789 友好
と、思ったけど、さすがにこの人数では捌けねーか。
「ミタさん。うちに戻って援軍を連れて来てくれ。あと、塩とか香辛料類も持って来てくれ。アダガさんから買ったのがあんだろう」
オレは携わってねーが、買い取ったのは耳にした。魔大陸のものならここの竜人さんたちも受け入れてくれんだろうよ。
「畏まりました。では、キュシュンジャーと交流があったものを中心に集めますね」
そこら辺はミタさんに一任。好きなようにお願いします。
「レイコさんは、キュなんとかと会話はできんのかい?」
ご近所さんなんだしよ。
「ん~どうでしょう? 近くに住んでいるので言葉はわかりますが、交流したことないので。それに、わたし幽霊ですから受け入れられないのでは?」
まあ、確かにそうか。幽霊なんて、そう見るもんじゃねーしな。いや、オレ、レイコさん以外に三回くらい見てるけどさ……。
「なら、オレがやるよ。自動翻訳の首輪をしたら大丈夫だろうしな」
ダメならダメで、キュなんとかと交流があるヤツらに任せればイイんだしよ。
自動翻訳の首輪をして外に出る。代表さんはどちらさんで?
竜人の顔を判別できる能力はオレにはないが、人(?)が集まれば序列が生まれ、上のヤツほど着飾るものが立派になるものだ。
竜人の中で着飾った、と言うか、武装が立派なヤツはアレとコレとソレ。体格をプラスするとソレが代表さんっぽいな。
「オレはベー。言葉は通じているかい?」
ソレに向けて言ってみる。
「ああ、通じている。わしは、ザンドラと申す。ハレイバル軍団長を任されておる」
なにやら渋いお声の持ち主で。声の感じからして四、五十歳かな?
「それはよかった。ミタさん、先ほどのダークエルフから説明されたが、物物交換を望みとか?」
「ああ。魔石と食料を交換して欲しい」
「それは構わんが、力で奪ったりしねーのかい? ここではそれが常識と聞いたんだが?」
まあ、先生からのザッパな説明だがよ。
「ここにいる者と事を構えるなど滅ぼしてくれと言っているものだ。そなた、ベーは、あの者と関わりがあるのであろう?」
想像以上に理知的なヤツらだな。
「ああ。ここに住んでいた者の弟子だ」
そう言うと、ザンドラさんや周りがざわついた。それだけで先生の悪行がわかるってもんだ。
「勝手に入ったことは謝罪する。我らは戦いを望まぬ」
ザンドラさんが片膝を地面につけ、頭を下げた。
それがどう言ったものかは知らんが、まあ、誠意は伝わった。
「こちらも戦いは望まない。ここはもう誰の縄張りでもない。そちらで好きにしてイイ。オレらは物物交換が済んだら速やかに立ち去るからよ」
理知的なヤツらかも知れんが、先生の関係者がいたら安心できねーだろう。ギスギスした関係でいんのもお互いにワリーしな。
「まあ、物物交換は了承した。が、こちらは人数が足りん。今、人手を集めているのでもうしばらく待ってくれ」
「人手を集める?」
首を傾げるザンドラさん。竜人でもそんなことすんだな。
「こちらには転移術師が何人かいるんでな、別の大陸から集めているんだよ」
別に隠すほどではないが、だからと言ってバカ正直に伝える義理はない。ちょこっと濁しておけばイイさ。立場的に有利にもなるしな。
「……て、転移術師か。さすがあの者の弟子だ……」
まあ、好きなように解釈してください。なるべく平和的にいきたいからよ。
「ところで、ここら辺では水は足りているのかい?」
先生は地下から汲み上げていたが。
「いや、水も足りてはいない。ここから出る水を利用していたが、少し前から水がでなくなったのだ」
そりゃ死活問題だな。ってか、本当に天災みたいな存在だよな、先生って。
「多分、地下に続く通路なり階段があるはずだ、探してみるとイイぜ」
適当に穴を掘ればいき着くんじゃね?
「そんなことしてよいのか?」
「構わんよ。先生は新天地を見つけたしな。もう戻ってくることはないさ」
あそこなら血に不自由しないし、邪魔もされんだろうからな。まあ、無茶苦茶したら止めるけどよ。
「なんなら、ここに街でも造ったらイイんじゃね? あんたらとは仲良くできそうだし、こちらとしても魔石は欲しい。定期的に物物交換してくれると助かるんだが」
アリザから魔石を得られるようになったが、ヤオヨロズ国に満たすほどではねー。帝国で魔石をとは思ったが、食糧のことを考えると、交渉に不利になるものは極力なくしたい。対等か、それ以上の商売がしたいからな。
「それは助かる。ぜひ、定期的に物物交換をしてくれ」
ハイ、魔大陸での拠点と友好的種族をいただきました~。




