存在なのです。」


その説明を聞いて納得する。俺だってゴキブリと仲良く一緒に暮らすなんてまっぴらごめんだ。ゴキブリならまだいい、害悪をもたらす毒虫や熊や鮫と一緒に暮らせばこちらの命が危ない。


「だから駆除するって訳か・・・」


「そう、そしてあなたはその中でもとびきりの害悪、害悪の王《魔王》を引き当ててしまったのです。そのまま転生なんてすればあなたは多くの人から刃を向けられ、嫌われ、凄惨な最期を迎えるでしょう。死ぬことでしか周りに受け入れられないなんて惨めな王です。」


ここで俺は1つ疑問に思ったことを聞いてみることにした。


「今の異世界グランは魔王がいないってことだよな?つまりは平和な世界が完成している中にそれを壊す存在をぶちこむっていうのならこのカプセルはあんたにやるよ」

そういって俺はカプセルをアリーに差し出す。しかしアリーはそれを受け取らなかった。

「いいえ、前魔王が討伐され、魔人族が姿を消した後200年、世界は停滞、徐々に下降していっていると言えるでしょう。共通の敵がいなくなり、団結する必要がなくなったため、物流が止まってしまいました。そうなると今度は自国の領内だけで領民を養わなければなりません、しかし、」


「資源不足か・・・」


「はい、主に数の多い人族が資源を求めて他国に助けを求めましたが他国もそんな余裕はありませんでした。互いに少ない利益を訳合うくらいなら殺して奪い取る。そんな空気になりつつあるのです。」


ピリピリしてんなー異世界。

つまりあれだ、いじめの構図とよくにてる。傍観者がいないだけで。

いじめの対象がいなくなって次は誰になるかお互いに牽制しあってる感じ。


「更には《マノクニ》の資源をどこが手にするかでももめてます。」


このままだと本当に大規模な戦争が起こりかねないな。


「つまり俺は魔王になろうが赤ちゃんになろうが戦争に巻き込まれるわけか、前者は討伐対象として、後者は被害者として」


いや、戦争に被害者何てものは存在しない。中には戦争を拒否するものもいるだろう。しかし何らかの理由で最終的には参加している。拷問されようが殺されようが首を横に振り続けたものこそが被害者なんだ。


「・・・・・・・・」


俺は多分生まれてはじめて『考えた』

大前提としてそんな戦争が起こりそうな世界になんて行きたくない。でも例えどんなに平和な世界でもいつかは争いが起こる。変わらないもの何てない。

ならまたガチャを引き直すか?ぶっちゃけ他の神クラスを引くなんて幸運はもうないだろう。てかアリーの口ぶりから他の神クラスは既に他者によって引き当てられている。王がいなければ勝手に戦争何て起こせないはず。つまりここが俺の異世界人生最初の別れ道。『最強のいじめられっ子』か『最弱の傍観者』。

俺は今まで自分の意思なんて持ってなかった。そんなものがなくても生きては行けたからだ。なあなあの関係の友人、教師や親に言われるままの進学、聞き流すだけの授業、参加するだけの部活、楽ではあったが決して楽しいと思ったことは一度もない。そして理由もなく他人をかばって死んだ。

死んだ後もそんな人生を送るのかと考えただけでゾッとした。


「なあアリーさんよ、ちょいとレベル1の《魔王》のステータス教えてくんね?」


「へ?別にいいけど・・・はいこれ」


そういってアリーが魔王のカプセルに触れる。するとボウッと光が溢れて空中に文字や数字が浮かぶ。


神: 魔王


レベル1


H 290000

M 250000

A 300000

G 200000

S 280000


特技

《闇属性魔法》

ブラックホール

重力の塊を生み出し、物体を引き寄せる。


オールダウン

術者が認識した相手の全能力を下げる。レベルが上がると複数の対象にかけられる。


《常時発動》

生体・魔力感知

自身の半径2km内の生体・魔力を感知する。


魔眼

見つめた対象の真理を探る。



「「・・・・・・・」おい、なんでアリーまで黙ってんだよ」


「そりゃこんなの見たら誰だって黙るわよ!全ての能力が200000超えだなんて!」


アリーはなんだか慌てているみたいだ。詰め寄るな顔が近い

確かにさっきの街の門番なんかよりすさまじい能力な訳だけどどれぐらいすごいのかが今一よくわからん。


「なあアリー、イマイチピンとこなくてさー俺にわかるように説「いや、わかりなさいよ!これは本当にヤバイわ!!」


うんヤバイわ、顔どころか体も近い。谷間とか丸見えだしメチャクチャ良い匂いする。


「いい!先代を含む歴代魔王は他の神クラスに比べて2倍~3倍のステータスをもっているんだけど・・」


なんじゃそら、つまり最強職じゃん。と思ったが確かにラスボス的存在がそんなに弱いんじゃあ連合なんて作らないわな。


「まあその通りね、他の領地より過酷な《マノクニ》で生きる魔物達を支配する訳だから魔王+魔物の軍勢=五種族連合ぐらいでやっとつりあいが取れるぐらいよ」


聞けば魔王討伐のセオリーとされたのが先ず配下の魔物を全滅させ、5対1に持ち込んでひたすらリンチするということだった。


「それでも犠牲者が出るくらいなんだからいかに魔王っていう存在が強大か子供でも知っているわ。でもあなたのステータスは異常すぎる!こんなのが降臨したらそれこそ世界の終わりよ!」


ああ~人生オワタと嘆いているアリーを余所に俺は笑みが止まらなかった。


「やってやろうじゃん、魔王さま!それだけの力をもっているのならいるだけで戦争の抑止力になれる」


「例え魔人族以外の世界中の人から刃を向けられたとしても?」


心配するようなアリーの視線。


「そんときはそんときだ。

・・・・・さて、そろそろ行くよ。あんまり前置きが長いと決心が鈍る」


本心ははやくチートでウハウハしたいでござる。


「あーもー‼どうなっても知らないからね!あたしのせいじゃないんだからね!魔王にでもなんにでもなって嫌われもののスーパーぼっち人になって死んじゃえばーか!・・・ほれ、ポチっとな!」


アリーはなんだか自棄を起こした子供のようだ。ほらそんなに暴れると胸が揺れてこぼれ・・ってなんか変なスイッチ押したぞあいつ。ん?なんか足元に穴が・・・


「うおおおお!?マジでかあああああ・・・・・」


こうして俺の異世界人生は奈落の底に落ちる所からスタートした。落ちぶれた人生を歩んできた俺にとってはぴったりの始まりだ。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ