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村人転生~最強のスローライフ  作者: タカハシあん
十歳スタート

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425/1859

425 清く正しく美しく

 オレの仕事をザンバリーのおっちゃんに引き継いでいることを、ザバルのおっちゃんに伝える。


 ザバルのおっちゃんもオカンとの結婚を知っており、おめでとうと祝福され、やはり明日にでも親睦会と言う名の飲み会をすることに決まった。


 別の意味で程々にな、と忠告して山小屋へと戻った。


 イイ感じに冒険譚が終わったので、オレの割り当てられた伐り場へと向かった。残念がるハンガたちには焼きラビーを渡して諦めさせた。


「随分と奥にあるんだな?」


 木を伐るには最初に道を造らなくちゃならず、オレが割り当てられたところには道がなく、樵衆も来ない奥にある。


 これは別にいじめを受けている訳ではなく、オレが望んでここを割り当ててもらったのだ。


「……凄いな……」


「まったくだ」


 オレがここを選んだ理由は、泉が湧き、その周辺にはクランコロスと言う名の薬草が生えているのだ。


 はっきり言ってクランコロスは、麻薬だ。近隣諸国で有害植物として取り締まりを受けている。


「お、お前、なにやってんだよ!? これ、クランコロスだろうが!」


 さすがA級冒険者。薬師でも知ってるヤツがいねーのに、よく知ってる。


「ああ。クランコロスだな。それも良質の、な」


「おま、ベー! これを所持してるだけで絞首刑になるものだぞ!」


「ああ。オレも聞いたときはびっくりしたよ」


 クランコロスのことはオババから教えられてるし、絶対に触れるなと厳しく言われている。なんで、これを見付けたときは驚いたもんだが、前世の記憶を持つものとしては、麻薬と言えど使い方では人を救う薬ともなる。


 高い金を出して薬学書を買って読んだが、その利用法や製造法はまったく載ってなかった。


 ならばと、王都や帝国の情報屋を使って調べたが、知れたのは麻薬の製造法だけ。薬にしようとしたヤツがいねーってことぐらいしかつかめなかった。


 それならオレが、とは思わなかった。既にあるものなら覚えるだけで済むが、新しく作るとなるとオレの能力(根気)では無理だ。そこまでの情熱は湧いてこねー。


 なんで、村の者が立ち入らないようにオレがここを管理し、自然のままに放置していたのだ。ザンバリーのおっちゃんが言ったように持っただけで犯罪だ。ほっとくしかねーだろう。


「安心しな。これは勝手に咲いてるだけ。葉の一枚も採ってねーからよ」


「本当か?」


 疑いの眼差しを向けて来る将来のパパさん。まあ、オレを知っていれば当然ですね。使えるものならなんでも使うと広言してますし。


「ああ。使い道がねーんだ。興味だけで自然破壊はしねーよ。犯罪者にもなりたくねーしな」


 食うに困ったら盗みを働くかもしれねぇが、今生は幸せに満ちている。清く正しく美しくがモットーだぜ、クックックッ。


「悪い顔しておるぞ」


「なんか企んでるときの笑いだな、それ」


 おっと。それは失礼。つい顔に出てしまいました。


「まあ、自然に咲いてるもの。そして、採らなきゃ問題はねーよ。クランコロスなんてもの知るヤツは極少数。オレが、いや、ザンバリーのおっちゃんや賢者殿が黙っていれば世はこともなし。平和ってことだ」


 なにか、納得できない顔をしてるが、自然に咲いてるものに罰は下せず、見付けたからと言って報告義務はない。ちゃんと優秀な情報屋に調べてもらいましたもの。


「許せないと言うなら燃やすなり埋めるなりしな。家族の情として見て見ぬ振りはしてやるからよ」


 法を逆手にとったものだ。ケッケッケッ。


「……お前は、一生村人でいてくれよ。息子が犯罪王とか、おれの髪が全て抜けるわ……」


「安心しな。誰がなんと言おうと、オレは死ぬそのときまで村人さ!」


 ドヤ顔でキメてみたが、なぜかうろんな目で見られてます。なぜに?


「まあ、犯罪者にはならねーと誓うよ。それを信じろ。オレは家族にウソは言わねー男だ」


「わかった。今はそれを信じておくよ」


「そうだな。これまで見た限りでは悪に手を染める男ではないようだからな」


 そんな家族に感謝だよ。


 まあ、ウソはつかねーが、秘密は口にしねーがな。ケッケッケッ。


「やるんなら最後までやりきれよ。将来の父親のために……」


 そんな呟きは右から左にスルーです。


「ほれ、木を伐るぞ」


 魔術と結界でエアーチェーンソーを創り出す。


「相変わらず変な魔術を創り出すよな、お前って」


「必要は発明の母ってな、不自由な環境だからこそ人は学び、努力し、成長進化して行くんだよ。人よ、とどまるな、だ」


 まあ、オレはゆっくり歩むんで、急ぎたい人はがんばってくださいな。オレのためによ。


「……たまに、含蓄あること言うから狡いよな、お前は……」


「そこに意味を求めるかはザンバリーのおっちゃん次第。受け入れる受け入れねーはそっちで決めな」


 そこはオレの領分じゃねー。オレはオレの都合と主義主張で動くまでだ。


「よし。まずは見本を見せる。あとは、おっちゃんのやり方でやってみな」


 クランコロスがよく育つように、泉に影を差す木にエアーチェーンソーを振り下ろした。

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