空洞
影で掘るというよりは穴の底をどんどん影に落としながら下へと進む。そんな感じのことを俺は繰り返す。
初めてすぐに最初の穴の深さから10倍ほどの深さまで掘り進み、そこから更に下へと進むと土よりも石の割合が増えて来て、最後には岩だけの層になて行く。
あ、これって。
俺はそこである事に気づいた。先程入った風呂のことだ。
この岩の層を掘ったら、湯が出て来たりしないか?
もしそうなったらこの部屋は湯でいっぱいになる。
という事は掘りながらも、壁を作って行く必要があるな。
俺は影に落とした岩の層をうまく加工しながら穴の壁にして更に進んだ。
「本当に掘れているのか?」
「ああ、今は元の深さの100倍ぐらいだな」
「100!?」
「岩の層があるので、そこを掘り進んでいる。湯が出ないかが心配だ」
「湯!? 確かに。掘ったら出る可能性が高い。どうするんだ?」
「出て来た湯は仕方ないが、岩で壁を作りながら掘っているので出続けるということはないだろう」
「岩で壁を? 意味がわからん」
なぜかテバレは怒り出した。
「何だその力は、ピヨール、お前ずるいぞ!」
何だかよく聞く言葉だ。
「そうか?」
「そうだ!」
「やめるか?」
「やめるな!」
「分かった」
俺はそうやって掘り続けた。そして穴に変化が起こる。穴の先に空洞を見つけたのだ。
「空洞がある」
「本当か!?」
「ああ、行ってみるか?」
「もちろんだ!!」
俺はテバレと共にその空洞に行く事にした。
次回投稿は、4/22(月)の予定です。




