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犬勇者  作者: 吉行 ヤマト
2016/2414

カーテンを開けるな

 促されるままに俺はテバレの部屋に入った。


 いない?


 部屋の中は薄暗く、分厚いカーテンの隙間から差し込む光でかろうじて様子が分かる程度だった。部屋には何だかよく分からない物が積み上げられていて、それらに押しやられる様に隅の方にベッドがあった。


 寝ているのか?


 ベッドの上には盛り上がった布団があり、俺はそこにテバレがいるのかと近づいてみたが、それはただ布団が丸められているだけだった。


 あれ? やっぱり、いないのか?


 暗くてよく分からないのでカーテンを開いて明るくしようと窓に近づく。


 「カーテンを開けるな」


 背後から声がする。振り返ると積み上げられた物の中にテバレがいた。


 「いたのか」


 「私の部屋だ」


 「まあ、そうだが」


 「何の用だ?」


 「用?」


 何の用かと聞かれても、俺には何の用もない。


 「ピエトパオ侯はいつもあんな感じなのか?」


 「そうだ」


 「婚姻がまたかと言っていたが何度目だ?」


 「5回以上は数えていない」


 「で、そこで何をしているんだ?」


 「削っている」


 「削る? 何を?」


 「石だ」


 石?


 「削ってどうするんだ?」


 「中にある物を取り出す」


 中にある物?


 「何があるんだ?」


 「ふん、何も知らないんだな」


 「え? ああ、まあ、そうだな。何も知らないな」


 「馬鹿なのか?」


 「確かに。賢くは無いな。教えてくれるか?」


 「お前、変わってるな」


 テバレがこちらを振り返った。

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