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村人転生~最強のスローライフ  作者: タカハシあん
十歳スタート

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76 依頼

 報告のために村(集落)へといくと、村長宅の前は人でごった返していた。


 とは言っても五百人ほどしかいない村である。仕事をほっぽり出してこれるのはそれぞれの部落の代表格や女衆おばちゃんら、集落のヤツら、まあ、四十人くらいだが集まっていた。


「あ、兄貴だ!」


 向かってくるオレらに真っ先に気がついたシバダが大声を上げると、村のもんが一斉にこちらを見た。


 

「ベー! 無事だったか」


 村長が進み出てきた。


「ああ、この通り無事だよ」


 笑顔を見せ安心させてやる。


「オーガが出たとザバルが言っとたが、本当なのか?」


「まあ、普通のオーガじゃなかったがな」


「普通じゃない? どう言うことだ?」


「そう慌てんなって。冒険者ギルドで話そうや」


 別に冒険者ギルドが危機管理センターってわけじゃねぇが、国をまたぐ組織だけあって情報力や情報量はハンパない。


 ましてや冒険者ギルド国家から外れた組織とは言え、それは国あってこそ。国が滅びたら冒険者ギルドも潰れるのだ、もはや一蓮托生。大暴走や魔物襲来には出動しなくてはならない決まりがある。国からも資金は出てるしな。言わば国の下部機関のようなもんだな。


 まあ、使い捨てとも言うがな。


 主要なもんが冒険者ギルド(支部)の中に集まる。


 村長、おっちゃん、姉御、オレ、ねーちゃんたち、ジバルのおっちゃん──で一杯になったので、集会場へと場所を移した。


 各自、それぞれの場所へと座り、集落の女衆おばちゃんらが村でよく飲まれているモギ茶を出してくれた。


 オレ、これキライなんだよな。渋いだけで旨みがないんだもん。あーコーヒー飲みてーなー。


「それで、どうなったんだ、ベー?」


「珍妙なオーガは捕まえて伐り場に檻作って閉じ込めてある。逃げられねーとは思うが、そいつの仲間が取り返しにくるかも知れんから見張り番を組織した方が良いかもな」


「な、仲間って、オーガの群れがおるのか?!」


 村長の叫びに村のもんがざわめく。


「なあ、おっちゃん。赤い肌したオーガっていんのか? 魔物図鑑には載ってなかったが」


 オーガにもいろいろあるが、基本、緑の肌だ。黒い肌のがいるらしいが、目撃例が少なくて定かではないらしい。


「赤だと? そんなオーガ聞いたことねぇぞ」


「ねーちゃんらは?」


「わたしたちも聞いたことがないわ」


「やっぱ、特殊なヤツなんだな……」


 まあ、美丈夫でしゃべるとか、もう特殊じゃなけりゃあなんだって話だがな。


「……なんか、いんな、この近くに……」


 いや、いるのはイケメンなゴブリンを見たときからは感じていた。ただ、危険と言うか、問題が変わってきた感じだ。あーなんかメンドクセーこと起きそうだな。


 深く思考していたわけじゃねぇが、テーブルを見詰めていた視線を上に向けると、皆の目がオレに集中していた。


 ちっ。いかんな。ド田舎ド田舎と言いながら自分(前世)の規準で見てたよ。ここじゃ村全滅なんて珍しくもねー出来事。だからこそ、人の心は折れやすい。パニックになって自暴自棄になりやすいのだ。


 オトンが死んだときも騒ぐだけ騒いで、オトン一人に押しつけやがった。


 ちょうどそんときは、トータが産まれる寸前だったからオークが出たことに気が付いていても群れによる襲撃だとはわからなかった。


 オトンもオレたちに心配かけまいと、いつものようにして、オレたちに気づかせることはしなかったのだ。


 オトンらしいと言えばオトンらしいが、せめてオレには言って欲しかっ──いや、言ったら突っ込んで行きそうだったから言わなかったんだな。


 当時は子供っぽく──してなかったし、なにも言わないことをイイことに魔法魔術をオトンやオカン前で使ってた(弱いやつね)からな。実際、言われてたら突っ込んでて殺戮してたな、オレの性格(今世の性格、ちょっと攻撃的)では。


「村長は、どう判断する?」


 議長ではねーが、非常事態に弱いド田舎もん。誰かが仕切らなきゃ先に進まねーんだよ。


「ど、どうと言われても、どうしたらイイんじゃ?」


 十歳のガキに聞くなよ、とは今さらだ。もう、村長の相談役みたいな立場になってんだからな。本当に今更ですが、自分の行動に反省です。


「ねーちゃんらに調査してもらって、なにが起きてるのかを調べてもらうべきだな」


 異常事態なのは確かだが、なんの異常だかわかんねー状態では対処のしようもねーよ。


「だ、だが……」


「だがもしかしもねーよ。ゴブリンならともかくオーガが出てんだぞ。バンたちじゃどーにもなんねーよ。ねーちゃんらみたいな場数を踏んだ冒険者じゃなけりゃあ、なんもわかんねーぞ」


 まあ、村長としての立場もわかんねーわけじゃねぇが、金で命が買えんならケチんなってーの。


「……わ、わかった。依頼を出そう。しかし、この人らが受けてくれるのか? 相手はオーガなんだろう?」


「オレじゃなくねーちゃんらに聞けよ。オレが依頼出すんじゃねーだからよ」


 ねーちゃんを見ながら言う。


 そんなオレの態度にため息をついてる。まあ、短い付き合いだが、オレのしてることを理解してくれたのだろう。『バカじゃね、こいつ』みたいなため息だったらさすがに泣くがな。


「あんたら、受けてくれるかい?」


「そうですね。ベーくんにはお世話になってますし、これもなにかの縁。受けましょう。ですが、ちゃんとギルドに依頼を出して報酬を払って下さいね。わたしたちも稼がなければ食べていけませんので」


 まあ、慈善事業じゃねーんだ、タダではできんさ。


「ねーちゃんらが調査終わるまでは見張り番を立てて、しばらくは待つしかねーな。薪は各自の家にあるやつを出せば五日くらいはもつだろう。足りなきゃ置き場に木を十本くらい置いてきた。何人かで行けばすぐ持ってこれるようにしといたから大丈夫だろうさ」


 天災はいつ起こるかわかんねーからな、どこの家でも貯蓄はしている。うちも一年は伐らなくてもイイ量が保存庫にある。いざとなったら出せばイイさ。


 決まることが決まればオレに出番はねぇ。さっさと帰りますか。鉄〇28号に夢中になって昼飯食ってねーからな。


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