表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
182/1719

182 よく学びよく遊べ

「ルククはきてねーか。なら今日は港の拡張とかすっか」


 そろそろかなと思ったが、戸を慎重に開けてもルククの姿はなかった。


 ドワーフのおっちゃんの家は昨日で無事終了した。


 つっても完成と言う訳じゃなく、住んで行って不便なところが出てきたり、こうしたら便利と言うのが出てきたら改造したりするってことだ。


 いつもの朝の仕事を終え、朝食を取ってしばらくしたらデンコがやってきた。


「兄貴、おはようですだ」


「おう。おはよーさん。ワリーが、薪を集落に運ぶから帰ってくるまでトータらと遊んでろ」


「おらも手伝うだよ」


「イイよ。手伝ってもらうような仕事じゃねーからな。遊んでろ」


 薪は昨日のうちに積んであるし、下ろすのはシバダたち任せ。苦労なんてどこにもねーよ。


「だ、だか、兄貴が働いてんのに弟分のおらが遊んでるなんてわりぃだよ」


 前世の意識(常識)が強いので働きに対する姿勢がデンコたちと違う。


 今世のオレは仕事は趣味みてーなもんだし、やりてーことしかやってねー。だが、この時代に生きる者にとっては仕事は食うための糧であり、生きるための当然の行動になっている。


 ましてや師弟制度が何百年と続いているから師に続くのは弟子の義務であり、常識でもあるのだ。


「オレがお前に土魔法を教えるのはオレの都合であり、オレの負担を軽くするためのもんだ……って言ってもわかんねーか。まあ、オレが楽するためにお前に覚えさせてんだよ。だから時間ができたら自分のために使え。それも勉強であり、自分を鍛えるための千載一遇の好機だ……って、やっぱ難しいか……」


 こちらの子は、前世と違って精神年齢は高いんだが、知識は悲しいくらい低い。なにより言葉を知らなすぎるのだ。


 この壁は予想以上に高く、泣きたくなるくらい教えることを阻害しているのだ。


「んーとだ。オレの教えは『よく学びよく遊べ』だ。つまり、学ぶことも遊ぶこともできるそんな男になれってことさ」


 仕事仕事じゃ人生つまんねーが、遊びだけでも人生はつまんねーもんだ。どちらもバランスよくやれば人生に張り合いが出るってもんだし、自分の存在意義を知ることもできる。


「まあ、今はわからなくてもイイし、オレの弟分になったらオレのやり方に従え。それがどうしても嫌なら嫌と言えよ。別にそれに怒りはしねーし、お前のやりたいように進ませてやっからよ」


 ほれと、デンコの背を押してやり、トータらと遊ぶように促してやった。


 七才で働きに出るのが常識とは言え、まだまだ遊びたい盛り。すぐに遊び(ゴーレム将棋?)に夢中になるガキんちょども。


「あ、タケル。薪運んだら港の拡張すっからよ、潜水艦を外に出してくれや」


 バンパンに膨れ上がった腹を上にして大の字に寝るもう一人の弟分に声を掛けた。


「……わがりまじだ……」


 そんなに苦しいなら腹八分に押さえておけ、とは心の中で言っておく。


 タケルになんでそんなに食うんだと聞いたら潜水艦の自己修復機能のエネルギー供給源はタケルの生命力(的ななにか)なんだってよ。


 オレと出会う前にいろいろ壊し、生命力(的ななにか)が不足して修復できずにいたが、メシが食えるようになって生命力(的ななにか)が増えたから大量に持って行かれているらしい。まったく厄介な介入をしてくれるぜ、この世界の神(?)はよぉ……。


「あと、銃の訓練もしとけよ。弾はいっぱいあんだからよ」


 体が覚えたら創ることなど造作もねー。投げナイフと同じくらいに簡単に創り出せるぜ。


「……ばい……」


「んじゃ、いってくるよ」


 ちなみにオカンらは今日もサリバリんちでルコの実を加工だ。まったく、その熱意には頭が下がるよ。


https://ncode.syosetu.com/n1374gu/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ