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犬勇者  作者: 吉行 ヤマト
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ピヨールと海へ

 ロンダは船員から魚の干し方を聞いた後、どうしても実践したいと言い出し、問答無用で暗がりの海に飛び込んだ。


 暗くて何も見えないだろ。


 と思ったら、遠くでワンと鳴く声が聞こえる。肩を見るとピヨールが連れて行かれていて、甲板の端の手すりに縄が括られていた。


 明りはピヨールで、帰るときは引き上げろという事らしい。


 俺は船員達に一通り説明して船を止めてもらうと結ばれた縄の先を握ってロンダの合図を待った。


 合図は意外と早く来た。ぐっと縄を引くのが3回、引き上げろの合図だ。


 縄を両手で掴んで引き上げようと力を入れるが、重くて引き上げる事が出来ない。それに気づいた船員達も手伝ってくれて、何とか引き上げると、そこにはタコにまみれたロンダが光りながら現れた。


 「ひいぃ!」

 「ま、魔王の嫁か!?」


 縄を伝って船に乗り込むロンダを見て様子を見ていた船員やメウロバルトも悲鳴をあげる。


 「魚は居なかった。獲れたのはこいつらだけだ」


 全身に纏わり付いたタコを剥がし、手に持った袋に押し込むとロンダは不満そうにこちらを見た。


 「ピヨール、行って来い」


 「ワン!」


 やはりこうなるか。


 俺が昔、アンデーヌ村の近くの山にある湖でロンダよりも多くの魚を捕まえた事を根に持っているのだ。


 「キャ!」


 「勇者殿!?」


 俺が服を脱ぎ捨て下着だけになるとアンジェリカとアンが声をあげる。


 「俺が魚を獲ってくる」


 「いや、旦那。夜の海は危険ですぜ」


 メウロバルトが心配してくれている。俺が何かいい道具は無いかと聞くと先が3本に別れたモリを貸してくれた。


 「ずるいぞピヨール」


 ロンダが文句を言う。


 いやいや、お前が勝手に素手で行ったのだろう。


 俺は腰に縄を括り付けてピヨールと共に海に飛び込んだ。海の中は海面の様な波は無く、穏やかだがピヨールの光が届かない場所は夜の闇よりも暗かった。


 海の底は見えないが、それ程深く無さそうだ。俺は縄がまだ十分な長さがある事を確かめてから、底に向かって泳いで行った。


 底にあったのは海の中の山という感じのものだった。山肌にはゴツゴツしたものや皿の様なものがあり、木の枝の様なおかしなものもあった。その周りに小魚がたくさん泳いでいて、更にそれを狙う大き目の魚がいた。


 俺はその大き目の魚を狙う事にした。モリを構えてギリギリまで近付き、隙をついて突き刺す。


 意外とのろまだな。


 モリは面白い様に魚に突き刺さり、俺は次々と魚を捕えた。そしてついでにゴツゴツした山肌で色が綺麗な部分をもぎ取ってから、縄を3回引く。


 腰が引き上げられるのに合わせて、そっちに向かっておれも泳ぐ。そして引き上げられるがままに船の上に戻った。

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