952 ケッケッケッ
歳の頃は、二十後半くらい。尖った耳からしてエルフだろうが、白い肌と白い髪からして賢者殿(変身前)と同じ。ってことは、ハイエルフなのか?
まあ、ハイ・エルフの生態(?)なんて知らんから、本当に同種族かは謎だが、ただのエルフでないのはわかる。
……なんで千年女王みたいな格好してんだろう……?
「つーか、誰よ、こいつ?」
「いや、ベー様が理不尽に殴ったリッチですよね」
と、突然現れるのが大好きなレイコさん。ハイ、決めつけですがなにか?
「リッチ? オレが殴った?」
まったく記憶にございませんなんだが……。
「いくらなんでも哀れ過ぎますよ。リッチだって頑張って存在してるんですからね!」
いや、そんな理不尽を言われても知らんがな。ってか、害悪な存在にそんな頑張りいらねーよ。
「ん? なんでこいつ、オレの結界を纏ってんだ?」
こいつの存在に気を取られて気がつかなかったが、輪廻転生結界だな、これ。なんで薄くなって……あ、思い出した! あの骸骨野郎……ではなく、骸骨女か。
「ん? でも、なんで肉ついてんだ?」
輪廻転生結界とは言っても本当に輪廻転生するわけじゃない。記憶を操作し、自分のイイように夢を見させる結界だ。受肉する仕様になってねーぞ。
「レイコさん、説明プリーズです!」
霊のスペシャリスト、わかるようにお願いします。
「わたしにもわかりませんよ。辛うじてリッチ……の分類には入ってはいますが、肉のついたリッチなんて初めて見ましたし。逆にわたしが問いたいくらいです! これ、明らかにベー様が原因ですよね!」
……オ、オレのせいなの……?
違うとは言えないのが辛い。オレの結界、なんか神の力っぽいみたいだし……。
「ま、まあ、なってしまったものはしょうがねー」
「で、どうするんです?」
どうしましょう? レイコさん、助けてー!
と、すがりつくこともできない。幽霊、役に立たねー!
「……エリナ様に預かってもらったらどうです? 同じリッチですし……」
おー! ナイスアイディ~ア! そうしましょうったらそうしましょう! エリナ、カモ~ン!
「──呼ばれて飛び出てジャジャジャーン!」
……こいつ、平成産まれのクセに、やたら昭和ネタに詳しいよな……。
「んじゃ、任せた」
「──えっ、まさかのスルー!?」
いちいち付き合ってられるか、アホが!
完全無欠に超絶無視を決め込み、転移結界扉を邪魔にならない場所に設置した。
これで五つ目の設置。まず失敗はないと思うので確認はあとでイイだろう。
城を出て転移バッチを発動。今度こそバイブラストへと向かった。
「──どこいってたのよ!」
いつもの部屋に出現するなりプリッつあんからのドロップキック。羽妖精族、戦闘種族説マジ濃厚。
ふべらし! と吹き飛ばされながら頭の中に浮かんだ。
「なにすんじゃ、アホー!」
「自由過ぎんじゃ、ボケー!」
と和気藹々するのもメンドクセーので、サラリと終わらせた。
「腹減った。夕食にしね?」
「……本当に自由な村人だよな、お前は……」
ん? 公爵どの。もう復活したのかい。タフな野郎だよ。
「第三夫人は?」
「まだ寝込んでいるよ」
「さっきやったエルクセプルを飲ませてやれよ。気付け薬としても有効だぜ」
下手な酒より効くぜ。カバ子も一発で目覚めたもんだ。そのあと、蹄で吹き飛ばされたけど。
「できるかアホ! あれ一つで戦争すら起きたものだぞ!」
「足りなきゃやるぞ? 作り方は完璧に覚えたからな」
もうカンペを見なくても配分や手順は覚えた。それらに必要な道具も揃えた。材料があればすぐにでも作れるぜ。
「……お前の生き様が羨ましいよ……」
天を仰ぐ公爵どの。まだ復活してねーようだな。
「ったく、らしくねー。いつものようにドンと構えろや」
このくらいで参ってんじゃねーよ。こんなの飢饉や疫病に比べたら笑い事だわ。
「あんたの目の前にいるは誰だ?」
真っ直ぐ公爵どのを見る。
「……世界最強のバカ野郎で、おれのダチだ……」
その満足行く答えにニヤリと笑って見せた。
「万事、オレに任せな」
オレが得するようにするからよ。ケッケッケッ。
2018年 明けましておめでとうございます。今年もよろしくです!




