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村人転生~最強のスローライフ  作者: タカハシあん
十歳スタート

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563/1852

563 バッチ

 ゆっくりゆったり爽やか睡眠。嬉し楽しい朝が来た。


「ん~~ん! イイ朝だ!」


 ベッドの上で縮こまった上半身を大きく伸ばした。


「おはようごさいます、マスター」


 バンベルから分裂しただけあってドレミも睡眠不要。だが、変身(設定?)を大事にするのか、まるきり猫のように体を伸ばした。


「おはよ~」


 我が部屋に備えつけられているキャッスルからプリッつあんが現れ、ふらふらと飛んで来てオレの頭にパ〇ルダーオン。なんかこれ、結構ムカつくものがあるな……。


 なんか操られている気分に陥るが、今日も元気に忙しい。メルヘンなどに構ってらんねーよ。


 ぱっぱと着替えて外へ出る。


 雲一つない初夏の空。まったくもって素晴らしい朝である。


 親父どのはもう起きて、家畜小屋に入ってるのか、小屋から家畜がぞろぞろと出て来た。


「おはよーさん、親父殿」


 家畜小屋を覗き、挨拶する。


「おう、おはよさん」


 手伝いする必要もねーので庭に戻り殺戮阿を抜いて素振りをする。


「兄、おはよう」


「あんちゃんおはよ~」


 気持ちよく素振りをしてたら妹たちが外に出て来た。


「おう。おはよーさん。リアム、よく寝れたか?」


「寝れた。チョー爽快」


 いつの間にそんな言葉を覚えたのやら。この子の未来が……そんなに心配でもねーか。好きに生きろだ。


「オレはちょっと出かけて来るが、リアムはどうする? 一緒に来るか?」


 いようがいまいがオレは気にしない。いると、諸君らが知っててくればイイんだからな。ハイ、オレの人生他人任せが多いです。


「ノノと遊ぶ」


 ノノ? 誰ですのん?


「ドワーフさんとこの女の子だよ。ノノと仲良くなるなんてリアムはスゴいよね。あたしがどんなにガンバっても仲良くできなかったのにさ」


 そ、それはまた、スゲーな、リアム。サプルにかかれば狂竜ですら大人しく……あ、あれは倒しちゃいましたね。なんでもねーっす。


「そ、そうか。まあ、楽しく遊んでろ」


「うん」


 リアムの笑顔にこちらも笑顔で応える。


「あ、皆おはよ~」


 忽然と現れるカイナ。こいつも反則な能力もってるから神出鬼没なんだよな。


「おはよーさん。どうしたい、こんな早く」


 昨日の夕食にはいなかったが。


「アバールさんに呼ばれたんだよ。転職さんたちが集まる前に話をしたいって」 


「ふーん。ご苦労様だな。あ、チャンターさんはどーしたい?」


「昨日のうちに連れて来たよ。港のホテルに泊めたから朝食とったら来るんじゃないかな」


「チャンターさんって、どこにいたんだ?」


 そー言や、どこでチャンターさんを見失ったっけ?


「北欧に向かってるよ。石炭が欲しいとか言って」


「石炭を? なんでまた?」


「チャンターさんの国も鍛冶が盛んで、木を伐りすぎて木炭が高騰してるんだってさ」


 なるほど。さすがチャンターさん。抜け目ねーな。


「商売圏が拡大してなによりだ。さて、転職さんらを迎えに行って来るわ」


「あんちゃん、朝食は?」


「あっちで食うよ。いろいろあるんでよ。カイナ。昼前には連れて来るってあんちゃんに伝えてくれや」


「わかった。ベーの宿屋でやるんでしょう?」


「ああ。庭でやるから用意も頼むわ。一応、嫁さんには話を通してたが、間に合わんときは……なんとかなんだろう。なるようになるだ」


 昼食を頼んだんだが、まだ道具搬入があるらしく、間に合わんかもと言ってたのだ。


 まあ、サプルが出たら超余裕なんだが、それでは嫁さんらのためにならんと、手を出すなと言ってあるのだよ。


「間に合わないときは竜巌城を出すよ。クレインの町に置こうとしてたもんだから百人でも余裕さ」


 なにそのお城シリーズは? 魔族の間では変形させねーとダメな決まりでもあんのかよ。


「ま、そんときは頼むよ」


 ポケットからシュンパネを出したらカイナに取り上げられてしまった。なんだい、いったい?


「これをあげる」


 と、なにやら鳥の形をしたバッチ? を出した。なにこれ?


「転移の魔道具さ。それなら今まで行ったところに一瞬で転移できるよ。しかも、使用者が認めた者なら何人でも転移可。まあ、魔力次第だけどね。あ、これもあげるよ」


 今度は竜の形をしたバッチを出した。


「これは、魔力バッチ。おれの魔力が込めてあるけど、減ったら言って。満タンにするから。あ、ベーの魔力や魔石からも補充できるようにしてあるから緊急のときはそうして。ふふ。ベーも今日から魔力無双だよ」


 また自重せぬものを出しやがって。なんだよ、魔力無双って? オレには平和を愛する村人だぞ。


 とは言え、魔力はないよりあった方がイイ。ありがたくもらっておくよ。サンキューな。


「ほんじゃ、サクッと行ってサクッと帰って来るわ」


 明日は婦人を迎えに行く日だ。その準備もせねばならん。やることいっぱい。スローライフはちょっとお休みだ。


「って、これどーやって使うんだ?」


 空にでも放り投げんのか?


「そのバッチに触れながら発動と念じ、行きたい場所をイメージして、転移と念じればいいよ。ただ、大人数だと連続ジャンプはできないから注意してね。五、六人くらいだったら大丈夫だけど」


 まあ、いろいろ試してみるよ。んじゃ、転移! 

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