アンの意気込み
動けない男達は全部で5人いた。川辺に並べた5人は全く目を覚ましそうにない。ロンダが言うように何らかの呪いなのかも知れないが、どこまでいってもそれは推測の域を超えなかった。
「アンジェリカが居たら分かったかもな」
俺が何と無く呟いた言葉にアンが反応する。
「魔物を、全ての魔物を倒せばきっと元に戻るはず! 次は私が魔物を倒します!!」
「いいぞ! その意気だ!」
アンの気合いをロンダが褒める。2人はその勢いのまま駆け出し石橋を渡って行った。
俺を手本にするんじゃなかったのか?
石橋を渡りきり、その先の林で姿が見えなくなった2人を俺は慌てて追いかけた。
すまんが、ここで寝ていてくれ。
5人の呪われた者達を残して俺は石橋を渡った。林に入ってすぐに街道に魔物の残骸が飛び散り始める。子供ぐらいの大きさの人型の魔物で、手には何か武器の様な棒を持っている。残骸はその腕が無かったり、首や胴体が無かったりと様々だ。
切り口は良いが狙いがバラバラだな。
恐らくアンの剣で斬られたであろう断面は無理なく刃が当たっている綺麗な断面だが、魔物にとって致命傷になりにくそうな場所や、動きを止めにくい場所が斬られているところがあり、反撃を受けていないか心配になった。
「せい!」
林の奥からアンの声が聞こえる。
「そこを斬っても、そつの動きは止まらんぞ」
ロンダだ。
「お前はさっきピヨールの何を見てきたのだ」
「す、すみません」
いや、まだそんなに見ていないだろ。
「足や腕は一番細い所だけ斬るか、根元から斬るか、もっと早く判断しろ。後、骨ごと行くなら、剣は両手でふらんとお前では斬れんぞ」
「はい!」
声が聞こえた場所に追いつくとロンダとアンが子供ぐらいの人型の魔物に取り囲まれていた。魔物は手に太い棒を持ち、振り回しながらロンダとアンに襲いかかっているが特に統率が取れた動きはなどはなく、ただ感情のままに襲いかかっている様だ。
「俺達も行くか」
「ワン!」
光の剣を抜いて俺も魔物に飛び掛った。




