ナボナとルダブ
村の門までやって来た俺はその門に片手で触れた。
グッ
と押すことで扉は音を立てて崩れてしまう。そんな俺の背後には射尽くされた矢が転がっていた。
「構えろ!」
門の中は何だか見た事がある風景だった。裂け目はないが、村の壊れた建物の瓦礫が並び、その向こう側に兵士が俺を取り囲んでいた。
岩を落とすのは無理そうだが。
槍と矢が俺を狙う。その中央に先程の位の高そうな兵士と、もっと位の高そうな兵士がいた。
名は何だったか?
「ナボナ様、あの者です」
「あれがか。確かに異様だが攻撃が当たらないとは」
ナボナと呼ばれたのはもっと位の高そうな兵士。そしてそう呼んだのが位の高そうな兵士だった。
「ルダブ、お前が言うならそうなのだろう」
あいつはそうだルダブだったか。
「この村で得られる物はもうない。一斉攻撃して無理なら即時撤退だ」
「は!」
2人の会話は終わり、ルダブが兵達に合図を送る。
「初め!」
それと共に俺に矢が飛来し、すぐに槍が伸びて来た。
少し飽きたかな。
俺は矢を弾くのではなく手で撃ち返してみた。
トカカカカ
「ぐぉぉぉ!!」
矢はちゃんと射た兵士の元に帰っていった様だ。そして槍もそうする。
ドズズズズ
「があぁぁ!!」
突かれた槍をへし折り、それを槍の持ち主に返した。
ドザザザァ
前列の槍を持つ兵士と後列の弓を構えた兵士がその場にうずくまる。当たりどころが悪い者は絶命していた。
残念だったな。
俺は真っ直ぐナボナの元に向かった。