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村人転生~最強のスローライフ  作者: タカハシあん
十歳スタート

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499 解決にしとくか

「あ、ベー! どこ行ってたのよ!」


 孤児院へと戻って来ると、入口んとこにトアラがいた。


「どーしたん?」


 なにやら慌てた様子ですが?


「どーしたんじゃないわよ! フィアラ様を待たせるなんて無礼じゃないのよ!」


 フィアラ? 誰それ?


「……あ、うん。ベーだもんね。名前で人を覚えないか……」


 人は名前じゃねー。見た目で覚えるものだ! とか言えたらどんなにイイか。少数派はツラいぜ……。


「ベーが領主夫人と読んでるお方よ」


 今知る驚愕……でもねー真実。ふ~ん。


「……まったく興味がない上に覚える気もない顔ね……」


「興味がないのは認める。だが、覚える気はあるぞ」


「気があるだけで、覚える努力しないでしょうが」


「ハイ、まったくその通りです!」


 おっとりしたトアラにも口で勝てないので素直に敗けを認めた。


「……はぁ~。まあ、イイわ。もう今更だしね。それより、早く来てよ。もう人が集まり過ぎて収拾がつかないのよ」


「確かに、盛大に集まってんな」


 壁は低いし、孤児院の外にも人がいたから言われなくとも気付いてはいたが、あらためて見るとスゲー人だわ。


「どうするのよ? 院長さんたち、困ってたわよ」


「どうにかしてもらおうと領主夫人を呼んだんだが、その領主夫人はどーした?」


「どうにかしてるけど、人が多すぎてどうにもならないのよ」


「おろ。そりゃワリーことしたな」


 群衆は驚かすのが一番と、とある魔術師に依頼して創ってもらった花火玉(結界に封じ込めたもの)を収納鞄から取り出し、殺戮阿で打ち上げた。


 前世のような派手さも華やかさもねーが、驚かすには充分。集まった群衆がびっくりして空を見上げていた。


 その隙に孤児院へと入り、メガホンを結界で創り出した。


「あーあー。ご静粛にご静粛に。ただ今より孤児院の新築祝いを始めたいと思います。まずは、孤児院新築にご尽力をいただいた領主夫人様よりお言葉がございます。皆さまご静粛に拝聴してくださいませ~」


 ハイ、領主夫人に全力全開の丸投げです!


 目を丸くしてこちらを見る領主夫人から全力全開で目を反らした。


 オレは丸投げするのに躊躇いはねー。そして、非情にもなれる。


 なんで、お願いね、領主夫人っ☆


 そそくさと人混みの中に紛れ、先ほどからマークしていた人物へと向かった。


 オレが向かう先には一人の男がいる。


 背中を見せているので顔はわからねーが、感じからして四十前後。服から街の者。どこかの店の従業員って感じであった。


 これと言った特徴はない。街ですれ違っても気付かないくらい、一般人としか言いようがなかった。


 ただし、オレの結界マークがついてなかったら、だがな。


 この結果マークは、魔物使いから分裂したもの。結界ナンバーは、三十四。昨日辺りに分裂したものだ。


 他にもいろいろ情報が附属するが、魔物使いから分裂したとわかれば充分。よく来たな、だ。


 その男は、まだ背を見せている。


 オレの存在に気が付いても振り向かねーのは一流の証しであり、気付いてないのは三流以下のザコってこと。さあ、お前さんはどっちだい?


 男の背後から正面へと回る。


 男は驚いた様子でオレを見ていた。


 一瞬、ザコかと思ったが、男の目には微かな鋭さが見て取れた。こいつは超一流だ……。


「ふふ。なかなかスゲーじゃん、あんた。それでも態度は崩さねーか」


「え、あ、なんだい?」


 またも気のせいかと思ってしまうくらいの自然さを見せていた。


「メンドクセーことは言わねー。この件からは手を引け。お前らの仕事は失敗した。見逃してやるからオレの前に現れんな」


 その優秀さを示すかのように男の表情が冷徹にして冷血が似合う顔を見せてきた。


「なんの説得力もないな」


 人外や魔物に慣れてなければビビっていただろうが、今生でははっちゃけした者たちとの出会いが多い。こんな男の殺気などカワイイもんさ。


「別に説得してるつもりはねー。これは正真正銘の脅しであり、宣戦布告だ。やるんならいつでも相手してやる。いつでもどっからでもかかってこいやっ!」


 結界をつけた今となっては怖いことはねー。お前らはすでに敗けてんだからな。


「……よかろう。今回は引く。だが、次は仕事をさせてもらう」 


「やれるもんならやってみな。お前がそれに気が付いていない時点で敗けは決定してんだからな」


 まあ、気付けたらそれはそれで厄介だかよ。


「…………」


 男はなにか言いたそうな顔をしたが、無理矢理飲み込んで去って行った。


 やれやれ。まずは解決としとくか。


 未来はわからんが、これで領主夫人に憂いはねー。しっかりオレのために働いてもらわんとな。


 領主夫人のお言葉も終わり、ドレミ隊に目配せし、群衆に料理を振る舞うように指示を出した。 

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