これもテンプレ故の運命か
「よくよく考えたら無料でガチャ引き放題リセマラし放題とかマジでぬるゲーじゃねーか」
「君ねぇそんな考えだと10年も20年もガチャひくことになるわよ。このガチャ一回ひくごとに中身リセットされるからね」
「ガチャまでリセット仕様かよ!まあ何事もやってみなきゃ始まらんわな!」
「あなたそんな前向きキャラだっけ」
俺はもう変わると決めたんだ。現状にウダウダ文句言うのはもうやめだ。ここから始まるんだ!俺のnew人生!いっけぇぇぇぇ!!
ガチャッポン
「こ、これは!?」
「な、なんと!?」
俺と女は同じ様な表情でガチャの結果をみる。つか顔ちけぇ
さて、気になる結果は・・・
ハズレ:赤ちゃん
特技《泣く》
《合法的に女性に甘えられる》
「冗談抜きで乳児からやり直せってかこのやろー‼」
怒りのままにカプセルを床に叩きつけるとぷしゅうとショボい音をたてて消える
「ぷ、くくく、あは、もう無理!あははははは!あはっはひ、げほぉ」
「うるせー笑うな!つか笑い方汚ねえ!」
「ごめんごめん、ほらお姉さんの胸に甘えてきなよ、ほれほれ」
そういって女は胸の谷間を強調してくるが年齢=童貞の今まで積み上げた知識とプライドから一瞬チラ見するだけでスルーする。
「あ、今一瞬見たでしょー。えっちスケッチワンタッチ!」
「古!?・・・とにかく次だ!次で絶対に当ててやる!」
でも次赤ちゃん当てたらワンタッチぐらい・・げふんげふん落ち着け俺、ああいう誰にでも体を許す女は守備範囲外だ!どんなに外見が好みでもな!
「これで《神》クラスのが当たったらどうなるんだろうな?」
「それこそ爆笑ものだね!もし当てたら《神》クラスの武器をあげるよマジでぷぷー」
こ、このアママジでなめくさりやがってワンタッチどころか嫁に行けなくしてやろうか!?
「よーし言ったな!言ったからには当てたらマジで・・・って《神》クラスの武器?」
「ん?言ってなかったっけ?今君が当てようとしているのは言うなればステータス、つまりその存在そのものの強さなんだよ。武器とか鎧とかはまた追々ガチャの機会があるから楽しみにしててね」
「マジでソシャゲみたいな世界に行くんだな俺。うし、気を取り直していくぜ!」
ガチャ・・
「あれ?出てこない、詰まったか?」
「んもーなにやってんのよ、一回つまみを戻してもう一回まわすの!」
言われて一度つまみを元の位置に戻し、もう一度まわす。
するとなんと二個もカプセルが出てきた。
「うぉマジか、どれどれ、一個目は・・と」
ノーマル:街の門番
H30
M10
A15
G23
S8
特技《威圧》
相手をビビらせ、一瞬隙をつくる。ただし相手のレベルが自分より高いと効かない
「さっきのよりはましだけどなんだかな~・・さて、もう一個の方は・・あれ?どこいった?」
ふと視界を女の方に見やればなにやらこそこそとなにかを持ち逃げするような仕草をしていた。
「おい、どこにいく?」
「ピィ!!?な、ななななんでごぜーやしょうか?」
なんだよそのリアクション・・・とにかく女が何かを隠しているのは確かだ
「その腹に隠してんのってさっき俺がひいた二個目のカプセルだよな?隠してないで見せろよ」
「な、なんのことやら。たった今神様からメールがきてすぐに戻ってこいって!」
「ほんとかな~ほんとならそのメールとやらを見せてみろよ~」
「嫌よ!なんであなたなんかに乙女のケータイを見せなきゃいけないのよ!」
「それじゃあ俺は今からお前をひんむいてでもその隠しているものを見させてもらうぜ。・・その際他にも色々と見ちまうかもしんねーけど」
げひひひ・・とよく考えるとマジでゲスだな俺、つーかこいつ何をそんなに必死になってんだ・・・まさか!?
「当たったのか?《神》クラスのステータス「神様的撤退!」あ、待ちやがれこらぁ!」
「嫌よ!神様からとっとと戻ってこいってって再三メールがきてるのよー‼」
「嘘つけ、撤退つったろ今絶対に撤退って言っただろ!?」
「言ってませーん、ワタシソンナコトイッテマセーン!そんな幻聴が聞こえるなんてあなたの耳は爛れているんですね!」
くそ、なんて口も頭も悪い女だ!後地味に足速ぇ!こうなったらあれしかねえ!こんな美女相手に・・嫌々、こんな見た目だけの残念女にこそあれを食らわしてやる!俺が2年かかって会得した究極の必殺技!
「喰らえ、グランド・キス(大地との接吻)!!」
俺は前を走る女の後ろ足首に掴みかかった。その結果相手はバランスを崩し前につんのめり、
「へ?おわわわッととわあ、ぶへぇッ!!」
無様な悲鳴をあげつつ顔面から地面にダイレクトにぶつかるのだ!
そして俺は女が転んだ瞬間に懐からこぼれ落ちたカプセルとケータイをさっと奪取する。
・・・・・俺のキャラまんま盗賊じゃねーかこれ
「か、返しなさいよ!それはヤバイんだってば!それを当てたことで神様から連絡がきたって言うのは本当なんだから!」
鼻血を垂らしながら胸の谷間からケータイを取り出して見せてくる。
凄くセクシーなシーンなのに全然ムラムラしないのは何故だろうか。
それはさておき神様からきたというメールを見るとするか、この反応だと俺が《神》クラスを引き当てたのは間違いないな!俺の時代キタ━(゜∀゜)━!
『アリーへ
件名:今あなたが担当している転生者の少年が《魔王》の職業を当てたことについて
今すぐその少年の転生を辞め、《魔王》のガチャを天界に回収するのです。もしそのまま転生なんてすれば異世界グランは恐怖と混沌の渦に呑まれるのです。そのガチャカプセルも放置するだけで周りに凄まじい影響を及ぼしてしまうので此方で破壊するのです。』
へぇ~《魔王》か・・・って
「《魔王》!?《神》クラスなのに魔王ってどう言うことだ!?」
いやいやいやいや、ほんとマジでつまり俺今日から魔王になるの!?まおーさんになるの!?
「知ってしまった以上仕方ないわ、それがどう言うことなのかを、ことの重大さをあなたの脳みそにわかるレベルで教えてあげる」
俺がプチパニックを起こしていると女・・アリーが真剣な表情で言った。
・・・あれ?さりげなく俺バカにされてない?
H:体力
M:魔力
A:物理攻撃力
G:物理防御力
S:素早さ