928 同族嫌悪
まあ、なんですか、ばーさんタヌキと会話らしい会話もなく、オレはえびみりん焼きをパリポリパリ。ラムネをゴクゴク。かー旨めー!
「げぷっ。昼前に食いすぎた」
まだ腹七分だが、昼食は食いたいとは思わねーくらいには腹が満ちている。昼はイイや。
口の中からまだラムネが消えてないので、コーヒーはちょっとお預け。なんか冷たいもの食いてーな。
「ばーさん。アイスある?」
「店先にあるよ。どれでも八メダルね」
アイスはちょっと高いんだと思いながら、店の外を出ると、懐かしい冷凍ケースが置いてあった。
「ガ○ガ○くんか。懐かしいな」
でも、オレはオレはパ○コ派。チョココーヒが安定の定番だ。
「あ、わたしも食べる」
忽然と現れた(オレの中ではね)プリッつあんが、冷凍ケースの中に飛び込んだ。
そのまま冷凍メルヘンにしちゃろかとは思ったが、あとが怖いから止めておこう。仕返しされそうだし。
なぜかカップアイスを三個担いで冷凍ケースから出るプリッつあん。どうすんのよ? と見てたらカバ子とルンタのもとへ。もうギャンブル依存性になってそうな二人をカップアイスで引き剥がした。
……なんであれで引き剥がせるんだ……?
世の理不尽に怒りが湧いて来るが、まあ、四天王の纏め役。精神的支えなんだから可能なんだろうと勝手に納得しておく。うん。
「おら、お前ら。帰るぞ~」
カップアイスに満足したようで、ズコーに再戦することもない。お前らの勝負魂、やっすいな。
「ばーさん、また来るわ」
「またお出で」
なんか素直なばーさんタヌキに別れを言ってフードコートへと移動した。
「コンシェルジュさん。ここに集合って伝えてくれや」
イイ感じに溶けた(半溶けがオレの好みなんです)パ○コをチュウチュウ。あーパピ○うめ~。
「ベー様。お待たせしました」
食い終わる頃、ミタさんたちがやって来た。あい、お帰んなさい。
「昼食はどうする? 食うならフードコートで済ませちゃいな」
「先程軽く済ませたので大丈夫です」
ん? フードコート以外にも食うところはあるのか? まあ、あるか。カイナーズホームだし(勝手な決めつけ)。
「んじゃ、いくか」
席から立ち上がり、パピ○の容器をゴミ箱に――と思ったら、ミタさんに腕をガシッとつかまれた。な、なによ!?
「なんですか、それは?」
万引きを現行犯逮捕したかのようなミタさん。ちょっと怖いんですけど。
「いや、アイスだが?」
カイナーズに何度も通ってるミタさんならわかるだろうが。まあ、アイス売り場があるかどうかは知らんけどよ。
「あたし、初めて見ます」
本気と書いてマジと読むような目を向けて来る万能メイド。超と書いてスーパーと読むくらい怖いって!
「コンシェルジュさん、ミタさんにアイスをお願い!」
この際、何千億って使ってイイからさ!
「申し訳ありません。ミタレッティー様の要望には答えられません」
「はぁ? なんでよ? アイスくらいあるだろうが!」
「もちろん、数千種取り揃えております。が、ベー様がお食べになられたものはココノ様のところでしか扱ってないのです」
「え? これが?」
昔すぎて忘れたが、パピ○ってこんな袋に入って……とよくよく見たら製造やなんやら書いてある表示がない。なんだこれ!?
「ココノ屋の商品はすべてココノ様が作ったものなんです」
あ、創造具現化とか言ってたな。でも、なんか違和感を感じる。天の邪鬼がそう正直に自分の能力を教えるか? 真実のようで正しくはないことを言うのが天の邪鬼だろう。
「だったら買って来たらイイじゃんかよ」
好きなだけ大人買いしてこいや。安いんだからよ。
「それが、ココノ様は気に入った方しか自分の領域に入れないのです。気分が乗らないとカイナ様ですら閉め出ししますから……」
アレを閉め出すとか、スゲーな。どんだけなばーさんなんだよ!?
「ココノ様は表には出ませんが、カイナ様の相談役的立場で、裏からカイナーズを支えているお方なのです」
あのばーさんに支えられんのかい? とは思ったが、あれは裏で暗躍するタイプだ。天の邪鬼も一種のフェイクだろう。多分、目的のためなら最良の手段を選ぶタイプとオレは見た。
手段は選ばないや問わないとか、なんか凄いように聞こえるが、本当に凄い(厄介な)ヤツはちゃんと手段を選ぶし、まっとうな答えを求めるものなのだ。
でなきゃ裏から支えるなんてできないし、表に出ているヤツより目立ってしまうからな。
「オレ、よく入れたな」
裏方は裏方を嫌う──とまでは言わないが、オレの感覚ではあまり付き合いたくはない相手だ。
「同族嫌悪ね」
あらヤダ。メルヘンさんが難しいこと言ってますわよ。ってか、心の声に突っ込まないで!
「失礼ながら、同意します。あんな素直なココノ様は初めて見ました」
「ベーだしね」
「そう、ですね」
メルヘンの答えに納得するコンシェルジュさん。なんでだよ!
「そんなことよりベー様! ココノ屋にいきましょう! あたし、何度行っても入れなかったんです! いきたいんです!」
なんか、甘いものが関わると自己主張が強くなるよね、あなた……。
「気が向いたらな」
そう行きたいところではないし、しばらく行かなくてもイイくらい買い込んだ。なにより、楽しくやっているばーさんタヌキに迷惑だろう。たまにいくのがああ言うタイプと長く付き合えるコツさ。
「……そんな……」
崩れ落ちる万能メイド。どんだけショックなんだよ。
「なら、館に売店でも作れや。いくらか分けてやるからよ」
店をやるのかってくらい買い込んだ。半分渡したって一月は行かなくても大丈夫だ。
「はい! すぐに作りますからすぐに分けてくださいね!」
サプルの許可が下りるかはわからんが、まあ、ガンバれ、だ。
駄菓子やアイスをいくつか渡して落ち着かせ、領都へと転移した。




