街道の整備
「見事だ!!!」
塔を降りて元々森だった辺りを調査していたピエトパオ侯と騎士達。ルシモドとゴメリも一緒に調べていたようだが、俺を見つけると駆け寄って来た。
「さすがです」
2人は自分の事のように無くなった森を見渡す。
「これだけ森を切り拓く事が出来たのは、この帝国の歴史上初めてだぞ」
ピエトパオ侯が俺の肩を両手で叩きながらそう褒める。
「そうか。やり過ぎたかと思ったので戻って来たが、問題はないようだな」
「勿論だ! 南との往来の時間と安全、そのどちらにも計り知れない効果があるぞ! そうだろう? お前達」
ピエトパオ侯が騎士達に問う。
「はい! これだけ見晴らしが良ければ、魔物だけでなく、野盗などの対策もかなり楽になるかと」
「うむ。早速、街道の整備を進めよう。ジンナーロまでは届かなくとも、森を迂回していた道をほぼ直線で短く出来るだろう」
「かしこました」
ピエトパオ侯の命令で騎士達が町に戻ろうとしたので、俺はそれを止めた。
「待て、繋ぎたい道というのはどの道だ? 方向だけでも分かるか?」
ジンナーロまでの道というのがどこにあるのかわかれば、正直、道を整備するのは簡単だ。土ごと沈めて道にして戻せば良いだけだからだ。
「真っ直ぐ、あちらですね」
騎士の1人が南西を指差した。
「繋ぐ道の始まりは塔の辺りからで良いのか?」
「はい。今の道は森を避けてここよりかなり手前で一旦西へと向かうのですが、その必要がなくなりますので」
「そうか。では、一旦、塔まで戻ろう」
「どうしてだ?」
ピエトパオ侯が尋ねてきた。
「まあ、その、あれだ、道を作ってみる」
「なに?」
「へ?」
ピエトパオ侯や騎士達が驚きの声をあげる。まあ、そうだろう。
「一応、出来るだけやってみるという程度だ。試しにやってみるから、問題ないか見てくれ」
俺はそう告げてから、塔から南西に向かって真っ直ぐ伸びた道を少しだけ作る事にした。
一応、道の出来を確認してからの方が良いからな。




