丘の上
ピエトパオ侯の行動は早い。すぐに騎士達を共ない町を出ると、真っ直ぐに南に向かった。
「ピエトパオの南は全て森だ。特にこの先にあるあの山、ベスボ火山までにある火の森は人が立ち入らぬ森だ」
ピエトパオ侯が指差す先に青白く空に馴染む山が森の奥に見えた。
「火山なのか?」
「そうだ。今でも火を噴いている。その火で森がよく燃える」
燃えるのか。
「だが、すぐに森の戻る。隙間を埋めるようにな」
それはすごいな。その森も見てみたい。
「行きたそうだな。心配するな。そこにも魔物はいる」
行けるのか。
「あの丘の向こうから森に入る」
町と森の間には広大な畑が広がり、いくつかの集落が点在している。その間を馬で走り抜け、俺達はピエトパオ侯が指差した丘に向かった。ピエトパオ侯の騎士は精鋭の5名。そこにルシモドとゴメリが加わって全員で9名で丘に向かう。
丘の上は石垣があり、その上に石造りの建物があった。塔になっているようで上に何か設置されている。
「気になるか? あれは遠くを見る装置だ」
ジョバンから手に入れた装置らしく、のぞくと遠くの様子がよく見えるらしい。これでベスボ火山や火の森を見るのだという。
「それは見てみたいな」
「そのつもりだ」
ピエトパオ侯は中々分かっているやつだ。
丘の上の建物は近くまで来るとまあまあの大きさがあった。塔といっても良いぐらいの大きさのその中に入り、内側の階段を上に向かって登る。
「良い眺めだ」
気持ちのいい風が吹きつける中、俺達は全員で塔の上に出た。
9人はちょっと多いな。
思っていたよりも大きい塔の上だが、9人で登るにはちょっと狭かったようだ。




