74 ゴー!
前世でも同じくこの世界にも奴隷はいる。
別に奴隷制度を否定する気はねー。この世界(周辺国)の奴隷は、ほとんどが犯罪者であり、罰として奴隷にさせられてるのだからな。
まあ、そうは言っても世の常。裏もあれば闇もある。正しいことがまかり通るなんてあり得ねー。人さらいもいれば人買いもいる。税を払えず娘を売る親どころか口減らしのために子供を売る村までありやがる。しかも、お上は見て見ぬふり。袖の下をもらってブクブク肥ってやがる。
まあ、それも世の常だ。言いてえことはあるが、しがない村人にはどーしようもねー。近くにきたらぶん殴ってやればイイし、いなけりゃ放置するしかねぇ。
そんな主義主張のオレのテリトリーに入ってきたバカな自分を呪え、美丈夫なオーガさんよ!
「封印!」
なんて言葉にする必要はねぇんだが、ノリは大切だ。雰囲気を出してこそ場は盛り上がるのだ。
結界により身動きを封じられ、戸惑いの目をオレに見せていた。
「どうした、美丈夫なオーガさんよ。棒立ちするなんて殴ってくれって言ってるようなもんだぞ?」
鉈を抜き、峰の方で頭……は届かないので腹をグリグリしてやった。
「……ぎ、ぎざば……!」
「お、さすが珍妙なオーガだ。その程度で効かないか」
通常のオーガなら瞼一つ動かせねーんだがな。まったく、どんな進化してんだか。
「この世には隷属の首輪なるものがあるの知っているか?」
美丈夫なオーガさんに尋ねるが、憎しみの籠った目しか返してくれなかった。ノリワリーな。
「まあ、簡単に説明すると、だ。言うことを聞かせる魔道具だ。つっても、仕組みはわかんねーから構造までは説明してやれんが、エグいもんだと理解してくれたらこちらは助かるよ」
実際、アレはエグい。反抗したら首輪が締まって首ちょんぱ。言うことを聞かないと炎が出て首があっちっち。無理に外そうとしたら首がボン。作ったヤツ、アホだろう。技術の無駄遣いにもほどがあるよ。前世、魔術がなくても鎖と鞭でやってたぞ。
まあなんだ。いろいろ事情とか都合とかあるんだろうから口にはしねーし、ファンタジーに突っ込んでもしかたがねー。不承不承ではあるが、受け流す。
「で、だ。これから君に隷属の首輪ならぬ従属の結界を施す。なぁに、大丈夫。痛くはないさ。ただちょっと不快になるだけ。いや、かなりかな? まあ、飽きたら解いてやるから従属ライフを楽しめや」
楽しめねーよの突っ込みは聞こえません。血のションベン流れるよりはマシでしょう? オレもオーガの糞尿見て楽しむ気はねーよ。18禁? 残酷な描写? ああ、知ってる知ってる。あの、甘くて苦いやつな。こないだ食ったよ。で、それがなにか?
「──さてと。やっぱ、コントローラはいるよな」
いや、いらないんだが、そこはあれ。形が大事的なもので、外しちゃダメなお約束なんだよ。え、意味わからんって? 考えるな、感じろだヨ。
土魔法で小箱大のコントローラを作り出した。
「よし鉄人、歩け!」
コントローラの右スティックを前に倒す(雰囲気ね)と、オーじゃなくて鉄人が歩き出した。
「……………」
……いやうん、わかってたよ。わかってはいたんだが、なんかこう、想像していたものとちなう。もっと、ワクワク感爆発ぅ~ってな、もんに心ときめきたかったんだが、なぜか敗北感しか沸いてこねーよ……。
「……あ、そうか! 見た目がオーガだからおもしろくねーんだよ!」
そーだ、そうだよ。やっぱ、見た目は大事だよな。こう、ロボらしいロボでないとな、うん!
鉄人にするのもいろいろ不味いし、スーパーロボ的なもんは動き辛いし……やっぱ、鎧的なもんでいっか。
前に作った全身鎧をちょっとアニメ的なもんにしてオーガくんに纏わせた。
「お、我ながらカッコイイじゃん」
ちょっとポーズを取らせ、動きを確かめる。
うんうん。イイじゃんイイじゃん。ワクワク感が爆発しそうだよ!
「さあ、我が鉄〇28号よ。ゴー!」




