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魔王VS天使

なんで他の作家さんは二日三日で更新出来るんだろ?

「き、貴様ァァァァァ!!よくも、よくもよくもよくもよくもよくも!!この私に・・・傷を・・ま、魔人族風情がァァァァァ!!」


「下敷きになった部下より自分の心配かよ・・・たいした天使様だな。岩落としたの俺らだけどさ。」


血が噴き出す頭部を抱え悶えるガブリエルに侮蔑の視線を送りながらも油断なく構えるシドー。

内心は心臓が破裂しそうだった。人殺しや戦争とは無縁の世界で生きてきた少年がついさっき初めて大勢の人間を殺した。計画をしたのは自分で、実行したのも自分の筈なのにその事実だけがシドーの決心を、覚悟を鈍らせる。


「・・覚悟してただろうが。殺らなきゃ俺らが殺られるって・・・・ルシア、サヤの様子はどうだ?」


もう一度自分に言い聞かせ、先程自分を庇ってくれた少女の身をあんじる。着地したあとすぐにルシアが吹っ飛ばされたサヤを回収していた。


「・・・・命に別状はない。けど防いだ腕の骨が折れてて意識もない。」


その言葉通り、サヤは意識を失い、苦しそうに顔を歪めていた。痛むであろう腕は青く痛々しく腫れている。

そんな姿を見てシドーは沸き上がる怒りを抑えつつ、目の前の敵をみやる。

二万の軍勢を一撃の元に葬り去った岩山の直撃を受けてもガブリエルは生きていた。重症を負ったようだがその目はギラギラと自分達を殺そうという殺意で溢れていた。


「油断はしない。やってやる。この異世界グランで魔王として生きるって決めたんだ。」

「何をぶつぶつと・・・何?魔王?・・まさか貴様のような小僧が魔王だというのか・・ふはは!こんな小僧に・・・こんな小僧に!!」


ぶわっとガブリエルの体から金色のオーラが迸る。辺りの瓦礫を吹き飛ばしながら叫ぶ。すると、身体中に負った傷や折れた翼がみるみる再生していく。


「げげ!そんなのありかよ!あんな大ケガも治しちまうとか流石異世界。まあ天使だからホ○ミぐらい使えるか・・。ルシア!サヤを連れて安全な場所に!」


「・・・・りょーかい。気を付けてまおーさま。」


そういうとルシアがサヤを連れて転移する。


「部下との別れはすんだか魔王。」

「なんだよ、わざわざ待っててくれたのかよ。けっこう親切だなあんた。」

「急ぐこともない。貴様を殺した後あの小娘達も始末しておいてやる。死ぬのが多少遅くなろうが構わん。」


まさにそうなることが確実と言わんばかりの物言い。ガブリエルの表情は見下すような、自信に溢れていた。


「さっきまで『私に傷を―』って取り乱してた癖に。まあいいや、じゃあさっさと殺してみろよ天使様?」

「小僧が。一瞬で終わらせてやる。」


口調とは裏腹にすっと、素人のシドーにもわかるくらい無駄のない構えをとる。


(さっき飛んできたのはあの剣だよな。サヤを一撃で倒すぐらいだから気を付けねーと!)


シドーも背負った鎌を構える。そしてガブリエルの一挙手一投足を見ようとして・・・・不意を突かれた。


「!ヤベェ・・」


ボッ!とガブリエルの構える剣が凄まじい速さでシドーに迫る。完全に不意を突かれ、額に一撃を食らったシドーはズガァンッ!!と弾き飛ばされて地面を転がる。シドーの手から離れた大鎌が宙を舞い、大地に突き刺さる。

その場をなんとも言えない沈黙が支配する。それもそのはず、攻撃したガブリエルはまさに混乱していたからだ。


「なんだ今の手応えは・・我が剣『ウロボロス』が弾かれただと・・さっきの小娘は何らかの能力で防いだようだがこいつはおかしい!まともに当たったはず・・・!?」


ガブリエルは目を見開く。視線の先に全くの無傷でなんの苦もなく立ち上がる魔王がいたから。




「よっこらしょ」


そんな呑気な台詞とは裏腹にシドーは内心焦りまくっていた。相手の殺意のこもった攻撃をまともに受けてしまったからだ。


(今のは確実に死んでた!・・魔王のステータスじゃなきゃ今ので確実に終わってた!・・くそったれ!何が油断しないだ!)


自分を叱責し改めて覚悟を決める。軽く手足を動かし、異常がないか確認してからガブリエルを見据える。


「今度はこっちの番だ。見せてやるぜ魔王のちか「死ねぇ!魔王!」だあああ!?この野郎何しやがる!」


咄嗟に放たれたウロボロスを反射的につかんでそのまま引っ張る。そのままステータス任せに放り投げようとするが。


「うわ!なんだこの剣!ぐにゃぐにゃ伸びる!キモッ!」


引っ張ったらその分がぐにゃーっと伸びてしまい、シドーの考えは呆気なく覆される。それだけではない。そのままウロボロスが巻き付いてきたのだ。


「おわぁ!この!離しやがれ!」

「貴様、ふざけているのか!」


そしてガブリエルは魔力を込めてシドーを締め上げる。普通の人間が食らえばあっという間にミンチになるであろうが魔王は違った。


「・・・痛くない?」


ガブリエルが魔力を込めて自分を絞め殺そうとしているのはわかったがなんの圧迫感も感じなかった。寧ろ少し力をいれればウロボロスを引きちぎることさえ出来そうだった。


(そういえばさっきも話してる途中で不意打ちだったけど普通に見えてたし、普通に掴んじゃったけどこれって・・・)


そこでシドーは自覚する。自身の魔王としてのステータスを、理解し、受け入れ、今完全に自分のものにする。


(なんだこれ?頭の中から何かが浮かんでくる!)


それは魔力の流れにも似たものだった。シドーの戸惑いを洗い流すように体に馴染み、まるで力の使い方を教えているようだった。


「おぉらぁあ!」


そして試しに『力を入れて』自分の身を縛るウロボロスを容易くぶっちぎる。

四散したウロボロスの破片が辺りの地面や崖にめり込んで破壊する。


「なに!?」


あまりの出来事にガブリエルが狼狽する。神剣『ウロボロス』、天界アハトに伝わる七本の神剣のうちの一振り。その剣身は無限とも言われ、伸縮速度も神速と呼ばれるものだった。ガブリエルは長い鍛練の中でその特性を完全に自分のものにしていた。しかし、それが呆気なく打ち砕かれ、狼狽えてしまった。

それは覚醒したシドーに対し、致命的と言える隙を与えてしまう。


「シィッ!」


短い呼吸とともに一足でガブリエルの目前に迫る。前世よく読んでいたバトル漫画のごとくガブリエルの懐に迫り、無防備な顎目掛けて右拳を叩き込む。

その瞬間、大地が震撼する。いや、シドーが高速でガブリエルに迫ったことで発した衝撃波が今になって炸裂する。それぐらいシドーは速く動いていた。

そして、顎を捉えた右拳はそのまま顎を打ち砕き、ゴキャア!と嫌な音をたててガブリエルを悲鳴すらなく天高く打ち上げる。その際空気が破裂し辺りに衝撃波を撒き散らす。


「・・・少し速く動いただけで地形がかわっちまうなんて・・・これは力を使いこなす練習しなきゃな・・・」


瓦礫が綺麗に吹き飛び、クレーターのようになってしまった辺りを見渡しながら、ポリポリと頬をかいて呟いた。










来年も暇潰しがてら読んでいただけるとうれしいです。

僕も暇潰しで書いているので(笑)

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