処理しました
次の日、王と王妃は朝から準備を終えていたようでそれぞれ愛用の武器を手に立っていた。
「それで準備は良いのか?」
「はい」
「はい」
何だかこの数日で2人は更に若返ったように見える。
「そうか」
この城はどうするんだ?
と言おうとしたら、王が先に答えを言った。
「要らぬ息子は処理しました。所詮、あの息子では王は務まりません。昨日、宴に同席していた者達に後は自由にさせます」
え? 息子を? まあまあやばいな、この2人。
王妃はどう思っているのだろうと見てみると、満面の笑みだった。
ま、まあ、良いなら良いんだが。
詳しく聞くと、宴に来ていたコシュウ達が自分達を何とかしたいと思っていた事を2人は気づいていたらしい。ただ自分達を恐れて従っていたという事も知っており、城を2人が出ていけばどうせ息子は殺される、ならば止めは自分達でという事のようだ。
「ここで逃しても、あの者達は絶対に見つけて息子を殺すでしょう」
王と王妃はにっこりと微笑む。
「恨まれていたのか?」
「はい」
「多くの者を処理して来ましたので」
闇を手にする為、多くの犠牲を払って来たらしい。恐怖で支配して。
まあ、それは別に構わないのだが、息子でもお構いなしなところが凄いなと俺は感心した。
俺には無理だな。
魔皇と呼ばれても、それは出来ないと俺は思いながら城を出る俺と2人。そこで俺達は取り囲まれた。
あれはコシュウとそれ以外の3人か?
それぞれの黒服達がズラリと並び、俺達を取り囲む。
ジョカやイダヤもいるな。
コシュウの黒服達は明らかに後列にいて襲いかかってくる様子がない。何だったらこの場から少しでも離れようとしているように見えた。
俺はジョカとイダヤに向かって軽く頷く。
逃げるなら追わない。
という意味だったが、どうやらそれが伝わったようでコシュウの黒服達は更に一歩、後ろに下がった。
「逃げるものは逃がしてやれ、後は任せた。俺に強さを見せてくれ」
俺は2人にそう言った。
まあ、ここで2人がやられても、俺は困らないからな。
2人は頷くと身構えている黒服達に襲いかかって行った。