俺の願望
暫く様子を見ているとそいつの攻撃は徐々に激しくなって来た。今では左右に素早く動きながら拳や蹴りを繰り出してくる。だがやっている事は俺に闇を送るという物であることに変わりはなかった。
どうしようかな。纏ってみるかな。
こんなに一生懸命に俺に闇を纏わせようとしてくるのだ。それなら一度、纏ってやっても良いのではと思えた。俺は闇を纏えるように、自分の闇を消してみた。
ジュワン
そいつの動きが激しい分、一気に闇が俺の周りにまとわりついて来た。そして全身を闇が覆った時、俺の前にそれが現れた。
「我を受け入れよ」
それは光に包まれた女だった。俺の前に立つその女は一糸纏わぬ姿で現れてそう言った。
誰だ?
と一応心の中で反応したものの、その姿からそれが誰を真似たものなのかは一目瞭然だった。
ロンダか。
それはロンダだった。光り輝くロンダ。だがその姿と声は何処かおかしかった。
何だか、俺好みすぎるな。
俺の知るロンダというよりは、俺の願望のロンダという感じがした。
ああ、そうか。そういう仕組みか。
闇を纏わせ、そのものの大切なもので操る。そういう事のようだ。そう考えるとなかなかの出来だ。俺はそのロンダに触れてみた。
グ
おお!? 触れるのか!??
ロンダにしては柔らか過ぎる気がするが、俺はロンダに柔らかさを認めていたのだろうか。俺自身も気づいていない願望をこいつが表しているのだとしたら、こいつはちょっと取り込んで消すのは勿体無いな。
俺は目の前にいる願望のロンダの全身を触りながら、どうすればこいつを連れて行けるかその方法を考えてみた。