ベッドとカーテンの間
テバレは積み上がった物の間をすり抜けながら俺の横を通り抜けベッドとカーテンの間の空間に移動する。
「本当に好きなら、ついて来てもいいぞ」
一瞬振り返った後、テバレはスッと消えてしまう。
んん!? どこへ行った???
ベッドの影に隠れただけと言うわけではなく、本当に消えたので俺はすぐにその場所に行く。
穴???
ベッドとカーテンの間にあったのは丸い穴だった。
掘ったのか?
その穴は何かの道具で削り取られて出来ていて、穴の内部はガタガタになっていた。そのガタガタに手や足をかけて下に降りて行ったのだろうが、それにしてもその動きが速すぎる。俺が穴を覗き込んだ時にはかなり深い場所から更に下に向かう音が聞こえて来た。
少し狭いが行けるか。
詰まったら最悪影に入れば良いだろう。そう思って俺もその穴に飛び込んだ。俺の方がテバレよりも上にいるので、穴の内側のガタガタを壊さないようにと気をつける。
深いな。
もし、これを1人で掘ったとするなら、一体どれくらいの期間がかかったのかと呆れる。とにかく俺はテバレを追って下へと向かった。暗闇の中を。
「本当に来るとは」
そうやってテバレを追って行き、穴の底でテバレに会った。会ったと言っても真っ暗な穴の中。音と気配で分かるだけだが。
「掘ったのか?」
「掘った」
「自分で?」
「そうだ」
「凄いな」
「まだだ。ルベェート迄届いていない」
「ルベェート?」
そう言えばそんな名前を言っていたな。
「地底の洞窟だ。そことつないだら、私の部屋も地底になれる」
???
何を言っているのか分からないが、テバレはそう言いながらも真っ暗な闇の中、手探りで穴を掘っていた。
「手伝おうか?」
「いらん」
テバレはこの穴掘り自体を楽しんでいるようだ。ならばその楽しみを邪魔するのは良くない。
「いや、やっぱり手伝え」
「良いぞ」
「これを上に」
テバレは掘った石や土を入れたカゴを俺に向けて持ち上げて来た。カゴが俺に足に当たったのでそれの存在に気づいた俺はそのカゴの中を取り敢えず影に沈めてカゴを返す。
「え!? 何をした???」
「後で教えてやる。今は好きなだけ掘れば良い」
俺がそう言うとテバレは少し間を開けてから、カゴを受け取る。
「お前、ずっとここに居ろ」
テバレはそう言って穴掘りを再開した。
次回投稿は、4/15(月)の予定です。




