VS『森の悪魔』
久しぶりにYouTubeで昔のナルト観てた。
「はあっ、はあっ!みんな無事でいてくれ!」
森人族の戦士達が戦場へと向かった後、武装を整え、スゥーリアとサヤは里の入口へと駆けていた。里の入口に近づくにつれ、プレッシャーが増していく。
それでも二人は不安を振り払うかのようにひたすら足を動かす。
やがて里の入口へとたどり着き、二人は呼吸を整える。
「引き返すなら今のうちだよサヤちん」
「バカがバカを言うな。それにこれは魔王様の意思でもあるんだ。」
「そう言えばシドー君言ってたね、友国の危機を救いたいって・・・私の胸を触った挙げ句ないとか言いながら・・・」
「あれはわざとでは・・・ない・・・はず?」
「何で疑問系なのよ」
偶然のはずと思いたいサヤだが過去にやらかされたことが何度かあるため、
なんだか自信を持って言えなくなっていた。
「とにかく、戦わなければ里は壊滅。ましてや森人族がいなくなれば、益々我々魔人族の立場は悪くなる一方だ。」
「もしかしたら今回の騒動も魔人族の仕業ってことになりそうだね」
あははと呑気に笑うスゥーリアをジト目で睨みつつ、サヤは深呼吸をして意識を集中する。
「スゥーリア。『森の悪魔』っていうのは一体どんな魔物なんだ?」
「そう言えば言ってなかったね。実は僕も全貌を知らないんだ。伝承と、父さんと一緒に戦った戦士の人から聞いた話だと、大きな鎌を二本携えた、六本足の化物らしい。見上げるほどの巨体なのに凄く速くて、暗闇から襲ってくる。」
「そうか・・・ならこれだな」
そう言うとサヤは全身に魔力を集中させ、
「『憑依魔法:キラータイガー』」
ガブリエル戦、シドー戦で見せたトラの魔物を憑依させる。
「おお!あの危なっかしいネコちゃんじゃん!てっきりサヤちんは素手か武器で戦うもんだと思ってた!」
「私には魔法の才能はこれしかなくてな。変身もそれほど長くはもたん。」
「なら行きますか?」
「ああ!」
意を決して、里の入口である結界の門をくぐる。
原っぱのように開けた空間には何もなく、戦闘が起こっているとは思えないほど不気味に静まりかえっていた。
あまりにも静か。静寂とも言える空間にサヤとスゥーリアは寒気すら感じていた。
「みんなはどこ?サヤー」
それは一瞬だった。
それは『死』そのものであった。
音もなく、姿もなく命を刈る死の斬撃
サヤが数枚の木葉が散る音とほんの僅かな空気の乱れを感じほぼ直感でスゥーリアを抱えて低く飛び退く。
「な!?何を・・!?」
そこから先をスゥーリアは言葉に出来なかった。
先程までそこには樹木が生い茂っていたはずだった。それが数十本、鋭利な鎌で刈り取られた草のように中程で切断され、宙に舞っていたからである。
「なにこれ?一体どうなって・・」
「構えろぉ!スゥーリア!!」
サヤの一喝で我に帰るスゥーリア。自分を庇ったであろうその背には決して浅くはない斬撃の跡が刻まれ、毛皮に血が滲んでいた。
「ごめんサヤちん!」
「これぐらいかすり傷だ。それより構えろ。ヤツが・・・『森の悪魔』か・・・?」
スゥーリアも自身の武器である魔弓を構え、サヤの視線の先を目で追う。
「・・・・間違いない。ヤツだ。」
絞り出すようなスゥーリアの声。その目線の先には見上げるほど大きな影。
自身の斬撃で、日陰を作っていた樹木が切り開かれ、その全貌が明らかになる。
全身を覆うのは哺乳類には見られないつるりとした、温度を感じない黒く染まった甲殻。
見上げるほどの巨体を支える足は一本一本が人間の体より太く大きい。それが左右に二本ずつ。計四本の足を蠢かせ進んでいる。
何より最も目を引くのが、細い胴体と頭をすっぽり隠すほど大きな折り畳まれた前足。その間から無機質に赤く光る目がサヤ達を見据えていた。
「あ、あれが『森の悪魔』・・・」
「なんだあの腕は・・?」
油断なく見構えるサヤ達に対し『森の悪魔』はギシギシと生物らしからぬ音をたて、折り畳んでいた自らの武器を構える。
「シュルル・・・」
「「!!」」
二人が同時に目を見開く。開かれた前足の前腕部分が鋭い刃物のようになっていた。そして、その奥にある逆三角形の顔の下にある口のような部分からは何か細い棒のようなものがぶら下がり、赤い液体が滴り落ちていた。
「・・嘘だ・・そんな・・」
「間に合わなかったのか・・・」
『森の悪魔』の口から出ていたのは森人族の戦士の腕だった。そうだとわかったのは、その手に弓を離すことなく握っていたからである。
「・・・よくも・・・よくも!!」
「スゥーリア!?」
「よくも僕の家族をおおおおお!!!!!」
「ギシャアアアアア」
怒りと共に風の魔力を纏ったスゥーリアが突進する。『森の悪魔』もそれに呼応するかのように鳴き、バサッと二対の翅を広げて威嚇する。
「父さんも・・・仲間たちもお前に殺された。族長としてもうこれ以上誰も死なせない!覚悟しろ化物め!!」
父の、死んでいった戦士達の敵をとるため、何より家族同然である里の住人達に危害を加えさせる訳にはいかなかった。
魔力で生成した矢を弓につがえ、更に魔力を込める。
「穿て神風の槍!『風王の槍矢』!!!!」
溢れ出す緑色の魔力の矢が螺旋を纏いながら猛スピードで飛翔する。
「シュルル!」
これに対し『森の悪魔』は鎌を振るって撃ち落とそうとするが、
「無駄だぁっ!はあっ!」
スゥーリアがまるで指揮者のように腕を振ると、矢の軌道が変わり、鎌の一撃をかわす。そのまま死角である背後に回り込み、矢尻が爆発して加速する。そして、『森の悪魔』の後頭部に着弾し、大爆発を起こす・・・・はずだった。
鎌の一撃をかわされ、無防備な背後に回り込んだ矢を、返す刀で打ち払ったのだ。
「見えない筈なのに!」
「スゥーリア!退くぞ!」
このままでは無防備なスゥーリアが攻撃を受けてしまうと判断したサヤが一度距離を取ろうとする。スゥーリアもそれにしたがって、後退する。
「ギギィ」
『森の悪魔』は逃げる獲物に対し迫るが、巨体故にその速度は二人とは比べ物にならない程緩慢だった。
そのまま二人は200m程森の中を駆け、大木の影に隠れる。密集した木々は、巨大な敵から身を隠すにはうってつけである。
「はぁ、はぁ、・・・んで。ただ逃げた訳じゃないよね。何か気づいたんでしょう?」
「ああ、お前の矢に反応したときの奴の目の動きを見て気づいたんだ。」
「あの赤い目が後ろも見えてるっていうの?」
「正確には奴の目の中にある黒い点が、目の中を自在に動き回っているのが見えたんだ。あれこそが奴の真の目とも言えるものなんだろう。」
「自在にってことは全方位が見えるってことだよね・・・」
スゥーリアが落胆したようにため息をつく。
「僕の矢もあっさり撃ち落とされちゃったし・・・あの技僕の技の中でも相当速いのに・・」
「だが、あの動きでわかった。いくら見えていようと同時に2つのことに対応するのは難しいはずだ。同時に仕掛けるぞ。」
「うん、わかった」
頷いて、大木の両側からとびだす。『森の悪魔』は二人を追ってきたようで、とびだしてきた二人に対し鎌を広げる。開かれた鎌の内側には赤黒い血がこびりついており、それが誰のものか想像するだけでスゥーリアは腸が煮えくり返りそうだった。
サヤが振り替えって合図を送る。それを見て少し冷静さを取り戻し、木の枝へと身を翻して飛び乗り、矢をつがえる。
「これならどうだ化物!『風王の三叉槍』!!」
放たれたのは三本の矢。それぞれが風を纏って不規則な軌道で迫る。
『森の悪魔』は鎌を振るって応戦しようとするが、
「はああ!!」
サヤがキラータイガーの瞬発力を生かし、猛スピードでナイフのような爪を振るう。狙いは胴体。走り際に爪で切りつけるが、火花が散って僅かに傷ができる程度。それでも『森の悪魔』の注意が下に向く。尋常ではない威圧感を背中で感じながらサヤは急いでその場から退避する。
その瞬間に三本の矢が『森の悪魔』に命中する。威力は先程の『風王の槍矢』より劣るが、手数が増えたことでより避けずらいものになっている。矢はそれぞれ
目、腕、首に当たり、目には浅く掠め、腕には弾かれるが、首には、甲殻の隙間に硬い音をたててつきたつ。
「やった!急所に当たった!」
しかし、矢は『森の悪魔』が身動ぎしただけで抜け落ちてしまう。寧ろより怒りを顕にし、スゥーリアの立っている枝の幹を鎌の一撃で斬り倒されてしまう。
「うわあああっ!?」
空中で風魔法を使ってなんとか体勢を立て直して着地するが、その一瞬の隙を『森の悪魔』は見逃さない。鋭く巨大な鎌をスゥーリア目掛けて降り下ろす。
「くぅっ!」
咄嗟に爆風を発生させ、自分の体を吹っ飛ばしてかわす。鎌の棘が掠めるが、串刺しになるのは避けられた。
(くそっ!何とかして距離をとらないと・・・)
歯噛みするも、目の前の敵は中々距離をとらせてはくれなかった。
次々と振るわれる鎌をギリギリのところでかわすが、徐々に避けきれなくなっていく。
「なんだよ、そんなに僕を殺したいのか・・・いいよかかってこい!僕だってお前を殺したくて殺したくてしょうがないんだ!」
スゥーリアは叫んで矢を連写する。しかし殆どが折り畳まれた前足に弾かれ傷ひとつつけることも出来ない。そして、『森の悪魔』は、ゆっくりとスゥーリアに近づき、無駄な抵抗を続ける獲物に対し鎌を降り下ろそ
「・・・でも、殺すのは僕じゃないかもね」
「『轟牛の斧角剣』!!!」
直後、凄まじい轟音と共に『森の悪魔』の巨体が横殴りに吹き飛ばされ、大木の幹に叩きつけられる。
「ギシャアアアアア!?」
『森の悪魔』は奇声をあげながら手足をばたつかせて立ち上がろうとするが、脇腹に巨大な角のようなものが食い込み、上手く立ち上がれずにいた。
「はぁっはぁっ!なんて装甲の堅さと重さだ・・。この姿の私の全力でも貫けないなんて・・・」
息を切らしながらも、手にした巨剣で『森の悪魔』の動きを封じるサヤ。その姿は、先程までと別の姿をしていた。
先程までの全身に張り付くような毛皮ではなく、鎧のような皮膚で全身を覆っている。手足は一回り太くなり、肘から先と膝から下は毛皮で覆われ、足首は偶蹄類のような蹄に変化している。頭からは一対の角が生えているが、サヤ本人の角ではなく、一対の湾曲した角が生えている。
「スゥーリア!大丈夫か!?」
「うん、僕は平気。・・・今のサヤちんのゴリマッチョ振りに驚いて腰が抜けただけ」
「後で覚えてろよ!うおおおおおお!!」
雄叫びをあげながら更に力を籠める。この変身は、『サイクロブル』という巨大な牛型の魔物の力を憑依させたもので、その能力は筋力の大幅強化。身の丈以上の大剣を振り回し、見上げるほど巨大な敵を吹き飛ばす程の圧倒的な筋力。
こと一撃の破壊力においてサヤの憑依形態の中で最強の形態である。
「ギチギチギチギチ!!」
「くっ!このおおお!」
『森の悪魔』とサヤの壮絶な力比べ。サヤのいる位置はギリギリ鎌の可動範囲外であり、足の間にいるため、爪でも傷つけられずにいる。それでも単純なサイズとウエイトの差で『森の悪魔』が少しずつ起き上がろうとしていた。
「スゥーリア!!私が食い止めている間に頭を撃ち抜け!今なら最初の強力な矢が当たる!」
「よし!わかった!」
スゥーリアは立ち上がり、弓に魔力を籠める。サヤも最後の力を振り絞って大剣を突き立てる。
「はあああああ!!」
ありったけの魔力と、殺されていった仲間そして父親への思いを弓矢へと注ぎ込み、光の矢を引く。狙いは頭部。その殆どが眼球であるため、掠めただけでも血が滴る『森の悪魔』の唯一の弱点。そこを撃ち抜けば、どんな巨体だろうと絶命する。
「僕がみんなの敵を・・殺すんだ!!」
スゥーリアが矢を放ち、因縁に終止符を射とうとしたその瞬間、
「ギキャアアアアアアア!!!」
『森の悪魔』が凄まじい絶叫をあげた。
「な、なんだこいつ?」
「最後の悪足掻きを!そんなの無駄・・・・・え・・・!?」
感じたのは敵をとった喜びではなく、腹部に感じた熱さ。それがだんだんと激痛へと変わり、
「ごふぅっ!おぼぇ!」
内臓から吹き出た血が喉元にせり上がり、口から吐き出される。目がチカチカし、何が起こったのかわからずサヤの方を見ると、サヤの腹部から黒い線が飛び出し、それがスゥーリアの腹に突き刺さっているのだった。
「な、なんだこれは・・・・」
サヤもスゥーリアと同じように口から血を吐き出し、大剣を手放して膝をつく。
サヤの腹部を貫通し、スゥーリアの腹部へと突き刺さっていた黒い線は、二人の体から抜け、『元の場所』へと戻っていく。黒い線が『森の悪魔』の腹の先端から体内へと収納され、『森の悪魔』は再び動き出す。
激痛と貫通傷で身動きの取れない二人はその場に倒れ伏す。
「スゥーリア・・・・」
「サヤ・・・・・」
スゥーリアの魔力で生成された弓矢は消滅し、サヤも憑依が解けて元の姿へと戻ってしまう。そんな虫の息の二人を見下ろして『森の悪魔』は勝ち誇ったかのように鎌を振り上げ啼く。貴様らは所詮ただの餌なのだと言わんばかりに。
「・・・・・ちくしょう、ちくしょうちくしょうちくしょう!!!」
声を張ると腹の傷がひどく痛む。それでもスゥーリアは叫ばずにはいられなかった。後一歩だと思っていた敵討ちは、無惨にも失敗した。自分の力は強大な敵の前では全くの無力だった。幼い頃から族長の娘として、神童と言われ天狗になっていた。父と自分がいれば里は安泰だと思っていた。父が死に、その敵の一人を昔見捨てざるを得なかった幼なじみとその主が討ち取ってくれて、自分もやらねばという気持ちになった。
ただ、現実はそんな小娘の決意1つでどうにかなるものではなかった。守るべき民に庇われ、幼なじみの助けを借り、それでも何も出来なかった。
後は『森の悪魔』がすべてを蹂躙するだけ。
「・・・ごめん、サヤちん・・・ごめん・・・ルシアたん・・・ごめん・・・みんな・・・・ごめんなさい・・・」
意識も朦朧とし、うわ言のように謝罪を繰り返すしか出来なかった。それも
だんだんと小さくなっていき、こと切れる寸前だった。
ぐいっと体が持ち上げられ、目の前の地面が遠ざかっていく。
(ああ、そうだよね・・・自然で負けるってこういうことだよね)
顔を横に向ければ『森の悪魔』が口を開き、触手のような牙を剥き出しにしていた。
(サヤちんはもう食べられちゃったのかな・・・腹の中で会えたら謝ろう。)
巻き込んでごめんと、心の中で謝りながら、スゥーリアは頭からかじられ、
「え・・?」
間一髪、黒い玉が『森の悪魔』の横っ面に激突し、その巨体をぐらつかせる。
牙はスゥーリアの頭を噛み砕くことなく、衝撃でその体を手放す。
スゥーリアを受け止めたのは硬い地面ではなく、暖かな、それでいて逞しさを感じる腕。
(お父・・・さん?)
「ちょっ!?これ腹に穴空いてるけど大丈夫なのか!?きゅ、救急車!ああ!くそっここ異世界だった!」
「・・・落ち着いてまおーさま。まずこれを」
「おおっとそうだった!はい、あーん!」
ずぼっとスゥーリアの口へと太い何かが突っ込まれ、中に詰まった液体が喉を通っていく。
すると朦朧としていたスゥーリアの意識がはっきりとしていく。
「ふぇ、ふぇろーんぐ?」
「ああ、悪い。大丈夫か?痛むところはないか?」
「ぷはっ・・もう大丈夫。何を飲ませてくれたの?」
「森人族秘伝の秘薬。エドワードさんが持たせてくれたんだ。」
はっきりとした意識で顔をあげるとそこには、
「いやー・・治ってよかった・・」
黒髪に少し頼り無さを感じる少年、シドーがいた。その顔は安心しきったように気が抜けていて、スゥーリア自身、一瞬ここがどういう場なのか忘れかけそうになった。
「ギシャアアアアア!!」
『森の悪魔』が、獲物を横取りされたことで怒りの咆哮をあげる。そして背を向けるシドーに対し鎌を降り下ろす。これに対しシドーは、背負った鎌を抜き、真っ向から受け止める。ガキィンと金属質の音を響かせ、互いの鎌がぶつかり合う。
「でけーカマキリだなー。マジキモい」
片手でスゥーリアを抱えながらという不安定な体勢で受けとめたにも関わらず、シドーは小揺るぎもしなかった。そのまま片方の手に持った鎌で逆に『森の悪魔』を弾き飛ばす。
「!?」
これにはスゥーリアも唖然とするしかなかった。両者の体格差は一目瞭然。それをまさに虫を払うかのように軽々と押しやったのである。
「ルシア、任せた。」
「え?」
ぽいっとシドーがスゥーリアを放る。唖然としたままのスゥーリアをルシアが魔力で受け止め、そのまま地面に落とす。
「ぶぎゃっ!?何で落とすのかなそこで!?ここは優しく降ろすところでしょ!?」
「・・・いや、汚いパンツが見えて吐き気が・・」
「き、汚くなんかないわよ!」
「スゥーリア、取り敢えずこれを着ろ。色々破れて色々見えている。」
「?・・・・!!!」
同じように復活したであろうサヤにマントを渡され、慌てて羽織る。『森の悪魔』との戦闘で服が破けていたことにも気づいていなかった。
「・・・・まおーさま、援護は?」
ルシアの問いにガキィィィン!!!と、一際大きな金属音が返事代わりに鳴り響く。続けざまにガキッ!ガンッ!ブォンッ!ビシィッ!と、シドーと『森の悪魔』の壮絶な打ち合いが樹海に響く。
「・・・『大丈夫』『ここは』『俺に』『任せろ』だって」
「え!?今の効果音でわかったの?」
「・・・さあ?」
「!!」
「落ち着けスゥーリア、回復したとはいえ今の私達では邪魔になるだけだ」
いきり立つスゥーリアの首根っこをつかんでサヤ達は退散しようとするが、
「僕はここに残る。ここまできて、シドー君に全部任せるなんて出来ないよ!」
「・・・・食べられそうになってたくせに」
「うるさい!今の僕にだって出来ることが何か・・」
「ない」
ピシャリとルシアに事実を言われてしまい、スゥーリアはたじろぐしかなかった。しかし、ルシアは優しげな顔で続ける。
「・・・まおーさまが任せろって言ってた。なら私達は信じるだけ」
「・・・・・・」
「・・・・私も前のまおーさまのままなら少し心配だった。」
「前の?」
「・・・・目が覚めたとき、まおーさまは前と比べものにならないぐらい強くなっていた」
その時、
「ゲギャアアアアアア!!」
『森の悪魔』の断末魔の悲鳴がセレナ樹海にこだました。
描写わかりづらいですよね~(笑)
森の悪魔→全長10M 体高6Mぐらいの真っ黒な化け物カマキリ+ハリガネムシ的な奴
サヤの変身→手に長い爪のついたチーターかヒョウの獣人から、モンハンの大剣にありそうな斧剣を持ったバッファローの獣人




