谷の入口
黒服達と共に谷に向かう。結局、良い案が浮かばなかったので黒服達と馬車で移動する事になった。東への調査は俺の話が本当だと判断出来れば取りやめとなるので、俺達が谷から帰って来るまでは延期となった。
「それ程急ぎという訳ではない」
と、イダヤが言う。
俺が乗っている馬車にはイダヤだけが乗っている。俺の事を警戒してということらしい。それ以外には馬車が4台。2台に黒服12人が乗り、残り2台に4人と荷物が乗っている。町を出てすぐに人の気配のない道を行くので荷物が多いらしい。
「明日の昼には着いている」
谷は広いらしく、その入口は城や町からそう遠くはないという。それ故に谷の奥にいる魔物を警戒して近づかないように大きく迂回する必要がある。
イダヤは俺を警戒しながらも、俺の強さに興味があるようで言葉少なに俺について尋ねて来る。俺はそれに素直に答えながらイダヤの反応を見て時間を潰した。
そうやって俺達は谷の入口に着いた。
「ここからは馬車は無理だ」
道は続いているが、それまで以上に道が荒れており、確かにそのままでは馬車では進めなさそうだ。
だが。
俺は道の上に生い茂る木々や砕けた岩を闇に吸い込んだ。
「え!?」
これ迄進んで来た道よりも走りやすい道が広がる。
「道なりでいいんだな?」
そう問いかけるとイダヤが無言で頷く。
「ならば、着いて来い」
俺は道を綺麗にしながら先に進んだ。




