どういうつもりだ!
道を作る為に影を広げる。真っ直ぐ南西に伸ばしてからもう一度方角を確認する。
「こっちでいいんだな?」
「はい、その方角に真っ直ぐです」
「分かった」
森があった場所は木が無くなったとはいえ、でこぼこした草むらだ。茂みも多く歩きやすいとは言えない。なのでまずはそれらを無くして土だけにする。更に言うと木を無くしたので土に隙間が出来ていてそのまま道にするには適さない。
なので道にしたい部分とその周りの土も一旦影に落とし、下から積み重ねて押し付けながら元に戻す。出来ればその上に石を並べたいが、敷き詰めるほどの石は無く、取り敢えず土を押し固めて道にした。それでも見ている者達には影が大地を抉り、そして道が一瞬でできたように見えただろう。
「こんな感じでどうだ?」
「お前は何者だ!??」
ピエトパオ侯が俺に詰め寄る。
「何者?」
「闇の力で道を作るなど、どういうつもりだ!」
「どういうつもり?」
なんと答えて良いのか分からない質問がピエトパオ侯から次々に出てくる。俺はそれに対し聞き返す事しかできなかった。
「いや、すまん。取り乱したな」
「ああ、気にするな」
ピエトパオ侯は大きく息を吸い、ゆっくり吐き出した後、俺が作った道を見て尋ねてきた。
「あの道を伸ばすことができるのか?」
「できるぞ。これと同じで良いんだな?」
「ああ、十分だ」
「分かった」
俺は出来る限り真っ直ぐ遠くまで影を伸ばし、そこに同じ道を作った。




