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よく見たら、前話でinしてなかった

サヤとルシアが調達してきてくれたのは、清流の水と、ヤブシカというシドーが知っているシカよりずんぐりした生き物と、果物がいくつか。


「そいつ、どこで捕まえたんだ?」

「・・・・川の水を飲んでいるところを一発」

「危うく川が赤く染まるところでしたが・・」


シドーは一緒に行かず留守番で良かったと心のそこから思った。

元々スプラッタ―物が苦手な上に赤く染まった川なんて見ようものなら卒倒する自信すらあった。


(つくづくこういうサバイバル的な部分じゃ役にたたないな俺・・・)

「・・・・まおーさま少し離れて」

「ん?何だって?ルシ・・・・」


ぼうっとしていて、ルシアの忠告を聞きもらしたシドーの顔面に、鮮血と臓物が混じった液体が迸る。


「あんぎゃああああああああああああ%↷?〈#±~▨▫▷▫▩▼▩■!!!!!!!」

「魔王様!?大丈夫ですか!?」


すぐにサヤがタオルで拭いてくれるが、それでも突然目の前が真っ赤に染まった事態に驚きを隠せずにいた。


「ルシア!?いきなり何をするんだよ!」


若干いきり立ちながらルシアに詰め寄るも、ルシアはシドーの方には目もくれず、ナイフを操って肉を解体していた。


「・・・血抜き。野生の獣を調理するならまず一番にやること」


ルシアがナイフを振るう度に毛皮や骨が宙を舞い、後には霜降り肉のようにキラキラと輝く肉が残る。本当についさっきまで生きていたのか不思議な位だと、シドーは怒るのも忘れて見とれていた。


「キャンプの経験はあるけどここまで本格的なサバイバルは生まれて初めてだ。」

「魔王様のいた世界にはこのような獣はいなかったのですか?」

「いるにはいたけど、俺・・・というかあっちの世界の人間の住んでいるところには、いないな。山奥とか、自然の豊かなところにはいっぱいいるけど直接遭遇したことはなかったな」


どうやらサヤはシドーが住んでいた前世の世界に興味があるみたいで、時々このように質問してくる時があった。ただ、毎回前世で自分はもう死んだこととなっているため、二度と戻れないから話を聞いても意味がないというオチで終わってしまう。


「てかそれより体洗いたい。」

「それでしたら、先程の清流で汚れと汗を洗い流しましょう。・・・ルシア~留守を任せたぞ~」

「・・・・・・・」

「完全に料理に夢中になってる。・・・では参りましょうか、魔王様」

「おう・・・・ルシア~美味い飯期待してるぞ~」

「・・・・了解」

「あれ!?なんで私だけ無視!?」




清流はシドーの腰位の深さで、流れも緩やかなため、流される心配はなかったが・・・


「あの~サヤさん?そんなに見つめられると服が脱げないのですが・・・」

「お、お気になさらす!私は魔王様の部下として、魔王様の身の安全を御守りするべく、ここにいるのですから。」

「そのわりには顔がヤブシカの臓物みたいに赤いじゃねぇか!」

「なんですかそのたとえの仕方は!?顔が赤いのは私がレッドオーガ族だからです!」

「普段はそんなに赤くないだろ・・・たく、もういいや」


と、シドーは開き直って服を全部脱ぎ、清流に飛び込む。

一瞬ひやっとしたが、すぐに体の汗や疲れがとれる感覚にたまらずため息をつく。


「ふぁああ~~きもちぃい~~」

「そうですね~・・・では、体をお拭きしますので、向こうを向いてください。」

「おう~頼む~・・・・ん?」


振り替えるとサヤがいた。

清流の岸にいるかと思いきや、川のなかに入り、おそらくシドーの体を拭くためのタオルを持ち、全裸で。

もう一回言う、全裸で。


「・・・・ってどこのエロゲ展開だこのやろー!!!」

「きゃあッ!?こっちを向かないでください!」

「しゃもじッ!?」


振り返ったシドーの顔面に張り手を喰らわせ、強制的に反対側を向かせる。


「り、理不尽だ・・・一体なんなんだよもう・・」

「あ、主の体を洗うのは臣下として当然ですので・・・

とにかく!何も考えずに前を向いていてください。」

「お、おう」


サヤがシドーの体を洗い始めたため、シドーも何も考えないことにした。

川のせせらぎの音と、ワシャワシャ洗う音のみが辺りに響く。


(・・・・この状況で何も考えるなとか無理だろ)


最初はサヤの言う通り何も考えずにいたが、その度に先ほど振り返ったとき見てしまった色々なモノが脳裏をよぎる。

おまけに時々背中に触れる手のひらの感触がなんともいえぬこそばゆさを与える。


(スタイル抜群でめちゃくちゃ可愛い女の子に体を洗われるなんてシュチュエーションで、何も考えないでいられるのは真性のホモぐらいだっつーの!とにかくこのままだと、俺の股間の魔王様が○ラゾーマぶっぱなしそうなんだよ!・・え?所詮○ラぐらいだろ・・ってやかましいわ!)


シドーは混乱していた。


「魔王様」

「ふふぉおあ!?どぅしたサヤ?」

「いえ、そちらこそどうされました!?」

「なんでもない。続けてくれ」


では・・と、サヤは咳払いを一つして、絞り出すような声で


「・・・・つ、次は前を洗いますので・・・そのまま此方を・・・あっ!出来れば上のほうを向いてもらえれば~・・・」

「前は自分で洗うわぁぁぁ!!!」


サヤの手からタオルを引ったくると、水面を走る勢いで近くの岩場に駆け込むシドーであった。


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