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村人転生~最強のスローライフ  作者: タカハシあん
十歳スタート

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552/1859

552 予言

 まず、いろいろ明言を避けなければならない羽根を使って博士(ドクター)のところに飛び、飛行システム的なモノをつけただけの飛空船の依頼をし、次は花月館へと飛んだ。


 久しぶり、でもねーが、やっぱ人が住むと家が生きてるって感じになるな……。


「あら、ベーじゃない。来てたの」


 村を出てそんなに日は経ってねーのに、すっかり街の娘になってしまったサリバリが現れた。


「おう。今着いた。買い物か?」


 オシャレな篭を持ち、買い物してきただろう野菜やパンが見えた。近所に商店街なんてあったんだ。


「ええ。トアラが外食を許してくれないのよ」


 まあ、サリバリと違ってトアラは質実剛健。シメるところはシメる女である。


「あたしは、お隣で食べたいのに」


「トアラの料理、旨いじゃねーか。つーか、隣、そんなに旨かったか?」


 不味くはねーが、サプルの味を知ってる者なら通いたいとは思わねーだろう。あの味ならトアラの方が勝ってるぞ。


「あたしは、オシャレなところで食べたいの!」


 まったく、オシャレ優先とか、相変わらずブレねーヤツだ。


「そうかい。まあ、そうしたいのならそうすればイイさ。別に強制されてここに来てんじゃねーんだからよ」


 もう働いている身だ、自分の金で好きなことをしろだ。


「そうしたいけど、一人じゃ入り辛いもん……」


 しょせん、寂しん坊で田舎娘。まだまだ王都はハードルが高いか。


「なら、今日の夕食はオレが奢ってやるよ。コーリンたちに頼みたいこともあるしな。コーリンたちは中か?」


「うん。新作を作ってるわ」


「んじゃ、一段落したら隣にこいって伝えてくれ。オレは先に行ってるからよ」


「わかった! 急いで連れて来るわ!」


 と、花月館に突入して行くサリバリ。ほんと、ブレねーヤツだよ。


 肩を竦め、グレン婆の心地よい一時へと入った。


「いらっしゃいませ~。って、ベーじゃない。よく来たわね。どうぞ」


 この人外さん、なにやってんだろうと頭を過ったが、人外それぞれ。他人の人生に口出すな、だ。


 夕方間近なのに、客足は上々のようで、空いているカウンター席に通された。


「繁盛してんだな」


 オシャレだとは思うが、ここはなにを売りにしてんだ?


「ふふ。ここは、郷愁を売りにしてるからね」


 郷愁? なんかよーわからんが、グレン婆の店に不思議なし。いや、不思議ばかりか? まあ、突っ込みはノーサンキューってことだ。


「グレン婆は?」


「珍しく外出してるわ。まあ、どこに行ってるかわからないけどね」


「……そうかい。それは残念だ……」


 まあ、そんな日もあるか。あれは、風来坊なところがあったからな。


「なら、居候さんにやるよ」


 収納鞄から焼き芋を取り出し、居候さんに渡した。


「芋? あ、でも甘い香りがする」


「ちょっとした伝で手に入れた甘い芋さ。多分、好き――」


「――美味しいっ!」


 あ、うん。まあ、それはなにより。ところで、コーヒーいただけません? あ、今は無理ですか。ハイ、セルフですね。あーコーヒーうめーです。


 ちなみに、プリッつあんもセルフで紅茶を飲んでます。猫型ドレミはオレの膝の上で丸くなってます。


 オレ、なんの店に来たんだと、自問自答しながらコーヒーを飲んでいると、コーリンたちがやって来た。


「ベー様、お待たせしました」


 なにやら覇気はあるが、顔色はよくなかった。大丈夫なん?


「ワリーな、忙しいのに呼び出してよ」


「いいえ。休憩しようと思ってましたのでお気になさらず」


 まあ、サリバリが急かしたんだろうが、こーゆータイプは強制休憩させないとしないタイプだからな、サリバリよくやっただ。


「居候さん。なんか適当に頼むわ」


「はい。少々お待ちください」


 両手に焼き芋を持って厨房へと下がり、直ぐに料理を運んで来た。はえーな!?


「グレンが出かける前に作って行ったからね」


 ……画期的なのか、やる気がねーのかわからんな、この店……。


「なんでもイイよ。夕食にしようぜ」


 素朴なパンとオシャレに盛りつけられたなんかのステーキになんかのドレッシングがかかったサラダ。これがオシャレなんか?


 ま、美意識なんて人それぞれ。オシャレと思うヤツにはオシャレに見えんだろう。どーでもイイわ。


 軽いおしゃべりをしながらの夕食が終わり、場所を花月館の居間へと移した。


「ドレミ。お茶頼むわ」


「畏まりました」


 猫型からメイド型に変身し、厨房へと消えて行った。


 そんなドレミから居間全体へと目を向けた。


 なんつーか、なんとも華やかになってんな。まあ、これだけオシャレガールが揃ってんだから不思議じゃねーが、調える時間なんてよくあったな。仕事、忙しいんじゃねーの?


「さすがに人手が足りないので通いの針子を雇いました」


 そんな質問したらそんな答えが返ってきた。


「針子って、そう簡単に雇えるものなのか?」


 よく知らんが、どっかに属してるもんじゃねーのか?


「いいえ、仕立て屋ごとの兼ね合いがありますから直ぐにとはいきませんし、誰でもともいきません。今回は裏技で針子見習いの子を集めました」


「裏技とか、よく知ってたな」


 それがどんな裏技かは知らんが、伯爵令嬢が知ってるとか、それってどーなのよ。


「小さい頃から針子部屋に忍び込んでましたから」


 まさに筋金入りってか。スゲー執念だよ。


「それで、今日はどうかしましたか?」


「あ、ああ、そうだったな。オレもゆっくりしてられねぇんだったわ。単刀直入に言うと、社交界に出れる服を何着か作ってくれや。あと、サプルのも」


「はぁ? 社交界? なんなのよそれ?」


 真っ先にサリバリが食いついてきた。


「今度、帝国に行くんでな、その下準備さ。あ、サイズはトアラが知ってるからよ。トアラ、頼むな」


「……わかった」


 なぜか頭を押さえながら頷くトアラさん。どったの?


「夏頃に予定してるからそれまで頼むわ」


「わかりました。夏まで仕上げておきます。意匠のご注文はありますか?」


「特にはねーが、帝国のヤツらに見せびらかすんでよ」


 その言葉にコーリンの目に炎が宿った。


「わかりました。わたくしの全霊をかけて挑ましてもらいます!」


「ちょ、コーリンさま!?」


「コーリンさま、さすがに死んじゃいますよ!」


 慌てるサリバリとトアラ。あれ? 想像以上に修羅ってました?


「え、えーと。お邪魔しました!」


 逃げること風の如しでアデューでーす!


 そそくさと花月館から撤収。できた頃にまたお邪魔したいと思います。


「……ベーの命も夏までね……」


 そんな予言、ノーサンキュー! 

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