国でも作る気か
塔から真っ直ぐ南西に。影を伸ばす時にその事だけ注意しながら俺は道を作って行った。
「影で一瞬で移動出来るがどうする?」
という問いにすぐに飛びついたのはピエトパオ侯だけだった。なので騎士達やルシモドとゴメリを塔に残し、俺とピエトパオ侯の2人で道を伸ばし続けた。
「道以外も作れるのか?」
どんどん伸びていく道を振り返りながらピエトパオ侯が尋ねて来た。
「まあ、丸太小屋ぐらいなら作れたが、あとは畑とか、川とかぐらいだな」
俺のその答えにピエトパオ侯が少し言葉を失う。
「川に畑だと!? お前は国でも作る気か!??」
「国? いや、作ったのは村ぐらいのものだ。山奥の」
「こんな風に一瞬でか?」
「ん? ああ、まあ、だいたいそんな感じだな」
ピエトパオ侯は少し考えてから俺に尋ねた。
「城は作れるか?」
「材料と作り方が分かれば、出来ないこともなさそうだが」
「例えばこんな感じだ」
俺は道の先にある川を見つけ、そこにこれ迄に集めていた岩と木を加工して橋を作ってみた。
「何でもありか!??」
「いや、何でもは無理だぞ」
「よし! お前は我が娘の婿にもなってもらうぞ!!!」
え?
「何だ? 嫌なのか?」
「嫌というか、会った事もないんだぞ?」
「気にするな」
気にするだろ?
「決まった事だ」
勝手に決めるな。
俺はそれ以上その話題に触れないように、道を伸ばし続けた。
次回投稿は、4/8(月)の予定です。




