1784 帝国から来たことに
国は違えどおばちゃんって生き物は本当に逞しいものだ。
そして、ウワサが流れるのは光の如し。たくさんのおばちゃんがケルクを刈り取って来た。
さすがにオレ一人では捌き切れないのでドレミ隊出動! 君がいてくれて本当によかったです!
同じ顔の幼女が六人もいても欲望全開のおばちゃんたちは気にしない。ケルクを売ったらまた刈り取りに帰って行った。
さすがに暗くなると売りに来ることはなかったが、朝になったらまた売りに来ていた。早いよ!
「こちらはありがたいが、大丈夫なのかい? ケルクがなくなったりしないかい?」
もう数えるのも面倒になったて数えてないが、それでも二百袋は確実に越えている。下手したら三百袋は行ってても不思議ではない勢いだったぞ。
「大丈夫だよ。放っておけばまた生えてくるからね」
「そうそう。逆に刈らないと家を覆うくらい伸びちゃうんだよ」
「家畜の餌になったりしねーの?」
「鶏はいいんだけど、山羊に食べさせると乳が青臭くなるんだよね。肉もなんか臭いんだよ」
そう都合よくはないか。だが、地竜になら食わせてもイイかもしれんな。今度食わせてみよう。まあ、あの巨体だとまったく足りないだろうがな。
「ケルクはまだあるのかい?」
「まだまだあるよ。そっちこそ金は大丈夫なのかい?」
「さすがに心許ないから帝国の金を使わせてもらうよ。それなら薬を買えるし、帝国の品を買えるようになるよ。オレたち、帝国から来たんだ」
「帝国? 帝国の道、通れるようになったのか? 昔、山崩れがあって通れなくなったって聞いたけど」
そうなの? それは初耳だ。それならバイブラストにお願いするか。商人に飛空船を貸し出すわけにもいかんのだからな。
「馬車一台なら通れるようにしたんだ。オレ、土魔法が得意だから。そのうち帝国の商人も来ると思うぜ。聖国と商売してたがっていたからな」
おばちゃんたちなら隅々まで広めてくれんだろう。なによりの宣伝マン──宣伝ガールだからな。
「帝国の金を持っていて損はねーぜ。てか、帝国の金を広めてくれると助かるよ。オレら、そんなに聖国の金って持ってねーからよ」
金を広めることは経済侵略になるが、田舎のおばちゃんにわかるわけもなし。公爵どのからもらった金だし、広めておいてやるとしよう。
「使えるんなら構わないよ」
「おう。金は腐らねーからな。貯めておくにはちょうどイイだろうよ。どうせ盗まれたところで帝国の商人が来なけりゃ使い道もねーんだからな」
「帝国の商人って、本当に来るんだろうね?」
「来なけりゃオレらが稼がせてもらうまでさ。ケルクはいくらあっても構わねーんだからな」
積み上げた袋を無限鞄に入れるところをおばちゃんたちに見せた。
「これこの通り。オレらは魔法の鞄を持っている。商売相手は少ねーほうがありがたい限りだ」
帝国の貨幣を詰めた革袋を出して見せた。




