君といた時間
もし愛している人が次の日、余命3ヶ月と残された時、あなたは何をしますか?そして、最後の日、なんと言いますか?
これは、ある2人が過ごした3ヶ月である。
私の名前は、神崎茜。私は今もあの人といた3ヶ月が忘れられない。だから、今もこの先も彼のことを愛し続ける。
高校時代から付き合い、結婚した彼、神崎湊は、ショコラティエとして働いていた。彼は、とてもチョコ好きだった。だか、そんな毎日も続かなかった。突然彼は、職場で倒れてしまった。彼は、この三ヶ月、癌と闘うことになってしまった。そのことを知ったとき何をどうすればいいのかわからなかった。
数日たって、彼の病室へ足を運んだ。彼は、もう髪の毛もなく、点滴をうちながらベットに座って窓を見ていた。前の彼とは明らかに違った。私は彼に、
「湊、来たよ!」
と明るく言ってみた。すると、港は笑いながら
「おぉー!茜。びっくりしたぁ」
といった。辛いのを隠しているのがバレバレだった。
「湊、調子どう?」
と聞くと彼は、苦笑いしながら
「なんか結構辛いんだ。抗がん剤とか使ってるけどもう、長くいられんみたいだからさぁ。」
と弱音をはいた。私は、彼の手を握りしめ、
「ずっと一緒にいるよ。湊が、やだって言ってもずっといるし好きでいるよ。だから結婚したんだし。だから、してほしいことあったら言って!」
と言った。彼は、泣いた。本当は、彼は、別れようと思っていたのかもしれない。だけど私はこのとき、思った。私が力になってあげないと。
毎日、通うことにした私は、彼の頼み事を聞くことにした。彼は、癌だとは思えないほど元気だった。だが、1ヶ月経った頃、病態は悪化した。吐き気が止まらなかったり食欲が無くなっていたのだ。そうなっても笑顔で彼を支えた。彼も必死に笑おうとがんばっていた。そしてもう、酸素マスクがないと辛い時になった。3ヶ月なんて短すぎる。私は、彼の前では泣かないようにした。だって、彼が一番辛いのがわかったから。もう話せなくなった時、彼の親も私を心配していたが私は大丈夫だと言い、会った。彼は、辛い顔をしていたが私を見ると手を握った。もう、弱かった。もう、命が危ない。私は院長に頭を下げ、特別に一緒にいられるようにした。
そして、彼は、夜中に突然、苦しみ出した。私はすぐにドクターコールのボタンを押し、彼の親に電話しようとした。すると、苦しんでる彼が私に何か言っていた。私は酸素マスクに顔を近づけると
「愛してる」
そう必死に言っていた。私も半分泣きそうになりながらも
「愛してるよ。」
と笑って言った。彼は、少し笑っていた。その後、担当医がつき、応急処置をしたが彼は、微笑みながら眠った。苦しみから解き放たれたように…。私は泣き崩れてしまった。彼の親もその後来て彼を抱きしめていた。
数日後、彼の担当医から電話がきた。病院に言ってみると一通の手紙と私が買った日記帳を渡されていた。手紙を見ると
『茜へ、
俺が辛い中、毎日、毎日来てくれてありがとう。本当にそれだけで頑張れたよ。3ヶ月なんて短すぎるよな。やりたいことたくさんあったのに。でも茜といるだけで幸せだった。本当に幸せだった。ありがとう。結婚して良かったよ。何より出会えてよかった。だからさよならなんて書かない。だって、俺は茜のことを最後まで愛しているから。
愛しているよ。茜。
湊より』
私は泣いた。湊が書いた文字がにじみそうになるくらい。そして日記帳を開いた。すると、彼のやりたいことがたくさん書かれてた。そして最後の方に
『茜ともっといたい』『茜との子供がほしい』と書かれていた。私は、彼のすべての夢を叶えられなかった事が悔しかった。泣いていると私は日記帳を落としてしまった。そのとき開いたページに
『愛しているよ、茜。前のページに書いた夢が叶えられなくても、俺の中では茜と一緒に最後まで過ごせてしかも結婚したことが最大の夢だよ。叶えてくれてありがとう。本当に愛しているよ。』
と書かれていた。
「愛しているよ。ずっと…。」
と言い、目が腫れそうなくらい泣いた。
私は、いまでもその日記帳と手紙を大事にして生きている。彼の分まで生きている。そして今、彼の叶えられなかった夢に私は挑戦している。
愛しているよ。湊。