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『天使』

ひたすら土下座!

仕事に追われ、存在すら若干忘れかけてました。

久しぶりに見たらポイントが上がっていて凄く罪悪感を感じました。

森人族の住まうセレナ樹海を半ば強引に抜け、マノクニから徒歩で3日4日ほどにある山岳地帯。そこには全身を黄金の板金鎧で身を包み、同じく黄金に輝く剣や槍等を持った兵士たちが地面に座り込み休息をとっていた。

その数凡そ一万七千。出発時には二万を越えていたはずがここまでの道のりで三千程の兵士が姿を消していた。

それは今回の新魔王討伐作戦があまりにも急な予定で始められたからである。

平和に暮らしていた中突然聖王から下されたあるひとつの命令、

「マノクニに新たなる魔王が出現した。速やかにこれを討伐せよ!」と、本来たとえ魔人族相手であっても各国の王と会談をし、その上で進行を進めて行くはずがその過程をすっ飛ばしていきなりの討伐命令である。

これには天界―アハトの天人族は勿論各国の、世界中の人が驚愕した。

『魔王は12年前に討伐されたのではないのか!?』

『薄々予感はしておりましたが・・・』

『我らに意見もなしに討伐とはどういうことだ聖王!』


あまりの強行策に各国の王は軒並み反対。様子をみるべきだと聖王に伝令用の魔法「テレパス」を飛ばす。しかし聖王は聞く耳をもたず、最初の征伐隊からのテレパスを受け、自国の精鋭部隊二万を編成し、大規模転移魔方陣を使って直接セレナ樹海へと転移させた。

本来なら一月以上かかる道のりを二万人を転移させたことにより大規模な魔力嵐が発生。セレナ樹海に住むあらゆる動物や魔物がその影響で活性。その地に住む森人族達の怒りを買い、戦闘が起こった。

平地で同じ数の兵士がぶつかれば勝つのは天人族だがここは森人族のいわゆるホームグラウンド。森に隠れ、さらには気配遮断の魔法を使い、風属性の矢を射ってくる森人族に奇襲を許し瞬く間に三千人が命を落とす或いは戦闘不能になる。

これにより部隊は防戦一方となり、いつ飛んでくるかもわからない矢や魔法に怯えながらの行軍となり士気も低下。命からがら森を抜け、現在に至る。

普段から聖王に忠誠を誓っている兵士もこのあまりに無理矢理な行軍に心身共に疲れて果てていた。そして皆一様に「我らの王は何をお考えなのだろうか」という疑問を覚える。

新たな魔王とはそんなに恐ろしいものなのか、聖王様がこんなにも取り乱すとは、など練度の高い兵士はそのようなことを考える。

一方若い兵士は項垂れ、聖王に対する不満の念を仲間内で打ち明けていた。


「はぁ、おら天界の隅の田舎から出てきたが聖王がこんな滅茶苦茶な人だとは思わな「黙れ」ぐびゃあ!?」

一人の若い兵士が、人混みの中から飛び出してきた鞭のようなものに顎を打たれもんどりうって倒れる。

その顔の下顎がごっそりと抉られ、僅かに残った奥歯が剥き出しの口腔から地面に落ちる。


「~~~~!!!!!あ、おおお!!」

「黙れと言っているだろうがこの俗物めが」


ぐしゃり!と地面に踞る兵士の胸をまるで落ち葉か何かを踏むように板金鎧ごと粉々に粉砕する。鎧の破片と地肉が混じったものが飛び散って辺りを汚す。


「貴様のような聖王閣下のお考えに疑問を持つようなものなど地の肥やしにもならん。」

他の兵士とは違い兜をしておらず、代わりにサークレットをしているためその顔はよく見える。流れるような金髪と白い肌は天人族特有のもの。しかしその男の背には三対六枚の翼があった。

「問おう、貴様らここで何を話していた。」

「ひ、ひぃぃぃ!申し訳ありませんでした!ガブリエル様!私どもはオゴァ!!」

翼の生えた天人族―ガブリエルが手に持った剣を動かしただけで兵士の顔面が兜ごと破裂する。

「ふむ、謝るということは何か後ろめたい真似をしていたのだなそうだろう!?」

「ヒィ!ち、違います!我々はただ作戦の今後について議論を交わしていただけで「それは貴様らごときが考えるものではない。今回の指揮を任されたこの私―聖天子ガブリエルが考えることだ。私の指示は聖王様の意思だと思え!!」

は、はいいいい!!ひぃぃぃ!」

兵士達は味方であるはずのガブリエルから逃げ出すようにその場から脱兎の如く駆け出す。ガブリエルはそんな彼らを一瞥すると

「そう、これも聖王の意思なり」

剣を一閃、50mは離れていたはずの兵士達は一人残らずシュレッダーにかけたように鎧ごと細切れになり、断末魔の叫びすらあげず血霞と化す。


「彼らは偉大なる聖王の考えに疑問を持ってしまった!聖王は!我等が到底及ばない領域にてその知恵を絞り我らを導いて下さる!故に!我等は!そのお考えに従うのみ!さすれば栄光をこの手に!聖王と共に王道を歩まん!ふひ、ふはははははははは!待っているがよい魔王よ!貴様の首!貴様の血肉!全てこのガブリエルが!聖王に捧げる供物にしてやろう!光栄に思うがよい!ふはははははははは!」



整った顔を愉悦と狂喜、畏怖に染めながら天使は笑う。皮肉にも、味方の誰一人彼を天使とは見なかった。何故なら彼の表情は醜い悪魔のそれだったからだ。


こうゆう自分の考えを持つことすら許さない教師や親に育てられてきたから指示待ち人間ってゆうのが生まれるんじゃないですかね?


・・・・・・すみません、自分のことです

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