見える範囲の森
見渡す限りとは行かないが出来る限り影を広げる。その中で幾つかの魔物らしき存在を見つけたので、そいつらも森と一緒に影に落とした。^_^
ズヌ
塔の上から見えている半分ぐらいの領域の森が消えた。
「な!? ば!! ばかな???」
ピエトパオ侯は完全に言葉を失う。俺は森の木々だけを沈め、草などはそのままにしたので土と岩だけが残っていると言うわけではないのだが、それでも目の前に生い茂っていた何層にも重なる木々が消えた後の広々とした空間を目の当たりにして驚くのは分からなくもない。
「5体ほど魔物もいたので、一緒に影に沈めた」
俺がそう告げてもなんの反応もない。驚きの最中でそれどころではなさそうだ。
「見える範囲の森は無くなってもいいんだな?」
ピエトパオ侯は俺の問いに無言で頷く。
「分かった。ならばここで見ていてくれ」
俺は先程と同じ範囲で影を伸ばし、その一番奥に影を使って移動する。俺が影に沈むのを見て、再びピエトパオ侯や騎士達が驚いていたようだが、気にせず俺は森を消し続けた。
確かに大きな森だ。
そしてやっぱりあれがあった。失敗作の四角いやつだ。取り敢えず壊してから影に沈める。手当たり次第森を消していく中で、四角いのは全部で7個あった。どんどん森を消したが全体としてはまだまだ森の一部という感じだ。
塔からかなり離れた場所まで来た。それでもベスボ火山はまだまだ遠いが、一旦、塔まで戻る事にした。
勝手に動き周り過ぎるのも良くないだろうからな。
影の移動を10回程繰り返して、俺は塔に戻った。




