表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
犬勇者  作者: 吉行 ヤマト
2021/2413

100年かかっても

 テバレの話によると、この石の光はかつて存在した文明の技術で作られたものだが、それ自体では無く、それに長い間触れる事により影響を受けたものだと言う。


 「本物であれば光は消えない。それどころか太陽の様に輝き、熱く燃えるらしい」


 テバレは嬉しそうにそう語る。


 「燃えるって、危なくないのか?」


 「危ないに決まっている。これを作った文明はそれで滅んだらしいからな。神罰とも魔の厄災とも言われているが」


 危ないのか。


 「それが、ここの地下にあるのか?」


 「多分な。ルベェートの洞窟と呼ばれる場所だ。そこはその文明の名残りがある筈だ」


 「筈?」


 「そうだ。見つけてみないと何もわからん」


 「それを1人でやって来たのか?」


 「そうだ。誰も信じない。この光が見えないから」


 見えてしまう者の苦しみ、見えたからこその希望、テバレの顔にはそんな複雑な感情が浮かんでいるように見えた。


 「一応、聞くが」


 「何だ?」


 「どうしても、自分で掘り当てたいか? その洞窟を」


 「そうだな。そうしたい」


 まあ、そうだろうな。自分で見つける方が良いよな。


 「だが、今のやり方では恐らく見つけられない。そんな事は分かっている」


 テバレは小さくため息をついた。


 「町の真下を大々的に掘る訳にもいかず、こっそりこうやって石を少しずつ持ち帰る毎日、あと100年かかっても、そんなに掘れはしない」


 自分のやっている事が愚かな事だと理解していても、やらずにはいられない。テバレはそれ程、その文明に焦がれているようだ。


 「体は鍛えているが、そんなに深くも潜れないだろうしな」


 穴を掘るだけでなく、鍛えてもいるのか。確かに細いが良い筋肉だ。


 「俺なら多分、もっと掘れるが、掘っても良いか?」


 俺は現実を前に覇気を失ったテバレにそう問いかけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ