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エルフ=アーチャー

エミヤかギルかどっちかといわれればエミヤ。


「まっっったく!!久々に会った幼馴染みに何て仕打ちをするのさ!ルシアたんってば昔からほんっと何考えてるかわかんないんですけど!?」

「・・・・スゥーリアは相変わらず喧しい」

「相変わらずってなによ!さっきは私のこと忘れてたみたいな感じだったじゃん!」


ルシアに氷の塊をぶつけられたスゥーリアがプリプリプリプリ怒りながらルシアに突っかかっている。

あれからシドー達は社の中に入れてもらい、木の香りが漂う居間に腰を下ろし、

森人族の族長からの話を聞こうとするが


「いるよねー、普段は黙ってるくせに何かの弾みで急にキレる人。場の空気が氷点下になるやつ・・・・ああ、ルシアたん氷魔法の使い手だもんね~得意技だもんね~」

「・・・人の顔色と空気に流されてお調子者ぶる風見鶏っぷりはさすが森人族一の風使い・・・いや、風にパシられてるだけか・・・」

「またローブ捲られて泣かされたいの?」

「・・・・今度は鼻血どころじゃ済ませない・・」


社の中に暴風と冷気と雷が吹き荒れる。エドワードとルークはスゥーリアを、サヤはルシアをなだめ、シドーは状況についていけずポツンとしている。

と、不意に暴風が止み、スゥーリアが真面目な表情と口調で告げる。


「それで?この間の天界アハトの急な進軍のことでこっちから呼ぼうとした矢先にそっちからくるなんてどうしたの?あいつらが言ってた新たな魔王ってどういうこと?そこでキョロキョロしてる彼はどっちの男?」


最後の質問だけ若干真面目ではなかったがその目は至って真剣だった。


(そういえばあいつらセレナ樹海を抜けてマノクニに来たんだよな・・ってことはこの人達と一悶着あったって感じか・・・)


シドーはそう思いながらこのスゥーリアという少女がサヤとルシアのことをどれだけ心配に思っていたかを察する。


「そのことも含めて私達は森人族の手を借りたいのだ」


サヤはシドーのことや、天界アハトの兵士との戦いについて話す。

スゥーリア達は最初は驚いてシドーの方を見たりしていたがだんだんと納得して話をきいていた。


「なるほど、君が新しい魔王なんだね。にしてはあまり迫力とか威圧感ないね。精霊達もなめきってる」

「あはは、どうも」


あっけらかんと笑いながら言うスゥーリアに思わず苦笑するシドーだが、それでは済まない者が一人···


「スゥ、この方をなめないほうがいいぞ。今は御自身の魔法で抑え込んではいるがそのステータスは歴代の魔王様を遥かに越えるものなのだぞ!現に天界アハトの軍隊と聖天使を一人軽々と返り討ちにしたのだからな!」

「やめろサヤ!張り合うな恥ずかしい!」


実際あの戦いは結果だけ見れば快勝だったが、シドーは内心ビクビクだったので正直勝った気等は微塵もなかった。


「あの聖天使ガブリエルを!?···そっか···」


スゥーリアは一瞬驚愕で目を見開いた後、安心しきったような笑みを浮かべてシドーに頭を下げる。


「我が父である先代族長の敵の一人を倒していただき感謝します。新たな魔王よ」


そして表情を引き締め、シドーの前に跪いて感謝の言葉を口にする。エドワードとルークもスゥーリアに続き同じように頭を下げる。


「いや、そんな急に畏まられても···って父の敵?」

「はい、我が父先代森人族族長シルバー·シルフィンは、先の天界アハトのセレナ樹海進軍に異議を唱え、抗争の末戦死しました。」


押し殺すように頭を下げたまま告げられた言葉にシドーは息を飲む。その事実がただ事ではなかったのか、サヤとルシアにも緊張がはしる。


「あの『風神』と恐れられたシルバー様が!?なぜ!?」

「··········」


サヤの驚きと悲しみに満ちた叫びが社に響く。ルシアも無言ながら表情は真剣なものだった。


「族長ってことは強さ的には他の王と同じ、つまりガブリエルより格上なんじゃなかったのか?」

「はい。先代魔王様の友であり、最後まで討伐に反対していた方で、幼い私やルシアにも優しくしていただいた方なのですが··」


サヤ曰く、オーソドックスな風魔法だったが、その魔力をこめた一撃は山をも射ち貫くと言われていたほどで、先代魔王討伐戦にも、森人族全員の命を他国に人質に捕られていたため仕方なく配下の魔人族兵士の一団を討ち滅ぼすという形で戦争に参加していたという。


「父さんは・・・あの日から、先代魔王様が亡くなった日から1週間部屋に籠って泣いていたんだ・・『すまなかった』ってずっと謝ってた。私もその頃からサヤちゃん達とも顔を合わせづらくなっちゃってね・・・」


でも・・・と、スゥーリアは続ける。


「ついこの間新しい魔王が生まれたって知らせがきたとき父さん言ってたんだ『もう同じことは繰り返させない』ってさ。それでアハトの軍に戦いを挑んだんだ」


2万を越える軍隊を相手に真正面から挑むのはいくら自国であっても自殺行為であるため、森人の戦士達は森に身を隠し、矢や罠などで殺すのではなく負傷者を増やす作戦で挑んだという。


(そういえば前世の戦争でも、殺すより負傷者を増やした方が相手に負担をかけられるって聞いたことがあるな・・)


殺してしまえばそれまでだが、負傷させることで戦力を削ぐと同時に治療の手間や食糧の浪費など、足手まといを増やして軍隊を維持できなくさせるのである。


「とうとうしびれを切らしたガブリエルが父さんに一騎討ちを挑んだんだ。

父さんにボロボロにやられて撤退しては回復を繰り返してしつこく攻めてきたんだ。」

「仕留めきれなかったのか?」

「あいつ味方を盾にして逃げたんだ・・」

「あいつの性格ならやりそうだ・・・」


シドーはガブリエルの聖王至上主義な言動を思い出してげんなりする。


「でもこのままいけば、あきらめて撤退すると思っていた・・・

やつらが『森の悪魔』を解き放つまでは!!」


スゥーリアは怒りを露にし、社の床に拳を叩きつけて叫んだ。











エミヤの正体を知ったときの衝撃ときたらもう・・・

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