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村人転生~最強のスローライフ  作者: タカハシあん
十歳スタート

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994/1859

994 ボブラ村にオレありを示せ2 

 オレ、ヴィベルファクフィニーだよ~!


 とか、村に響き渡るように叫びたいが、雨が本格的に降りだして来たので外仕事をしている者はいなかった。


 晴れたら外仕事。雨が降ったら家仕事。山の生活は自然に逆らったりしないのだ。


 ……オレ、最近自然どころか運命にまで逆らってるような気がする……。


「ベー様、濡れますよ」


「そうだな。ドレミ、屋根つけてくれ」


 まあ、人は自然に逆らいたくなる生き物。それもまた自然さ。


 荷車がぐにょんと動き、御者台を囲い、透明な膜がフロントガラスのように作られた。


「あんがとさん」


 ほんと、便利な生き物だ、スライムってのはよ。


 集落に向けて山を下りていると、街道から続く道から数台の幌馬車が入って来た。


「隊商でしょうか?」


「いや、違うよ。あれは奴隷商さ」


 この近辺の国はだいたい奴隷制を採用しており、たまにボブラ村にもやって来るのだ。


「……奴隷ですか……?」


 馴染みがないのかミタさんは首を傾げていた。


「どの国も犯罪者を囲っておく場所も管理する経費もない。だから、犯罪者は奴隷にされ、鉱山や街道整備、領主に売られ公共事業に従事させられる。だが、そう言うのは軽犯罪の者で、犯罪の重さに寄って刑期が変わるんだよ」


 鞭振って強制的に働かせても効率は上がらないし、長くも使えない。ちゃんと何年の刑期だと決めて働かしたほうが効率がイイのだ。真面目に働けば早期釈放もあるからな。


「あれは重犯罪の奴隷商かもな」


 重犯罪者は鞭を振るったところで仕事はしないし、管理するのも一苦労。従属の首輪とかあるが、あれは結構高価で使い捨てだ。とんでもなく凶暴とか逃げられたら困る技能があるとかじゃないと使いはしないだろう。


「そんな奴隷に需要なんてあるんですか?」


「これが結構あったりすんだよ」


 まあ、この時代特有の人権など異次元に捨てたような使い方がな。


「主に使われんのは騎士の練習用だな」


「騎士の、ですか?」


 この世界がファンタジーとは言え、いきなり森に入って魔物や獣を駆るなど死にに行くようなものだし、人を殺すことにも慣れておかなくちゃならない。


 えげつないと感じる心はあっても、更正させようと立ち上がる者はいねー。ただ殺すより有効利用するヤツがいるだけさ。


「どこかの魔王も似たようなことしてました」


 知恵のついた生き物なんて似たり寄ったり。優れた種族なんて幻想さ。


 重犯罪を扱う奴隷商だと思う馬車がこちらから来たと言うことは、カムラ王国から来たのだろう。


 だが、それにしては中途半端な時間だな? カムラから来たならボブラ村には夕方に着くよう計画立てるものなのによ。


 途中で野営したのか? 随分と命知らずだこと。


「集落に向かってるんでしょうかね?」


「だろうな。補給もあるだろうし、ボブラ村は奴隷商でも受け入れるからよ」


 集落には絶対無敵──ではなく、純情可憐なお姉さまがいる。重犯罪者だろうが一睨み──笑顔一つで黙らすさ。


「ボブラ村の方々は本当に寛容ですよね」


「広場でいろんな種族と交流してるし、奴隷商はこう言う村を大切にしたいから金を落としてくれんだよ」


 小さな村は忌避して追い出されるし、デカい村でもあまり歓迎されない。奴隷商も国から許可を得ての商売だから強気にも出れらない。国に必要な商売とは言え、目指したい職業ではない。


 奴隷商の馬車隊は、集落の広場へと停めた。


 七台の馬車で広場を塞がれたので、冒険者ギルド(支部)の裏へと移動した。


 無限鞄から傘を出し、ドレミ馬車から降りた。


 ミタさん、傘は? と尋ねる必要もなく、たぶん、カイナーズホームで買っただろう傘を差していた。


「マスター。馬車は隠しておきます」


 どこによ? と問うのもバカらしいので、軽く流しておく。ドレミもいろはもオレの認識できないところにいるし。


「そう言や、ミタさんって集落に来たことあんのか?」


 今さらな質問で申し訳ございません。


「はい。前に奥様のお使いでネラフィラ様に会いに来たことがあります」


「そんときなんか言われたかい?」


「いえ。特には。自然に受け止められました」


 ま、まあ、親父殿や他種族はよく来るし、姉御なら……いや、深くは語るまい。オレは安らかに過ごしたいんでな。


 表へと回り、冒険者ギルド(支部)へとお邪魔した。チース、姉御。


「なんだお前、村を出たんじゃなかったのかよ?」


 なんか知らないおっちゃんがいた。誰?


「ここのマスターだよ! なにマジで忘れてやがる!」


 あ、あーおっちゃんか。完全無敵に頭から転げ落ちてたわ。メンゴメンゴ。


「久しぶり~。元気してた~?」


 なんて軽く挨拶したらインク瓶を投げられた。ん? なんか懐かしさを感じるな。まあ、同じことがあったか思い出せないけどね。


 インク瓶をキャッチしてカウンターへと置く。


「ところで姉御は?」


「クソが! 休みだよ!」


 なんだ、休みか。なら、冒険者ギルド(支部)には用はねー。お邪魔しました~。


 おっちゃんにオレを示してもしょうがねー。村の有力者じゃねーと意味ないんだよ。


「雑貨屋にいくか」


 なんか記憶にねーくらい来てない。まずはここから示していくとしよう。


 おばちゃ~ん。会いに来たよ~。


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